紙の本
十代の時に読んだらどう感じただろう
2022/09/16 07:02
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投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る
たまたま読んだ作品が気に入って、
その作者の作品を読み続けるようになるというのは、
おそらく多くの本好きの人なら経験しているだろう。
私にとって、乗代(のりしろ)雄介という作家がそんな一人だ。
きっかけは、芥川賞こそ獲れなかったが、
第34回三島由紀夫賞を2021年に受賞した『旅する練習』だった。
それから、乗代さんの作品を気にするようにしている。
この『パパイヤ・ママイヤ』は、2022年5月に刊行された新刊である。
これは二人の17歳の少女たちのひと夏の物語で、青春文学といっていい。
奇妙なタイトルは二人のSNSでのハンドルネーム。
パパイヤは、アル中ぎみの父親が嫌いな少女のネーム。つまり、パパ嫌(イヤ)。
ママイヤは、自由奔放な母親が嫌いな少女のネーム。つまり、ママ嫌(イヤ)。
そんな二人がお互いの素性も知らないまま千葉の木更津の川にある干潟で出会うことになる。
意気投合する中で、見つけたものもあれば失くしたものもある。
その過程で、二人は自分の将来を探し出していく。
特に彼女たちが大きな旅をするわけではないが、不思議と、この二人が旅をしているように感じるのは、
もしかしたら青春期そのものが旅のようであるからかもしれない。
十代の読者なら、この物語をどう読むだろうか。
紙の本
懐かしさと切なさ
2022/06/23 19:33
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投稿者:earosmith - この投稿者のレビュー一覧を見る
SNSで知り合い、実際に会う様子に昭和世代としては危うさを感じましたが、二人が会う時の風景描写が美しく、お互いを知っていく過程に胸が痛くなるような懐かしさと切なさを感じました。
電子書籍
性別がわからなくて
2023/08/12 22:06
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投稿者:エムチャン - この投稿者のレビュー一覧を見る
読み始めたとき、どちらが男子でどちらが女子?みたいな感じで読み始めました。途中でどちらも女子高生と判明しますが……。途中でこんなことがあるかな、と言いたくなる場面も多々あるし。あまり良い読後感ではなかったです
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タイトル、そういうことか〜
作中でも何回も言ってたけどほんとに青春って感じ
何気なくて中身のない会話とかほんとに高校生っぽいなと思った、すごく良い終わり方だった
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SNSで知り合った2人の17歳パパイヤ(父親が嫌い)とママイヤ(母親が嫌い)のひと夏を描いた、新時代のガールミーツガール小説(タイトルと表紙の色がシンクロしている…)。物語はママイヤ視点で進む、パパイヤ・ママイヤ共に最初はいろいろ秘密を抱えているが、2人である目的に向かって進むことになる中盤くらいから打ち解けて行く… 風景描写が秀逸でありサクっと読めて面白かった、主要キャラとして出てくる所ジョンがいい味出している。17歳女子2人の切ない青春物語に興味ある方はぜひ。
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SNSで知り合った17際の、パパイヤ(アル中のパパが嫌い)とママイヤ(芸術家のママに振り回されている)の一夏を描いた作品。鮮やかな黄色の表紙のように、2人の若さの輝きや嫉妬、不完全さなどが詰まっている。ホームレスの所ジョンの存在がいいスパイスになっていたな。
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ママが嫌だから「ママイヤ」
パパが嫌だから「パパイヤ」
そういうSNSのハンドルネームの2人。
自転車に乗れるようになったママイヤ。
高校に行っていない?
レアな親ガチャ?
パパイヤはバレー部。
約束をしなくても会える2人。
出会いって不思議。
謎は色々あるけれど、話しているうちにどんどん親しくなって、
過ごした時間は宝物のようになった。
JKってキラキラしているよね。
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SNSで知り合った、アル中の父が嫌いなパパイヤと、自分を一人きり日本に残し外国で男性と暮らす母が嫌いなママイヤ。17歳の少女たちが一緒に過ごす、ひと夏の物語。
なんだか不穏なものを感じながら読み始めたこのお話。でも、いい意味で裏切られました。
とても爽やかで心温まる友情の物語。
学校にいる時のしょーもない自分よりも、ママイヤと一緒にいる時の自分が好きだと思うパパイヤ。
自分の知らないところで、自分のことを自分以上に考えたり汗を流してくれる友だちを見つけたママイヤ。
お互いに影響を与え合って、強い大人になっていく。
爽やかな夏のお話でした。
作中、「きいれえもん(黄色い物)」を拾い集めるホームレスが出てきます。なんか、分かります。私も黄色が大好き。元気が出る色ですよね。このブクログの本棚も黄色なので、『パパイヤ・ママイヤ』の表紙がよく見えなくなっちゃってるし笑。
その「きいれえもん」コレクションを見てママイヤが「失くしたら泣いちゃう?」と聞くとホームレスは「泣かねえよ。失くしたらまた集めるだけよ。そしたら失くすことにはならねえだろ」と。うん!そうですね!
