生きるエネルギーを感じる
2022/10/31 07:35
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投稿者:GORI - この投稿者のレビュー一覧を見る
帯に書かれた
宇佐美りんの「怒涛である。」がぴったり。
離婚した元夫の90歳の母親と19歳小説家志望のゆめ、ゆめの母親の3人暮らし。
父親からの生活費の送金も滞ることが多く、母のパート収入だけでは生活は成り立たない。
祖母の介護、病気、事故が次々に起こる。母の耐え忍ぶ姿にもイライラが募る。
自分の悩みも加わって抑えられない感情があくてえを連射する。
この生活は終わることが無い。
しかし生きるためにあくてえをつきながら生き続ける。
芥川賞候補らしい若い感覚の小説。
きいちゃんが気の毒
2022/08/11 20:38
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:エムチャン - この投稿者のレビュー一覧を見る
夫の母親つまり義理の母親は、他人だから扶養の義務はないのに……。もちろん、相続人でもないのに……というのが読みはじめの感想でした。読みつづけていくと、訛りが気になり……。会話とはいえ分かりにくくて
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どうにかこの家族が、地獄の状態から抜け出せないかと思いながら読みながらも、「ばばあ」のような年寄りは、特別な存在ではないのかもしれないと思いました。こういう年寄りも家族も実は表面化しないだけで多いのかもしれない。そこに著者は風穴を開けてくれたのかも。
介護はいつまで続くか分からない出口の見えない問題だし。どんなに親切に献身的に接しても悪態ばかりつけられたら、ゆめが悪態を付きたくなるのもわかる。ゆめも周囲に悪態ついているけれど、そうしなければやっていられないでしょう。勢いと熱のある作品でした
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九十歳の「ばばあ」の描写がしんどい。
目に浮かぶどころか、触れるんじゃないか、ニオイがしてくるんじゃないか、って怯え始める程には鮮明。
この世に実在する地獄のようだった。
家族って重たい。
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芥川賞候補作品。やはり、やまなしおちなしいみなしなんだよなぁ。
本作は若干の山場はあるが、かなり唐突に終わる感が否めない。読み手にどういう思いを持たせようとしているのか。
主人公はシングルマザーの母親と、義祖母と暮らす。義祖母は若干ボケてきており、主人公を苛立たせる。
父親は中学の頃に女を作って出て行ったが、その父親も借金を作り生活費の振り込みを停止する。
義祖母が転倒して入院したり、母親も介護疲れから倒れたりボロボロのなか、主人公は小説を書いたり正社員になったりする。
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理不尽で、苛立つことばかりで、怒りと自己嫌悪で頭がぐるぐるして、それでも投げ出せず続いていく介護/家族/生活。あくてえ(悪態)をつくことが、ただ一つ、自分を守るためにできることなんて。ばばあの描写から浮き上がる老いは、醜さも惨めさもそのまま剥き出しで滑稽味すらある。恋人の渉がどんな風貌なのかよくわからないが、ばばあの描写は細密で、ゆめが何に囚われているかを表しているようだ。老いると世界が遠くなるという表現は良かった。
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最初、ばばあの方言に慣れなくて、ちょっと読むのが億劫に感じられたが、すぐに物語に没頭した。結構、一気読みに近い感じで非常に面白かった。
主人公ゆめが他者に苛立ちを覚え毒づく
あくてえが非常に共感を感じ、気持ちよく響いた。日毎、自分が狭量な人間になっていく様に嫌気を感じ優しくなりたいと願っても、次の瞬間、圧倒的悪態をついてしまう自分がいる。小説家志望のゆめは小説家になるまでは、何も始まってなく、何者でもない自分自身に漠然とした、不安と恐怖を感じているのだろうと思えた。他者の粗が見えて、それに苛立ち、常に攻撃的なゆめは、きっと臆病で小心者なのだろう。私もそうなので、非常にわかる。
そして、苛立ちを他者にぶつけ意見する自分を正当化し、それをしない人間を非難する。ゆめを見て、この主人公は私だ、と
感じた。ゆめのこの先の物語を想像した。
物語は続いてゆく。
最後に親父、ほんま、腹立つわ〜。
これも私かも知れないが。
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殴り書き。
起承転結がないのがより現実を描いてるようで辛かった。
この小説をきっかけにもっと介護の家族問題に目を向けるようになってくれる人が増えたらなと思う。
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図書館で借りました。ゆめ、きいちゃん、ばばあ。物語は3人家族の愛しく小さな家族の家の中の、ギュッと、ギュッとつまったとっても濃い物語。〈あくてえ〉ばかりをつきながらも、とってもとっても大切な家族のお話。【あたしにはわからない。わかるはずもない。あたしは表面的なことしかわからない。今しかわからない。わからないから、この現実に不満を並べ立てることしかできない。幼い頃、自分が小児喘息で苦しんでいたことも、あたしの看病のために共働きの両親に代わってばばあが故郷の山梨から出てきたことも、その地で生まれ、人生の半分以上をそこで過ごした人が、故郷を離れるということが、その覚悟が、つらさが、あたしには理解できない。】主人公のゆめちゃん、そしてゆめちゃんの母親のきいちゃん、そのきいちゃんの別れた旦那の母親=ばばあ。さんざん文句=あくてぇをつきながらもお互いが頼ったり、心の支えであったりしながら生きていく様がまざまざと描かれていて、家〈家族〉という日常をこれでもかとぶつけられながらも、まるごと包み込んでくれた物語だった。
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泣き笑いの小説だな。
現実は小説と違って、大団円も終わりも無い。それでも生きていけば毎日のように大変なことが起き、大騒ぎし、ほんの少しごくたまに良いことがあったりもする。それが人生。
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すごい作家さんだと思った!
