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投稿者:ツクヨミ - この投稿者のレビュー一覧を見る
書店のバイトを辞めて、半ば引きこもり状態だった一香が、家事手伝いとして働き始めたのは、天才的な嗅覚を持つ調香師の朔の住む、森の中の古い洋館だった。
朔さんは匂いに敏感で、人の嘘の匂いまでわかってしまう。匂いにあふれた世界は、彼には生きにくい場所だ。そして一香にも、誰にも言えない、考えたくない過去があり…。
物語はとても静かに進行していく。文体が美しい。読み終わるのが惜しくなるほどだった。読んだ後も、しばらく余韻に浸ってた。
騒々しいものばかり読んでいたせいか、この本はとても心地よかった。
自分にとって忘れられない匂いって何だろう?
2023/07/03 15:40
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投稿者:りんご - この投稿者のレビュー一覧を見る
どんな匂いであっても(体臭等でも)思うがままに作り出せる調香師・朔と、その家事手伝いとして働くことになる一香の日常。
調香を依頼する人の中には、様々な背景を持っており、中には朔が作る香りが毒となってしまうことも。
大きな起伏はないが、季節の移り変わりのように穏やかに展開していくストーリーが心地よかった。
自分も「匂い」に少しだけ敏感な部分もあり、好きな匂いや苦手な匂いはもちろんあるが、過去を呼び覚ますような"匂い"は思いつかず、ちょっと意識してみたくなった。
香水大好きの友達がすすめるので
2023/08/12 21:50
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投稿者:エムチャン - この投稿者のレビュー一覧を見る
自分は、あまり香水には興味なかったのですが、読みました。書店勤務の一香は、古い洋館の家事手伝いのアルバイトを始めますが、なんとそこでは調香師の小川朔が、幼馴染の探偵・新城と、香りを作っていて……。という展開。ここまで鼻が利くと困りそうな???
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これは今までとなんか違う。
もっと疑いを持ったまま読み終えたかった。
綺麗で満たされる。それが腑に落ちない。
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「匂いは残るんだよね、ずっと。記憶の中で、永遠に。みんな忘れていくけれど」
美しい装丁と、洋館×ミステリアスな登場人物×香り×料理という、ありそうでなかった設定に惹かれて手に取った。
文章から香りを想像することは普通なら難しいが、著者の豊かな語彙力ので、まるで香りをかいでいるような気分になる。
本作では、そんな香りに魅せられた様々な登場人物たちが自分だけのひと瓶を依頼しにやってくる。
依頼人を相手するのは、天才調香師の朔。
この朔がすごく魅力的だ。
実写化するとしたら、吉沢亮や松坂桃李あたりでお願いしたい。
そんな朔は、人が気づかないような匂いまでわかってしまうため、時には警察に協力したりもするが苦悩も多い。
そして、朔の住む洋館の家事手伝いのアルバイトをする主人公の一香。
彼女もまた、人に言えない闇を抱えている。
しかし、一見弱そうな彼女だが、依頼人について根掘り葉掘り尋ねるわけでもなく、寛容で人に対する距離感が個人的に好きだった。
作中、料理を作る様子が季節ごとに描かれていて、どれも食べてみたいものばかりだった。
美味しいもの好きな著者の食べ物への情熱が伝わってくる。
食べ物の描写がある事で、ミステリアスな雰囲気から、美味しそうな食事を囲むシーンがほっとひと息つかせてくれ、重さのバランスがちょうどいい。
香りとは実に危険で魅力的なものである。
時に自分を盛り立てる魔法になり、嫌な記憶を呼び起こす呪いにもなる。
自分なら朔にどんな香りをお願いするのだろう。
美しい香りだろうか、秘密の香りだろうか。
そんな想像をせずにはいられない魅惑の香りが漂う1冊だ。
こんな人におすすめ .ᐟ.ᐟ
・繊細な表現がされているものが好きな人
・香りものか好きな人
・美味しそうな食べ物が出てくるものが好きな人
・ミステリアスな雰囲気が好きな人
