紙の本
タイトルに魅かれて
2023/06/14 15:47
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る
「ジャケ買い」とは、CDや本などのパッケージイメージの好印象から購入することをいう。
島田潤一郎さんの『電車のなかで本を読む』の場合、
実は「ジャケ買い」以前の、タイトル買いといっていいくらいに
タイトルだけで読みたい、手にとりたいと思った一冊だ。
もちろん、この本の装幀もとっても素敵だが。
電車の中で本を読んでいる人はほとんどいない、とよく耳にする。
では何をしているかというと、スマホを見ている人が多い。
情報を入手する媒体が変化したのだから、そのことを一概に悪くいうこともないとは思う。
ただ私は「電車のなかで本を読む」タイプだから、
その言葉にもひかれる。
この本は「ひとり出版社」の先駆けとなる「夏葉社」を創業した
島田潤一郎さんによる読書コラムをまとめたもので、
もともとは高知新聞社発行のフリーペーパーに連載されていたという。
一つひとつのコラムが一冊の本の紹介がもとになっているが、
本の書評というより「本を読むヒント」集として読む方がいい。
一冊読み終わる頃には、
やっぱり本はいいな、電車の中はスマホよりやっぱり本だなと
思えるようになっているのではないだろうか。
そう感じるのは、
この本の「おわりに」というあとがきにこんな文章があるからかも。
「ぼくはすべての人が本を読む必要なんてないというふうに考えますし、
ほんとうに豊かなものは、言葉のない世界にあるのではないか、とも思います。」
こんなことが書かれた本って、やっぱり読んでみたくなりませんか。
紙の本
本っていいよねと心から思わせてくれる本
2023/10/22 22:29
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:タラ子 - この投稿者のレビュー一覧を見る
編集経験などないが、この言葉を届けたい、こんな本を読んでほしい!という気持ちから1人で出版社を立ち上げた、本を心から愛する著者の書評集。
読んでいてとても楽しかったし、この本で紹介されている本もしかり、無性に本が読みたくなった。
著者のエピソードはどれも本に対する愛に溢れていたし、本と向き合う姿勢にも共感できた。
本を買うのは、本を読むという豊かな時間を買うということだ。という言葉が刺さった。
どんなに忙しくても、心豊かに充実した時間を送るために、今日も私は本を手にするのだ。
紙の本
読書案内
2023/07/05 12:43
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:なつめ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本や文学の魅力が、著者の体験に基づいて書かれていて、すばらしかったです。読書案内として、読みたくなる本が、多くありました。
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高知新聞社発行のフリーペーパー「K+」に六年にわたって連載された書評。
すべての文章は本を読む習慣のない高知の親戚たちに向けて書かれたそうです。
図書館で借りた本なので読んでみたいと思った本を、どんな本が載っているか紹介を兼ねて以下にメモします。
本当に読むかどうかはちょっとわかりません。
第一章 高知から本を思う
ぼくを救ってくれた一篇の詩
『さよならのあとで』
ヘンリー・スコット・ホランド著
本を読むことの意味
『パトリックと本を読む』
ミシェル・クオ著
好きな街で本屋を始めた人
『ぼくにはこれしかなかった』
早坂大輔著
東京に行って思うこと
『東京を生きる』
雨宮まみ著
第二章 本との出会い
お気に入りの作家を見つける
『バベル九朔』
万城目学著
古本屋さんへ行きたくなる
『気がついたらいつも本ばかり読んでいた』
岡崎武志著
わからないジャンルの本にチャレンジする
『寺田寅彦随筆集』
小宮豊隆編
本を選ぶコツって?
