紙幅は薄いですが、盛りだくさんの内容です。
2022/05/31 07:20
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:広島の中日ファン - この投稿者のレビュー一覧を見る
様々な心理学の研究内容が取り上げられている1冊です。
紙幅が200数頁と薄いですが、様々な心理学用語を説明しており、コラムも多数あり、盛りだくさんの内容です。最後まで読者を飽きさせない1冊です。
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<目次>
第1章 見かけがつくるフェイク~演出までには至らぬ装い
第2章 共感に訴えるフェイク~人の話を信じる理由
第3章 言語が助長したフェイク~想像の果たす役割
第4章 自己欺瞞に巣くうフェイク~承認欲求の暴走
第5章 科学の信頼を利用したフェイク~未来予測の限界
第6章 誤解から生じるフェイク~行動選択の偏り
第7章 結束を高めるフェイク~部族意識の功罪
終章 フェイクとどのように対峙していくか
<内容>
進化心理学から見た「フェイク」の種類とその内容、および対策。といっても素晴らしい対策があるわけではない。著者はいかにも悲観的である。人間の進化の過程で手に入れた能力が、「フェイク」に引っかかりやすくなっている以上、もう少し進化しないと、これを乗り切るのは難しいようだ。特に日本人は、その特性から「フェイク」に引っかかりやすいらしい。気をつけないと…
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第1章 見かけがつくるフェイク―演出までには至らぬ装い
ウソつき上手のウソは見抜けない 情報源の信頼の由来
第2章 共感に訴えるフェイク―人の話を信じる理由
ヒトは情報源を気にしない 共感の利点と欠点
第3章 言語が助長したフェイク―想像の果たす役割
言語の発達→ウソを用意に 言葉の切れ味の鋭さ 言語の限界
第4章 自己欺瞞に巣くうフェイク―承認欲求の暴走
自己肯定→集団の一員
第5章 科学の信頼を利用したフェイク―未来予測の限界
事前事後比較のわな 科学・パターン化による未来予測法 科学者は理論を主張
第6章 誤解から生じるフェイク―行動選択の偏り
第7章 結束を高めるフェイク―部族意識の功罪
集団先行の日本社会
終章 フェイクとどのように対峙していくか
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人間の行動や心理を生物進化の原理から説明するのが進化心理学とのことだが、これをフェイクへの対応策として適用することを論じたもの。狩猟採集時代の心理構造(集団先行で協力的)が残ったままなので、嘘が横行する現代社会に対応できないということが繰り返し述べられる。
率直な感想はちくま新書のわりにはデキが悪いというかレベルが低い。内容的には既知の情報も多く、全体的にはあまり科学的ではなく文化論的な話題になっており根拠も乏しい。最終的には日本人論になっているところにも疑問を感じた。よって、進化心理学は学問としてまだ確立されていないというか曖昧で少々怪しい印象も受けた。結果的に「この本がフェイクなんじゃ?」と疑いを持つに至るわけだが、著者はその事までは想定してはいなかったのだろうか。気になった情報としては性格分析はアテにならないということと、うつ病は女性に多いということ。これでもどこまでホントなのかという疑問は残ったままだが。
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ネット上におけるフェイク情報の怖いところはフェイクと認識せずにフェイク情報を発信している人がいるところですね。本人にとっては真実としてもその情報は認知バイアスによってかなり偏っていることが多い。
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フェイクを進化心理学の立場から解説。人間が進化の過程で獲得した心理的な特徴が現代文化の社会にあっていないため、フェイクが生まれるという。
進化心理学の説明を狩猟採集時代にもとめているが、その根拠が見当たらない。想像にしか思えない。
「~であろう」「~に違いない」「~であるから~」と語っていき、仮定が事実として扱われていく。これが科学的な説明の態度なのか。根拠薄弱につき信頼性に不安がある本だった。
同じくちくま新書から出ている「ニュースの数字をどう読むか」は人間の騙されやすさを題材にしている。こっちの方が出来がはるかによい。
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進化心理学っていう学問分野があるんだね。
ヒトの心理動向を進化の過程から読み解くもの。
ヒトがヒトを信じるのは集団を維持するために、その方が都合が良かったから。だから他人の言を信じるのだそうな。
そこを逆手にとっているのが広告や近年の詐欺手法だったりするんだけど、うーんこれだと引っかかるよなぁ。
不思議なもので、こういったフェイクにサルは騙されない。これは言語や想像力を獲得していないからなんだそうな。
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フェイクを見抜くのは難しいことを前提に議論を展開しており、次のような分類をしている.見かけがつくるフェイク、共感に訴えるフェイク、言語が助長したフェイク、自己欺瞞に巣くうフェイク、科学の信頼を利用したフェイク、誤解から生じるフェイク、結束を高めるフェイク. それぞれの説明には事例を絡ませて読者を魅了しているが、対応策の複雑さを示しているともいえる.最後に述べている、''人類の歴史で育まれた伝統的な心理構造が、比較的自由な現代の社会環境とミスマッチを起こしている.'' という指摘が重要だと思った.この進化心理学の観点を認識することで、フェイクをジョークとして笑い飛ばせる社会の出現を希望している点に、読破後のやすらぎを感じた.
