反戦川柳人 鶴彬の獄死
著者 佐高 信
サラリーマン川柳のように、現代では風刺や批判をユーモラスに表現するものとして親しまれている川柳。しかし、「万歳とあげて行った手を大陸へおいて来た」「手と足をもいだ丸太にし...
反戦川柳人 鶴彬の獄死
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商品説明
サラリーマン川柳のように、現代では風刺や批判をユーモラスに表現するものとして親しまれている川柳。
しかし、「万歳とあげて行った手を大陸へおいて来た」「手と足をもいだ丸太にしてかへし」といった川柳を通じて、
昭和初期、軍国主義に走る政府を真正面から批判し反戦を訴え続けた作家がいた。
鶴彬、享年二十九。
官憲に捕らえられ、獄中でなお抵抗を続けて憤死した〈川柳界の小林多喜二〉と称される鶴彬とはどのような人物だったのか。
戦後約八十年、再び戦争の空気が漂い始めた今の日本に、反骨の評論家・佐高信が、鶴の生きた時代とその短い生涯、精神を突き付ける!
目次
- はじめに――同い年の明暗/一 鶴彬を後世に遺そうとした三人/二 師父、井上剣花坊/三 兄事した田中五呂八との別れ/四 鶴彬の二十九年/五 石川啄木と鶴彬/補章 短歌と俳句の戦争責任/おわりに/参考文献
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『反戦川柳人 鶴彬の獄死』
2023/05/26 23:36
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投稿者:百書繚乱 - この投稿者のレビュー一覧を見る
出征の門標があってがらんどうの小店
万歳とあげて行った手を大陸へおいて来た
手と足をもいだ丸太にしてかへし
激烈な反戦川柳を残して29歳で獄死した鶴彬(つる あきら1909−1938)の川柳と生涯を激辛評論家が筆鋒鋭く立体的に描き出す
〈古関[裕而]ではなく、鶴の生き方と川柳をこそ後世に伝えるべきと思って、私はこの本を書く。〉
屍みなパンをくれよと手をひろげ
検束をしても亦組む腕と腕
出征のあとに食へない老夫婦
〈権力はまだ20代の鶴が怖くて仕方がなかった。その肺腑をえぐるような川柳は大日本帝国を恐怖させたのである。〉
塹壕で読む妹を売る手紙
貞操を為替に組んでふるさとへ
修身にない孝行で淫売婦
〈私は鶴を“言葉の狙撃手”と呼びたいが、それ[鶴の川柳]はこれ以上ないくらいに鋭く権力の的を射抜いていた。〉
《命をかけて反戦を詠んだ川柳人29年の生涯!》──帯のコピー
戦前の様相を呈する現代日本において、川柳かくあるべし、の一冊
2023年3月刊