兵士の革命 ――1918年ドイツ
著者 木村靖二
第一次世界大戦末期の1918年11月、キール軍港で勃発した水兵蜂起は、海軍から陸軍へ、さらに一般民衆を巻き込みながら国内全域へと広がっていく。この「ドイツ革命」は、世界に...
兵士の革命 ――1918年ドイツ
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商品説明
第一次世界大戦末期の1918年11月、キール軍港で勃発した水兵蜂起は、海軍から陸軍へ、さらに一般民衆を巻き込みながら国内全域へと広がっていく。この「ドイツ革命」は、世界にその国力を誇った帝政ドイツに終焉をもたらし、以後ドイツは、ヴァイマル共和国、ナチス政権と、短期間で大きく国制を変えていくことになる。その出発点たる「革命」は、いかなる性格のものであったのか。本書は、“兵士の革命”を、軍内部を軸として詳細に分析し、その後のドイツ史と20世紀ヨーロッパ史全体へとつなげる野心的な試みである。
目次
- 地図/付表/はしがき/序章 問題の所在と課題/一 ドイツ革命史研究の現状/二 問題点/三 新たな課題/第一章 革命状況の形成と成立/第一節 第一次世界大戦とドイツの戦時体制/一 戦時体制の成立と基本構造/短期戦構想の破綻/政治・経済・社会領域における戦時体制/二 戦時体制下の変容──水平移動と集中化、固定化──/労働力の水平移動/統制経済と社会層/食糧配給制/三 “伝導ベルト”の閉塞──労働運動の諸組織の事例──/社会民主党と反対派/自由労働組合と反対派/四 領域化/軍管区戒厳体制/地域の浮上/第二節 革命状況の成立/一 軍事・戒厳体制の動揺/補充源の枯渇/軍の解体現象/二 「陰鬱な無関心」と自助行動の拡大/三 十月改革/軍事独裁への批判/政‐軍体制への転換──バーデン内閣の成立──/「上から」の講和と民主化/四 「下から」の十月改革/「下から」の民主化要求/講和運動の拡大/社会主義諸党派の活性化/「敵」としての軍/第二章 ドイツ海軍の水兵運動/第一節 大洋艦隊での出撃阻止行動/一 大洋艦隊の出撃命令/大戦末期の海軍新指導部/出撃作戦命令の成立とその意図/二 ドイツ海軍の将兵の構成/海軍将校団の構成と思想/海軍の兵員/三 大戦下のドイツ海軍/待機する艦隊/艦内対立の激化/四 一九一七年夏の「水兵叛乱」/軍の危機意識/給食委員会の設置/抗議運動の拡大/“叛乱”の発見と海軍指導部の対応/事件の解釈/独立社会民主党への敵対/抗議運動の前提/将校団の政治化/抗議運動と社会主義政党との関係/艦内の二極化/五 海軍の十月状況/六 出撃命令への反抗/作戦への疑義/第三戦隊の脱落と作戦の縮小/第一戦隊での出撃阻止行動/乗組員の正統性意識/艦隊当局の見解/第二節 キールの水兵蜂起/一 将校団との全面対決/第三戦隊での逮捕と解放運動の始まり/鎮守府の対応/デモ隊への発砲/二 水兵の武力掌握/総蜂起の開始/鎮守府での最初の交渉/三 ベルリン政府の対応と軍の鎮圧工作/政府代表の派遣/蜂起鎮圧部隊の解体/四 交渉──キールの要求──/蜂起側の視点/十四か条要求/ノスケの指導権掌握/蜂起の局地化の試み/五 各地の初期水兵運動/第一・第三戦隊とヴィルヘルムスハーフェンでの蜂起/キールでの勝利の確定/六 水兵蜂起の構造と性格/運動成立の諸前提/運動の展開形態/将校団の総崩れ/運動の要求の性格/運動の「非政治性」/七 水兵運動の安定と解体/兵士評議会の成立/水兵運動の役割/第三章 陸軍兵士運動と兵士評議会/第一節 本国軍の兵士運動/一 兵士評議会の成立──兵士運動の第一段階──/1 ハンブルク(1)/革命前夜のハンブルク/ディットマン集会/水兵の革命行動/社会主義党派への主導権の移行/革命の成功/兵士評議会の成立/海軍兵士評議会の存在/2 ハノーファー/3 ミュンスター(1)/4 ルートヴィヒスブルク(1)/5 第一段階の形態と性格/蜂起の形態/蜂起の目標とその射程/武力への恐れ/二 兵士評議会の制度化と安定──兵士運動の第二段階──/
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