『これから泳ぎにいきませんか』
穂村弘著
人生に迷っている若い人に
『べらぼうくん』
万城目学著
本は地図に似ている
『サピエンス全史』
ユヴァル・ノア・ハラリ著
第三章 子どもと本
言葉の本当の意味
『ことばのしっぽ「こどもの詩」50周年精選集』
読売新聞生活部監修
夫婦が不機嫌になったとき
『中年の本棚』
荻原魚雷著
第四章 本から得られること
海の向こうの出来事を知る
『ヨーロッパ・コーリングー地べたからのポリティカル・レポート』
ブレイディみかこ著
文章でわかる作家との相性
『うたうおばけ』
くどうれいん著
電車の中で本を読む
『夢も見ずに眠った』
絲山秋子著
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ひとり出版社の島田潤一郎さんの、本の記録。いろいろな世代の、いろいろなジャンルの本が登場して面白い。
p.43 『パトリックと本を読む』
p.67 歳をとり、好奇心が以前より衰え、新しいものを拒否する。そういう姿勢を老いとするなら、棚に並ぶ本を端から端まで眺め、それまで読んだことのない分野を知りたいと願う気持ちこそ若さだと思います。(若い頃に、街の本屋さんや図書館で、「ここに並んでいる本を全部を見たい」と願った、その感覚こそが、その若さの最たるものと言えるのではないでしょうか)。
p.94 本を読むという行為は、あらゆる芸術鑑賞と同じく、「好き嫌い」が尊重される行為だと思います。一般的な作品の価値よりも、個人的の好き嫌いの方が優先され、何人も、それを犯すことができません。だからこそ、本を推薦すると言うのは、よほど間のことを知っていなければ難しいのですが、例外的に、誰にでも勧められる本があります。それは誤解を承知の上で言えば、偏りのない本です。もちろん、原理的に、そんな本が存在しない事は理解しています。何かを書いたり話したりすると言う事は(何かを買うと言う行為ですらも)、すなわち、自分の立場を証明し、どちらかの側につくと言うことであり、完全に中立の立場に立つと言う事は不可能です。
p.118 本には別の顔があります。それは、思索のための道具と言う顔です。普段の友人や家族との会話だけでは消化できない、個人的な悩みや、抽象的な疑問。解決するのに、とにかく時間かかる子たくさんのこと。そういうことを1人で考えるのには、本と言うものの存在はとても便利です。作家の言葉に耳を済ませるようにしてページをめくり、長時間、活字を読むことによって、自分では頭で考えることができない領域の事までをも考える。素晴らしい本を読み終えた後には、見える景色までもが変わってきます。
p.124 親としてできることとは…
それは一言で言えば、子供を尊重すると言うこと。彼らの行動や考えを褒め、自信を持ってもらうと言うこと。彼らを支えるために、いつまでも健康であると言うこと。そして毎日ちゃんと働き、稼ぐと言うこと。
p.160 いい短編集を読むと、そこに収められている短編の数だけ、ぼんやりとした何か心に残ります。人生ってこういう感じだなぁ、と思います。それは、美しさや喜びと言うようなポジティブなものばかりではありません。言うなれば、人生のゴリッとした感じ。息苦しい感じ。嫌な感じ。退屈な感じ。でもなんとなく、明るい感じ。
津村記久子『浮遊霊ブラジル』
p.166 小説を読むことの価値とは何なのだろう?出版社業界の人に会うたび「小説が売れなくなった」と言われている。今、今改めて考えてみます。それは一言で言うと、「豊かな時間」と言うことになるのではないでしょうか。現実世界とは違う、小説内の長い時間に身を委ねる。作家や、登場人物たちの言葉で、自分の事や、今の社会のことを考える。それを1週間、1ヵ月、半年1年と続ける。そうすると、今まで見ていた世界が違って見える。例えるなら、深い水の中から、水面出てきたような気持ち。それくらい、くっきりと何かが見えてくる。
この間、見たドキュメンタリー映画で、主人公が哲学者、ショーペンハウエルの言葉を引用していました。曰く、「本を買うのは、本を読む時間を買う事だ」。思わず、膝を打ちました。まさにその通り。今生きている時間とは違う時間を経験したいから、僕たちは本屋さんで本を買うのです。本を通して買っているのは、知識ではなく、ノーハウでもなく、時間です。豊かな、たっぷりとした時間。それが現実では、とっておきの贅沢になるのだと思います。