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面白くてすらすらと読むことができました。
朔さんと周りの人々のこれからが気になります。
続刊も楽しみです。
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ああ、深くて脳の奥の方を刺激された感じのする物語だった。それはきっと嗅覚のお話だったからだな。読んでいる間はどこからか香りがするような気がして、お布団の柔軟剤の香りがいつもより強くするような気がした。あっという間に読んでしまった。
香りは人を壊し、人を再生させる。味覚はショッキングなことがあるとしなくなる。五感が鋭くなるように、小説の中の音も大きく聞こえるような気がした。こんなものを作り出せるのは、ほんとうにプロの技だ。
p.104
「当題なことはね、みんなそうだろう。でも、嘘をつくというのは気力のいることだか
ら」
「気力、ですか」
「自分を騙すにしろ、相手を騙すにしろ、それなりに身体にストレスがかかるからね。
ある意味、たくましいってことだよ。もちろん息を吐くように嘘をつく、病的な嘘つきもいる。そういう人間の嘘はわからないこともあるけど」
優しくしてくれるさつきちゃんを思いだす。彼女にも話していないことが、私にはある。
「私、友人にも本当のことを話さず、欺いています」言ってから、これではまるで懺悔だと思う。目をそらす。湖さんが身じろぎした気をがソファの軋みで伝わってきた。ソファのスプリングはどうやって手入れをすればいいのだろう、と見当違いなことを考えてしまう。
「一香さんは」
深い紺色の声で名を呼ばれた。
「取り繕っているだけ。もしくは流している。おそらく、あなたの中にはいま気力がない。人の言葉や出来事を受け止めて、呑み込んだり弾き返したりするのが難しい状態にある。だから、感情を抑制してやり過ごす。それは嘘とは違うよ。欺いてもいない」
自分の手を見つめた。いつの間にか、膝の上で握っていた。
p.202 木場は口を結んだ。ややあって「そうだ」と低い声で言う。「運動会だってまともに見にいってやれなかった」
なにかを言いかけてやめる。走る姿を見ておけば良かったと目が語っていた。
「翔くんは不安でいっぱいですよ」
「当たり前だろうが!あんな病気なんだぞ」
声を荒らげる。「そんなことお前に言われなくてもわかってる!」と怒鳴る木場をさんはまっすぐに見つめる。
「違う。彼はあなたに見捨てられないか不安なんです」木場が呆然と口をひらく。
「俺が?翔を見捨てる?そんなことあるわけがない」「そう思っているのはあなただけです。子供はいつだって親に嫌われないか心配なんです。大人になってそのことを忘れてしまうのは、一人で生きていけるようになるからですよ。あの子はまだ違う。あなたはあの子のことをまるでわかっていない」「お前、お前に…••・・」と木場の顔が真っ赤になった。朔さんに掴みかかる。私が止めようとする前に運転席から新城が飛びだしてきた。
「だぁー!もう、あんま挑発するなって。はいはいはい、木場さんも落ち着いてくださいねー。こいつ、こういう無神経な奴だってよく知っていますよね」
ぐいぐいと木場と湖さんを引き離す。朔さんはそれでも喋り続ける。
「木場さん、どうして翔くんに触れないんですか。触れてませんよね、彼にあなたの匂いがまったく付着して���なかった。抱き締めなくても、頭を撫でるとか、背中を叩いてやるとか、できるでしょう。他の人間には平気でばしばし触るのに、息子さんには近づけないのはなぜなんです。どんな事件にだって食らいついていくのに、人の内面や過去にずかずか踏み込もうとするのに、どうして彼には向き合えないんですか。罪悪感ですか?それとも・・・・・・」
新城を押しのけて木場の腕を掴む。ずんぐりした笑に香水瓶を握らせる。
「これを嗅がせれば翔くんは喜ぶでしょう。あなたからのプレゼントだと言えば、元気にもなるかもしれない。けれど、こんなもの一時しのきですよ。シトラス系の香料は軽やかで好まれやすいけれど、すぐに増えてしまう性質があるんです。それと一緒です。あ
なたにはもっとやらなくてはいけないことがあります」
「朔!」
聞いたことのない声で新城が叫んだ。「もうそれくらいにしとけ」たしなめているのに、自分が傷を負ったような悲痛な顔をしていた。朔さんは新城を横目で見て、口をつぐんだ。風の音だけが抜けていく。