始まりから終わりまで、
スピード感があるし文体のリズムも良いし、
富士急のドドンパに乗っているような
(乗ったことはないですが)
そんな気分になれました。
ババアの描写が鋭くて、それに対する主人公の気持ちの勢いに自分もかなり載せられて、読みながら怒ったり、悔しかったり、本当に気持ちを揺さぶられました。
今後の作品にも期待大です!
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19歳小説家志望のゆめ、母親のきいちゃん、90歳の甲州弁のばばあ(本の表記に合わす)の3人の日常を描いた作品(第167回芥川賞候補作)。タイトルのあくてえというのは「悪口」のことで、作中通してゆめとばばあの悪口合戦を中心に娘・母・ばばあの3人暮らしがリアルに描写される。悪口合戦というこれまで読んだことない作品だったが滅茶苦茶面白かった。帯の宇佐見りんさんのコメント「怒涛である。」に惹かれた人はぜひ。
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現在、そしてこれからも、日本は「超」高齢化社会になっていき、それを支える若年世代はますます減っていき、またさしたる景気高揚も望めない雰囲気もあり、誰もがそれを体現し、伝聞され、不安を感じているのではないかと思う…。
そうした風潮を踏まえてか?、映画や小説といった創作の世界で、高齢者とその周辺を題材とした作品がここ最近多いように感じられる。もちろん、「高齢だけどいきいき恋愛しています」、といった、「明るい高齢者」、を描いた、「疼くひと(松井久子著)」、のような作品もあり、実態のない創作上の夢物語に我々は胸ときめかせたりもするのだろうが、現実はこの作品に描かれたような、貧困の中で介護を決してまっとうな手順ではなくやらざるをえない、家庭が殆どであろう。
私見だが、面白い小説というのは、前半部分で主人公にあまり個性が感じられず、また淡々とした日常がつづられるだけで、なかなか読み進めていく事が出来ない場合が多い(あくまで私の場合)、この小説も私にとっては当初そのように感じられたが、図書館での貸し出し締め切りになんとか間に合って読了できたのは、後半からのさまざまな出来事を通じての主人公への同調心理、が働いたからでは無いかと思う。
詳細については述べないが、前述のような環境で、(離婚した元夫の)祖母、母、娘、の3人が主役の作品である。そして主人公は娘で、この祖母と娘が日常生活の中で「あくてえ(悪態)」をつきあう、ことが主な内容であると言えるかもしれない。ただ、その「あくてえ」は、決して理不尽なものではなく、後味悪いものでもなく、あえて「あくてえ」として自分の外に吐き出すことによって、家族間のバランスがとれているようにも私には感じられた。これが男性だとそのように、吐き出す、行為が苦手で、内に秘めた末に爆発してしまい…という悲劇的結末を想像してしまう…。この作品にはそういう悲劇、が感じられない。
読後、すっきりした感情と共に、世代や立場が違う相手と関係を保つには…、という事を学ばせてくれる良作品であるとも思う。作者さんはもしかすると金原ひとみさんの小説も読まれたのかな?、主人公が畳みかけるような「あくてえ」をつくシーンで、そのようなことを感じた。また、装丁も良い。この作品の(主人公の)個性をうまく表していると思う。一瞬、カルト漫画家、岡崎京子さんの画風を感じたが、巻末にはそのお名前は無かった。…とにかく読んで損はない。特にこれから親の介護をされる人、される側も、終えた方も、読むことによって得るものが多いと思う。お勧めします。
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冷たい人と思われていもいい。こんな婆さんは嫌だ。主人公は19歳の女性、ゆめ。母と祖母(離婚した父親の母・90歳)の3人暮らし。ゆめも母も常に祖母の介護中心になってしまい、心身の負担と鬱屈が溜まっていく。そしてこの祖母は我儘、下品、頻繁にあくてえ(悪態)をつき、感謝のひとかけらもない。そして実の母の世話を元妻に押し付け、離婚した夫も酷すぎる。文章自体は祖母を「ばばあ」と書くことで読みやすさを狙ってそれが成功しているとは思うが、ストーリーのどん詰まり感が凄い。歳をとることが本当に嫌になる小説。ゆめに幸あれ。
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読みやすく入り込みやすい。
にっちもさっちもいかない「ばばあ」との怒涛の毎日。決着をつけずにぶつかり合ったままで終わるのが、いいのか、どうなのか。このまま地獄は続く、という終わり方しかないのだが。
文学作品として、安易な結論は必要ないが、安易でない終わり方を模索して欲しいと思うのは贅沢だろうか。
面白かっただけに、力技で突き抜けた結論で驚かせてもらいたかった。
「ばばあ」は憎ったらしく、惨めで、かわいそうで、魅力的なのだが、「きいちゃん」の人物がイマイチ見えてこない。これも欲を言えば、なのだが、「きいちゃん」の言葉を聞きたいと思った。
と、書いてみたが、いい小説でしたー。