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裏横浜 ──グレーな世界とその痕跡
著者 八木澤高明
みなとみらい、赤レンガ倉庫、山下公園……。横浜からはオシャレで、洗練されていて、都会的なイメージが想起されるが、それはほんの一面にしか過ぎない。悪臭で誰が泊まるともしれな...
裏横浜 ──グレーな世界とその痕跡
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裏横浜 グレーな世界とその痕跡 (ちくま新書)
商品説明
みなとみらい、赤レンガ倉庫、山下公園……。横浜からはオシャレで、洗練されていて、都会的なイメージが想起されるが、それはほんの一面にしか過ぎない。悪臭で誰が泊まるともしれない船の宿、最後の居場所のストリップ劇場、革命家の隠れ家など、その裏側には猥雑で混沌したものが隠されている。生まれ育った街の歴史を掘り起こし、実体験を織り交ぜながら、横浜の真の姿をさらけ出す。
目次
- はじめに/第一章 横浜スタジアムの足元/ダフ屋がいた風景/大洋の二軍選手がいた店/捕鯨の歴史/「クジラ一頭、余分に獲れれば野球選手の給料は賄える」/ホームを横浜へ移転する/横浜スタジアムのルーツはクリケット場/横浜公園に残る遊廓の跡/岩亀楼に行き交う人々/戦争による都市変化/ベーブ・ルースに対する苦い記憶/第二章 海上の楼閣──山下公園、みなとみらい/昭和の臭いがする港/洗浄された赤レンガ/埋め立てられた海上の楼閣/倉庫に保管された生糸の産地へ/廃娼令と女性労働者の確保/名もなき娘たちが通った道/生糸がもたらすもの/外国からの要求で作られた屠畜場/肉屋をはじめた理由/伊勢商人が横浜へ/第三章 消えた大陸の空気──中華街/はじまりは外国人居留地/大陸の匂いと生活感にあふれる街/インドと横浜のつながり/淫靡な空気が残るバンコクの中華街/革命家の隠れ家/売春と麻薬の巣窟/地球の裏側の華僑/貨物船で密航してきた中国人に出会う/第四章 日の当たらない人の居場所──黄金町/得体の知れない匂いを発している町/黄金町に部屋を借りる/劇場がしがみつく杭/「劇場に命を救ってもらったようなもの」/劇場主の破天荒な来歴/突如劇場の幕は閉じた/第五章 デラシネのゆりかご──寿町/日本三大ドヤ街のひとつ/タイ人娼婦の住むマンション/タイ国王の写真が飾られている部屋/横浜に流れてくる麻薬の源流/埋め立てが完成し問屋街へ/足を踏み入れられない船の宿/ある手配師の話/元連合赤軍兵士と寿町を歩く/今日のフロント企業の走り/第六章 世界との架け橋──鶴見/一九八〇年代のアントニオ猪木/鶴見にある猪木の生家/丘の上の屋敷からブラジルへ/出稼ぎに来たものが集う街/奴隷が生んだ食べ物/日系ブラジル人の男娼との出会い/京浜工業地帯が生み出したもの/劣悪な環境の移民宿/懐かしい大桟橋/海路は閉ざされる/第七章 高低が織りなす風景──山手、元町、その周縁/偶然迷い込んだ米軍住宅/日本へ戻ったことの安堵感と屈辱感/崖の上と崖の下の圧倒的な格差/屋根なし市場で生まれた昭和の名歌手/地獄から抜け出したその先には/開港以前で横浜に暮らしていた人々/外国人を魅了したチャブ屋/谷崎潤一郎が足しげく通った店/外国人が眠る場所/歪められる悲しい歴史/第八章 夜の街に吸い寄せられる──伊勢佐木町/グローブの記憶/遊郭・芝居小屋・映画館/時代は変わっても色街はある/曙町で働いていた風俗嬢の思い出/友達に誘われて働くことに/奨学金返済のために風俗で働く/耳の聞こえない娼婦/あとがき/参考文献
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紙の本
横浜の陰陽を知ることが出来ました。
2022/06/07 11:13
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:広島の中日ファン - この投稿者のレビュー一覧を見る
著者は横浜生まれ、横浜育ちの生粋の横浜人。
その著者の視点から、横浜の明るい面、暗い面を追求した1冊です。
そもそも私は横浜に疎いので、横浜について知りたくて当書を購読しました。
横浜の陰陽をしることができ、私は大変勉強になり増しあ。
紙の本
『裏横浜』
2022/08/03 19:11
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:百書繚乱 - この投稿者のレビュー一覧を見る
“オシャレで、洗練されていて、都会的なイメージが想起される”横浜(カバー袖の紹介文)が持つ裏の姿
横浜に生まれ育ったノンフィクションライターが、この街の歴史を掘り起こし、個人史と重ね合わせながらディープに描き出す
たとえばルーツは遊郭、クリケット場だった横浜スタジアム
あるいは“得体の知れない匂いを発している”ストリップ劇場のあった黄金町
さらには崖の上と下とで圧倒的な格差のある山手、元町とその周縁
山下公園とみなとみらい、中華街、寿町、鶴見、そして伊勢佐木町まで
とりわけこの土地に暮らしたり働いたりしている者にとって知っておきたい、知っておくべきことがつまった一冊、2022年5月刊
副題は「グレーな世界とその痕跡」
〈ひとりの男の横浜との付き合いを通じて、横浜ばかりでなく、あなたが生まれ育った土地との縁について考える機会になればと思う。〉──「はじめに」より
※p.150〈彷徨[さま]える〉⇒〈彷徨[さまよ]える〉
p.173〈自分より一回りを大きい〉⇒〈自分より一回り大きい〉
p.243〈いとも顔を赤く染めて〉⇒〈いつも顔を赤く染めて〉