僕は旅行が好きです。それは遠出することによって、長く読書の時間が取れるからです。多少事情が変わりつつありますが、つい数年前まで、飛行機の中では、インターネットに接続することができませんでした。だから、長い間、僕にとって「飛行機に乗ること」は「本を読む」ことと同義でした。旅客機が離陸し、雲を突き抜けて、目的地に到着するまでの1時間か2時間。本を読む人は、その間、現実世界から遠く切り離されます。ついさっきまで気にかかっていた煩いごとは、雲の下の船のように小さく見えます。それは活字でなくても、漫画でも同じことだと思いますし、映画でも、コンサートでも同じであるはずです。先程のショーペンハウエルの言葉を借りれば、半年先のコンサートを予約すると言う事は、つまり半年先の時間を前もって買うことと同じです。
p.173 小熊英二『日本社会のしくみ』
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P161
誰か信頼できる人のおすすめの本が知りたくて、青山ブックセンターで購入
ブックイベントで著者本人にもお会いしたことがあり、人柄や過去作にも惹かれ、読んだ
著者の書評が個人エピソードとともに紹介されており、本当に面白かった
難しい本
対人関係を扱った本
を読んでみたくなった
同書で紹介されている気になる作品はすでに棚に追加済み
本好きなら、最近本を読み始めた方にも読みやすい一冊
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感想
糊の役割を果たす知識。何の役に立つか聞かれるようなものを心の中に沈殿させておく。いつか新しい知識が入ってきた時に掻き混ぜられるように。
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夏葉社の代表島田さんが、これまでに読んできた中から、自分の体験をまじえつつ、おすすめ本を紹介。あっという間に読了。ものすごく読書したくなります(^^)
また「読みたい本」が増えちゃいました。
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共感すること多し。ちょうど著者島田さんと同じ子育て奮闘中なので、子どもと本の項目は想いがとてもシンクロする部分。色んなジャンルの本が島田さんの想いや体験談も交えて紹介されている。 『いま生きてる時間とは違う時間を経験したいから、僕たちは本屋さんで本を買う……本を通して買っているのは、豊かな、たっぷりとした時間。』 なるほど、だからこうやって自分自身つい本をやたら買ってしまうのだなと。
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知らない本がいくつも登場し、島田さんの誠実な文章に今すぐ自分も読みたくなる。
その本や読書の時間や体験にまつわるエッセイとしても、とても面白く読みました。
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夏葉社さんの書評集
随筆かなと思い、読み始めた
書評集ではあるが、日常を語り、併せて本を語る
本とともに生きる人の随筆だし、書評集だし
読みたい本が増えるなあ
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著者自身の生き方・生活と絡めての本の紹介。高知新聞社発行のフリーペーパーK+連載記事をまとめたもの。と書くと面白そうなんだけど、感覚的に微妙なずれを感じる。若い人が対象だからなのかなあ。つまり私が年寄りになったということなのだろう。
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表題そのものはそれほど大きなテーマではなくて、どちらかというと著者が推す本の紹介な構成の内容でした。読んだことあるものは「サピエンス全史」しかなかったのですが、逆に、読んでみたいと思わせるものがいっぱいあり、収穫でした♪
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やさしい。
本を読むこと、本の面白さ、楽しさ…それらにあふれたエッセイ集。
詠みたい本が増える本でもある。
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本を読む事への気持ち、読みたいけど読めない気持ち。読書って時期と環境によって変わるよね?ってそれはそれで良いんじゃない?って友達に言われたような気分。私自身が何年振りかの読みたい、読める時期に入った今だから発売前から目について読めたのかも。紹介されている本も色々気になったので読みたいリストに入れよう。夏葉社の中の人は作る本も文章もジンワリと沁みるな。