商品説明
中谷美紀主演の映画「7月24日通りのクリスマス」の原作。普通の女には、平凡な未来しかないのかな?? でも、一度くらいはドラマみたいな恋をしてみたい――。平凡なOL・小百合に差し伸べられたのは、高校時代、誰もが憧れていた先輩の逞しい腕だった。不幸な恋の結末を予感しながらも、自分の気持ちに正直に生きようとする小百合の「いま」。最も注目される作家が紡ぐ、恋の奇跡!
関連キーワード
あわせて読みたい本
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
この著者・アーティストの他の商品
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
小分け商品
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
この商品の他ラインナップ
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
紙の本
吉田さんから最高のクリスマスプレゼントが届きました!
2004/12/27 07:55
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:トラキチ - この投稿者のレビュー一覧を見る
『東京湾景』でその高い才能を恋愛小説というジャンルにおいても読者に披露してくれた吉田氏であるが、本作は前作に負けず劣らず素晴らしい作品に仕上がっている。
彼の小説は総じて読者の日常に密着したものが多い。
本作の主人公小百合は平凡なOLである。
弟・耕治がハンサムであり自慢でもあるのだが、その弟の彼女・めぐみが外見的に釣り合わないことに違和感を強く感じている。
「…お姉ちゃん、絶対に間違ってない! 本人たちがどんなに信じあってても、いつか必ず信じられなくなるときが来るの! そのとき、絶対にあんたはあの子じゃなかったって思う。自分にはもっと似合いの女がいたはずだって思う。自分が一生を棒にふったのは、あの子のせいだって思う! そうなったとき、一番可哀そうなのは、あの子じゃない!…」
彼女自身も高校時代から憧れていた聡史をあたかも雲の上の存在の如く捉えていたのである。
そこに彼女の自分の殻を破れない原因があったのだが…
舞台は東京から離れた地方の港湾都市。
小百合は、自分の住んでいる都市をポルトガルのリスボンに見立てて暮らしている。
たとえば「岸壁沿いの県道」をタイトル名ともなっている「7月24日通り」と言い換えている。
少しそのあたり人生において引け目というか自信のなさの象徴として捉えて読むべきであろう。
しかしながら吉田氏の筆力の高さを窺い知ることが出来るのは、読書好きの方だったら必ず主人公に共感出来るように練られて書かれているのである。
さりげなく、自然と…
少しまどろっこしいと感じた読者は、吉田氏の術中に見事はまった方であるか今まで失恋をしたことのないスーパーマンかスーパーウーマンだと思いたい。
人はきっと恋愛、とりわけ失恋を通して成長して行くのであろう。
「聡史といると、何か特別な時間を過ごしているような気がした。珍しくもないカフェで、あまりおいしくもない紅茶を飲んでいるだけなのだが、目の前に聡史という男がいるだけで、もう何年も、何十年もこの時間を待っていたような気さえする。」
吉田氏の恋愛小説は本当にテンポ良く進む。
話の展開的にはサンタクロース的な存在となった本屋で遭遇した警備員の男の存在も大きい。
他のジャンルの作品と比べて着地点のつけ方が巧みなようだ。
多くの女性読者から共感されること請け合いの作品である。
オシャレでリアルな作品だけでなく、大きなメッセージを読者に伝えてくれている。
“もう少し自信を持って生きようよ!”
恋愛に限らず一歩踏み出したいと思われてる方、少しオーバーかもしれないが人生の岐路に立った時に読むと自然と勇気づけられる一冊かもしれない。
ケータイ小説として配信され、ラジオドラマ化もされたらしい。読まれる際には是非地図を御覧ください。こちら
個人的には映画化希望したく思う。
スピッツの主題歌なんか似合いそうだな(笑)
是非“納得のいく新鮮な恋愛小説”を手に取ってください。
マイレコ
紙の本
一歩を踏み出す勇気とは。
2006/12/05 16:48
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ゆう - この投稿者のレビュー一覧を見る
自分の住んでいる冴えない町をリスボンになぞらえ、空想に浸っているOLの本田小百合。
この町同様、冴えない自分自身の過去や現在に、苛立ちを感じながら過ごしている。
恋に恋している状態の小百合にとって、ハンサムな弟や、学生時代のかっこいい先輩の存在が、夢であり、希望であり、憧れであるそんな中で、煩悶の中にいる小百合の心模様が巧く描かれ、とてもリアルに伝わってきた。
また、会社の上司夫婦や学生時代の友人との微妙な関係も、小百合の心模様を伝える術として、大きな役割を果たしていたように思えた。
一歩が踏み出せない自分、勇気が出せない自分、平凡の中に埋もれたような自分、イマイチさえない自分、間違えたくない人生・・・数えればキリがないくらいに小百合と自分が重なり、痛いほど共感できた作品だった。
ラストでは、自分自身を吹っ切って、突き進んだ小百合の姿に思わず拍手を贈りたくなった。
心がスカッとするような、そんな爽快な読後感がいつまでも残った作品だった。
紙の本
私もそうです、と思った。
2006/02/11 11:13
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:オクヤマメグミ - この投稿者のレビュー一覧を見る
長編小説だけど、サブタイトルが細かく入っていて夜中に一気読みした。
主人公・小百合は実家に暮らすOLでありふれた街を、訪れたこともないリスボンの街になぞらえて暮らしている。
並外れてかっこいい弟と比べ、自分は華やかさとはかけ離れている…そんな世界がある日ひっくり返されるのだ。
憧れの先輩との再会、自慢の弟の彼女の出現、書店で出会った不思議な男…。
弟の彼女・めぐみに納得がいかなくて苛立ってしまう場面では少々大袈裟なのでは?と思ったりしたが、後にめぐみの口から語られる
『自己分析』で二人が似たもの同士だということが分かってくる。
かくいう私もいくつか頷ける箇所があった。
サブタイトルと自己分析がこんな風につながるなんて、思いもしなかった。
日常の描写にちりばめられたリスボンの地名が、時折居場所をわからなくする。
本当は飛び出してしまいたい。
冷静に自分を見つめる前に、心の向きに進んでしまえ!
小百合の恋がどうなるかは不明のまま最後のページになってしまうのだが、後味は良かった。