工作艦明石の孤独4
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思考ゲームの宝庫
2023/05/07 23:21
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投稿者:yukiちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
宇宙論、社会学、技術革新、生物学、異星種族の歴史までも、筆者が自分でどんどん問題点を作り出し、自分でどんどん解決していくその力業は本当に感心するばかり。
今回最も感心したのは、宇宙船がワープした先がどこなのか知るすべがないという点。
空間的に離れれば離れるほど、出発点と到達点は、時間的にも乖離する。
SFではよく、空間座標とか太陽のスペクトルとか星の配列などというたわごとがでてくるが、実際に行った先が宇宙のどこになるか知る術はない。
つまり、今我々が見ている星空は、どの星をとっても何千、何万、何億年も前の姿であって、今でもそこにその星があるのか分からない。
仮にその星の近くにワープできたとしても、そこで見る星野が、地球から見たその星の配置を計算したものに合致するわけがない。
つまり、ワープアウトした瞬間に、その宇宙船は完全に迷子になってしまうということ。
ワープの件だけをとってみても、これだけの疑問点が出るのだから、生物学、社会学、物理学、化学等々、この本が提起する問題は様々であり、真剣に考察するべきものもたくさん提起されている。
こんな学術論文の塊みたいな(異常論文以上だな)本をエンターテンメントに仕立て上げている筆者のご苦労は並々ならぬものがあると思う。
林先生の次回SFに大いに期待するところである。