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時間だけが途方もなくあったあの頃。
学校でも親の前でも見せない、ここだけの自分。 17歳の彼女たちの夏が、まるで自分の記憶のように立ち昇ってきました。
ああ、私にも、誰にもきっと、こんな永遠みたいな夏があった。
大人になる前に越えていかないといけない、自分を知る時間。
美しい小櫃川河口干潟を背景にした、青春としか言いようのない2人のやりとり。
その可笑しさに、まぶしさに、懐かしさに、涙が出た。
子供の頃、毎日遊んだ(というか時間をつぶした)長居公園の郷土の森に、木が密集して家みたいになってるところがあって、そこにホームレスのおっちゃんが住んでいた。
私はそのおっちゃんと仲良くなって、遊びに行ってチョコレートをもらってた。
この本でもホームレスのおっちゃんとやりとりするシーンがあって、まだ自分だけの世界で生きていた頃のいろんな記憶が蘇った。
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メディアで紹介されていたので読んでみました。一言で言うとパパイヤとママイヤのどちらが喋っている内容か分かりづらくて読みにくいです(特に前半)。
若い二人の生々しいかけあいを表現するために描かれているので、結果的に読みにくくなっているのかとも思いましたが、この点は残念でした。
ストーリーは普通に面白いと思います。
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〈これは、わたしたちの一夏の物語〉
17歳のわたしたち。
父親が嫌いなパパイヤ。
ママのことは〈愛憎半ば〉複雑な思いでいるママイヤ。
干潟の木の墓場で待ち合わせ
おしゃべりをしたり、お互い好きに過ごす。
何気なく見過ごしてしまいそうなことも
読み進めていくと、それぞれが大きな事件のように思えてくる。
ホームレスの男性とのやり取りがおかしくて。
「きいれえ(黄色い)」ものは
必要とする人へ無事に届いただろうか
そういう奇跡が起こっていたらいいな。
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乗代雄介の作品としては今までの物と比べ、ぺダンティズムが感じられず、比較的読みやすく感じられた。印象的なのはホームレスの所ジョン!あと、林檎ネェさんを
出してくるんだ。へぇ〜ってなりました。笑 内容としては特に感じるところもありませんでしたね。
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父親が嫌いなパパイヤと、母親に複雑な感情を抱くママイヤ、SNSを通じて出会った2人の一夏の青春物語。大きな事件が起きるわけではないので、読み進めづらいな〜と思っていたら後半、とても良かった!最後のシーンは「人生は夢だらけ」を流しながら情景を思い浮かべて読んだ。2人がこの先変わっていったとしても、この夏の思い出は2人の心をずっと支えてくれるだろうな。
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読後、序盤に海の近くで絵を描く男の子とパパイヤ、ママイヤの3人のシーンをもう一度読見返した。
(以下情景描写あり)
砂浜を描いたのに、潮が満ちてきて
砂を海が覆ってしまい
絵と現実は違うことなってしまったと
戸惑う男の子。
パパイヤが言う、そんなの当たり前じゃん
絵ってそういうものだから。
そして
出来上がった絵、空が黄色。
見たままに描いたと男の子。
黄色に塗られた空に戸惑うパパイヤ。
黄色く空を描くことは別に間違いではないんだよとママイヤが言う。
この会話をしていた序盤からパパイヤ、ママイヤ2人がどう変わっていくか。
自分らしい自分をお互い認め合っているパパイヤとママイヤ、2人が出会えてよかったなと思う。
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もし戻れるとしたら、何歳の自分に戻りたいか、と聞かれて「あの時期は楽しかった」と答えられるのは、30歳をとうに過ぎたここ数年のことだ。
10代、20代の頃なんて、自分自身や、家族のことが嫌で仕方なかった。毎日誰かと比べざるを得なくて、そのたびに暗い気持ちになった。若さが輝かしいものの代表として語られることは多いけれど、その渦中にいる本人は、ずっと複雑で苦しい。
誰かと比べなくていい、自分自身を肯定できる趣味やコミュニティに出会っていたらもっと楽に、青春を謳歌できたんだろうか。そんなことを考えた。
だけど、そんなことは大人になったから言えること。当時の自分は、周りに合わせて、おかしくもないのに笑うことで精一杯だった。