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テレビのニュース,商品広告,政治に至るまで,様々なフェイク情報があふれる現代。人間が進化の過程で獲得してきた創造力や言語によって,見極めてきたマコトの道しるべとは?フェイク時代に対応できる能力を身につけるために,進化心理学の視点で解き明かします。
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巷に溢れかえるフェイクを7つに分類し、見分け方と対応の気付きを整理しています。フェイクがなぜ必要だったのかや個人主義の国で発展など興味深い内容でした。フェイクに振り回されるのではなく、見分け方を知り、フェイクリテラシーを高めて、フェイクをジョークと扱えるレベルに達したいものです。
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最後の結論で、フェイクに騙されないためにはフェイクを笑いとばせるようになることというまとめ方になっていて、難しかった。
どうしてフェイクが生まれたのかという点では7章に分けて場面ごと丁寧に理解できた。
初めての新書だったけれど、面白かった。
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第1章 見かけがつくるフェイク―演出までには至らぬ装い
第2章 共感に訴えるフェイク―人の話を信じる理由
第3章 言語が助長したフェイク―想像の果たす役割
第4章 自己欺瞞に巣くうフェイク―承認欲求の暴走
第5章 科学の信頼を利用したフェイク―未来予測の限界
第6章 誤解から生じるフェイク―行動選択の偏り
第7章 結束を高めるフェイク―部族意識の功罪
終章 フェイクとどのように対峙していくか
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●久しぶりな良書
●我々がフェイクにはまる理由を太古に遡って教えてくれる。なるほどね…
●現代社会の情報伝達技術が人類にはまだ早すぎたのではないかって思っていたけど、まあそうなんだろうな…
●なるべく科学的な方法でフェイクを破ってほしいけど…人類の叡智に期待するしかないな。今はまだ過渡期…
●明らかに電波なことを言ってる人が近くにいるとゲンナリしてしまう今日この頃ですわ…
●現代人必読書です、これわ。全体的に過不足なく、抑制が効いているし、テンポまでよい。
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ある集団(国民)の特性が、集団主義的であるか、個人主義的であるかという観点は非常に興味深い。例えば自己紹介の時、日本人は自分の所属を言う、一方アメリカ人は自分の能力や知識を披瀝する。
これは日本人のアイデンティティが所属する集団によって確立されること(集団主義)を示しており、一方アメリカ人は個人同士が相互協力できる関係を探し、機動的な集団を作っていくこと(個人主義)を示している。
近年、このような差異は、他の国々に関しても普遍的に論じることが出来る事が判明した。多様な人々が移住し続ける新大陸や、人の出入りが激しい商業地域などでは個人主義的傾向が強く、人口密度が高く農業などの体系的な協力が必要な産業が盛ん、且つ自然災害が多く団結が必要な地域では集団主義的傾向が強い事が見出された。
他方、ビジネス環境に目を向ければ、変化の目まぐるしい現代社会においては、変化に対応して集団を臨機応変に作り直しやすい個人主義の方が有利とされている。
ただ、長い年月にわたって地道な技術開発が必要な分野の場合、短期的な成果に惑わされることなく、団結して継続が可能な集団主義が有利となることもある。
昨今、やみくもにも感じる日本の企業風土改革だが、このような進化心理学的な背景は微塵も考慮されていないように感じられる。
日本人には日本人の働きやすい環境があって然るべき様に感じる。無理やりグローバルフォーマットに当て嵌められて、日本はどんどん不幸せな方向に進んで行っているように感じられる。