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空を駆ける
著者 梶 よう子
逆光に置かれても挫けずに我が子へ愛を注ぐ母と、その愛を受けて健やかに成長する子の姿を描き、今もなお愛され続ける名作児童文学『小公子』。この物語を日本で初めて翻訳したのは、...
空を駆ける
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空を駆ける
商品説明
逆光に置かれても挫けずに我が子へ愛を注ぐ母と、その愛を受けて健やかに成長する子の姿を描き、今もなお愛され続ける名作児童文学『小公子』。
この物語を日本で初めて翻訳したのは、明治の女性文学者、若松賤子(しずこ)だった。
江戸末期、会津藩士の父のもとに生まれたカシ(のちの賤子)は、幼子の頃、戊辰戦争で九死に一生を得るが、のちに母を亡くし、横浜の生糸問屋へ養子に出されて孤独な少女時代を過ごす。
転機となったのは、明治八年。
養家を離れ、十一歳でアメリカ人女性宣教師メアリー・キダーが創立した女子寄宿学校フェリス・セミナリーへ入学。
新しい校舎、新しい仲間たち、新しい学び。
そこはカシにとって、会津を離れて以来、初めての心安らぐ「ホーム」となっていく。
「わたしは、翼を広げ、空を駆けるように飛ぶための準備をしなければならない」
カシは、女性の自立と子どもの幸福こそがこの国の未来を照らすと信じ、命を燃やしていく――。
一人の女性として、妻として、そして三人の子の母として。
激動の明治を懸命に生ききった三十一年の生涯に新たな光をあてる渾身長編!
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紙の本
『小公子』を日本で最初に紹介した女性の生涯
2022/09/21 07:01
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る
私の本棚で一番古い本は
昭和39年(1964年)9月に刊行された
『少年少女世界の名作文学/第14巻/アメリカ編5』です。
出版元は小学館で、当時の値段で480円。
これは全50巻もので、この巻が最初の配本だったように思います。
この巻に収録されているのが
バーネット作の『小公子』『小公女』『秘密の花園』、
そしてホーソンの『ワンダーブック』。
訳者はそれぞれ違いますが、
責任編集として村岡花子さん(NHK朝ドラ「花子とアン」のモデル)が
「解説」を書いています。
その中の『小公子』の「解説」にこうあります。
日本でも明治の半ばごろには、若松賤子(しずこ)女史によって訳されています。
女史の訳筆には一種独特の口調があって、
それがまた当時の人びとには魅力があったのでしょう。
前段が長くなりました。
梶よう子さんの『空を駆ける』は、
日本で初めて『小公子』を紹介した若松賤子さんの生涯を描いた歴史小説です。
若松賤子は筆名で、本名は巌本カシ。
1964年生まれの会津藩の出身。幕末の頃の会津の娘ですから、波乱の幼少期を過ごします。
幼い彼女が身を寄せたのが、のちにフェリス女学院となる横浜の寄宿学校。
そこで彼女は明治期の女性としては珍しいアメリカの教育を学びます。
そして、女性の地位を高める意識に目覚め、
夫となる巌本善治とともに女子教育の道を進んでいきます。
その一方で、翻訳や創作活動にも勤しむようになります。
アメリカの作家バーネットの『小公子』はそうして彼女によって翻訳されます。
彼女が亡くなったのは、明治29年(1896年)2月。まだ31歳の若さでした。
梶よう子さんの作品を読んだのは、これが初めてですが、
主人公の女性のために生きる姿や創作者としての苦悩など決して難解にならず、
読み応えある長編小説に仕上がっていました。