やがて、木場が「そうだな」と地面を見つめながら言った。香水瓶を握り締めている。
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香り・匂いは視覚情報とはまた違った届き方をする。視覚情報に囚われがちだが(インスタグラムとかもそうてわすね)、香り・匂いが与えるものの大きさを改めて感じた。
「さんかく」で千早さんの食の描写に魅力を感じていたけれど、香りの描写も合わさって、素敵な出会いがたくさん詰まった本でした。ハーブ、詳しくなりたいなあ…。
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自分も匂いで昔を思い出すことが結構あって、思い出せなくても、この匂い懐かしいなって思うことがあるから、この本に共感できるところが結構あった。
「失うともう思い出せなくなるのに、違うということだけはわかるのだった。
けれど、その違いにも数日経てば慣れて気にならなくなっていく。」
この言葉はほんとその通りだと思う。
千早茜さんの本、やっぱり読みやすくて好き。
登場人物がとっても魅力的。どの本も魅力的に感じる男性が出てくるけど、それはどれも秘密を抱えた少し闇のある人だと気づいた。
続編も読みたい。
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久々に引き込まれて一気に読みました。
香りがたくさん出てくるのですが、想像しながら読むのが楽しかったです。
物語の終盤、朔さんが心のうちを一香に話す場面では、涙が出てしまいました。
静謐、という言葉が浮かんでくるような物語でした。
続編も読みたいと思います。
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一香と朔が抱えているものと、2人の行く末が気になりするすると読めた。
香りと記憶は結びつくという話、人は無意識のうちに自分にも嘘をつくという話は印象に残った。
主題とはずれるが、読みながら四季の移ろいを感じられて心地よかった。洋館での暮らしのように、食べるものなどを通じて季節を楽しむ心を持ち続けたいと思った。
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とりあえず言葉が綺麗。
一つ一つの表現が本当に美しく物語に魅入ってしまいました。
登場人物の一人一人が素敵でそれぞれの欲望や信念、美学など心がしっかりと描写されていて全員好きでした。
「執着と愛着の違いとは何か。」
誰かに愛されることも誰かを愛すこともなかった朔が初めて人を愛したときの不安や恐さがこの言葉に詰まってるのかなと感じました。
最後までもっとドロっとした愛の描写が続くのかと思いましたが、サラッと綺麗に終わったので少し物足りないような、安心したような感覚でした。
罪を背負い、傷を背負った2人が癒し合い幸せに笑うことを祈ります。
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感想
夜の空気の匂い。時間によって変わるそれは様々な想いを湧き立たせる。奥底の記憶を掘り起こす。孤独も、幸福にないまぜにして。
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最初は正直言って単調な話だなーと思ったけれど、朔と新城と出会ってから面白さが加速した。
一話目が一番すき。香りに狂わされた女。
「鼻がいい」っていうのがピンとこなかったんだけど、読んでいてこんな弊害があるのかと思った。嘘をついているのが分かるって非化学的な話かと思ったけど、ちゃんと理論だって説明できるんだな。
あととにかくごはん描写が上手い。読んでいてお腹がすく。こんなところで働きたい~~。
1ページめくるたびに匂いたつような描写力に圧倒です。
新城がとっても好き。女関係はルーズでヘビースモーカーで、だけど情には厚い。朔との友情関係がたまらん。
続編も出たとのことで楽しみ。早く文庫化されてほしい!
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心地よい香りが漂う美しい小説に出会った。
すごくすごくお気に入りの作品になった。
朔さんが登場すると、本越しにこちらの感情や体臭を見透かされるようでドキドキしてしまう。