紙の本
モラハラ
2023/08/18 14:19
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投稿者:くみみ - この投稿者のレビュー一覧を見る
現実に躓いたとき、過去を引きずる者と美化する者。自分の物差しで人をはかり、積み上げてきた優越感が崩れていく、小さな世界の崩壊と再建を描いた物語。
学校や職場での精神的イジメ、親や夫の支配。今では「モラハラ」と名がついてはいるものの、グレーな判断になる出来事を、加害者と被害者両方の観点から利己的に晒した、人の醜さが覗ける作品。どこまでが加害者で、どこからが被害者なのか。いつまで一方的な被害者でいられるのか。「他人の所為にする」という訳ではなく、単純に「何が、誰が」そういう人間を作り出したのか。それを良しとしてきた事は罪なのか?多角的に問題と向き合う大切さを教えられた。漠然とした不安を煽る展開と、鼻につく勘違い人間の描き方に、「黒テラチ」が存分に窺えて面白かった。
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サクサク読めた。
心に秘めてる思いを言葉にしてくれるそんなお話。
「自分は強くなどない。昔もいまも、強くありたいと願い、それを叶えようとはし続けている」
「外見がどうだとか勝手な基準をこっちに当てはめて評価する権利があくまでも自分のほうにあると思っている。いつでも自分が他人を『認めてやる』側にいると思っている」
莉子を取り巻く人間関係がクズばっかり。類は友を呼ぶ。
学生時のカースト上位タイプの人って、やたら高校時代に戻りたいとか、あの頃は若くて最強だったって話をするよなあ、しみじみ。
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【どれほど醜くても、愚かだと笑われても、地べたを歩いて行こうと決めた。わたしに、翼はいらない。】【わたしが、『強く生きていく』というポリシーを持つことは、ちっとも間違ってない。でもそれはそれとして彼らはちゃんと罪を償うべきだった。わたしがあの出来事を乗り越えた、だからもういい、なんてそんなわけない。】【行ったことのない場所に、自力で辿りついた。それだけで、もうじゅうぶんな気がしている。すくなくとも今の自分にとっては。】【朱音は今ここに至るまでの痛みを死ぬまで忘れない。でも過去に置いていく。】 【わたしはわたしから逃れられない】さあ、自分を生きよう。それぞれがそれぞれを。自分の中心にある「生きるちから」に気づかせてくれた、読書時間だった。
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読んだ直後はよくわからなかった。録画していた王様のブランチを観て寺地さんの言葉を聴いて納得出来た。そっか、そういう事だったのかと。胸にある黒いものを無理に忘れよう、なくそうとしなくてもいいんだなと。
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全体的に暗い、じめっとした雰囲気だけど自然と引き込まれる。憎悪と自己嫌悪のるつぼから抜け出し、友だちじゃない大切な人を見つけるおはなし。
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本当にその辺にあって、よく耳にしそうな内容の話で怖い
小学生までそんなに気をつかわないとダメなのか…
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読み始めてからずっと心苦しい感じがした。自分は登場人物の誰にも似てないのに、それぞれの感情には共感できる、もしかしたら自分も経験したことがあるんじゃないかという気がして。
寺地はるなさんの小説の、一見何気ない文章に、いつも強く惹きつけられてしまうことが多い。寺地はるなさんの書く言葉や表現がやっぱり好きだなあとまた思った。
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学生時代のスクールカーストで上位にいた莉子と大樹。下位にいた朱音と園田。
大樹にいじめられていた園田は、大人になってからふと「死にたい」と思った後に、「どうせ死ぬなら、あいつを殺してから」と考える。
大樹と結婚した莉子は、自分を見下げる大樹と離れたいけれど、自分から離婚を切り出して、誰かに責められるのが嫌だ。ならば大樹が死ねばいい、と考える。
二人とも、ふと思いついた、という感じで思考の流れの一部として出てきた感情。
その邪気のなさが、かえって怖い。
…
小学生の頃、男子たちに「飛べ、飛べ」とはやされて、2階から飛び降りた朱音。お見舞いにきた学年主任の先生はこう言った。
「誰に何を言われても、きみは飛び降りちゃいけなかったんです」
「飛び降りるのではなく、飛びなさい」
雲に届くように高く飛びなさい。きみには翼があるんです。
(89ページ)
でも、大人になった朱音が出した結論は、「翼はいらない」。気高く強く美しく、飛ぶ必要はない。
誰かを殺したいと思い、誰かに死んで欲しいと願う、そんな強い感情を乗り越えた彼らの未来が、あまりに優しくて泣きそうになる。
作中に漂う不穏な空気に圧迫されていた後の、開放感!
誰かの唱える崇高な「こうであるべき姿」に従わなくてもいい。友だちなんていない。強くなんてならない。それでも、私たちは生きていける。
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過去の傷を抱えた三人の主人公たち。
それぞれの視点で語るその感情に誰しもが共感を覚えるはず。
忘れたくても忘れられない辛い過去。
許せない人の存在…
著者からのメッセージを受け取ることで心が軽くなり、自分の考えや信念を持つ大切さ、進むべき道を見つけるための指針となる作品です。
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プロローグとエピローグ そう言う繋がり方なんですね。
それぞれが過去のイジメやモラハラ夫や姑やママ友や何かしら 心に暗い物を抱えてる人達。
時に被害者時に加害者。
いろんなところで繋がってて 意外と狭い世界の出来事。内容紹介に サスペンスとあったけど そこまで?って感じではないかな。
細かい事件は起こるけどその後は?
スジが通ってて 自分の信念を崩さない朱音がまともな気がしました。
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誰もが、自分が正しい、いや、自分はおかしい、そう答えを出さないまま生きている。明らかな悪に逆らう術を知らず、それが人を死にたいほど追い詰めるイジメやイジりだと思わない者、やられた事を引きづる者。感想が難しいが、寺地さんの物語は、いつも心にとてもとても残る。読んで良かったといつも思わせてくれる。
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帯にサスペンスとあったがそこまでサスペンスな話ではなかった
学生の時のカースト まだ引きずってるのバカみたい
でもこういう人いるよね〜と思いながら読みすすめた
朱音に一番共感した こんな人になりたい
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感情移入してしまうとしんどい作品。
1番揺さぶられたのはモラハラ夫に悩む彼女の独白のシーン、感情がぐわーっとこぼれ落ちるみたいな。
もちろん加害者サイドの思考には呆れるばかりだし同情の余地もないです。
でも変わろうともがいている姿には「良かったやん」と思う。
自分と自分が大事にしたいものは死守しようと思わせる作品でした。
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感想
飛躍は必要ない。孤独に、恨みに浴することで殺意は澱となり溜まっていく。特別なきっかけは何もない。どこにも断絶が見つからない危険。
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寺地はるなさんのご本はいつも面白すぎて一日で読み終わってしまう!
それぞれの話がきちんと書き分けされてて読みやすかった。
わたしが好きなのは莉子ちゃん視点。
序盤は全く共感できなくて!この人めっちゃ自信過剰じゃん、わたしの苦手なタイプ…って読み進めていたんだけど、終盤で自分を客観視できるようになってて、むしろ低めに見るように自分に言い聞かせていて、成長が感じられてよかった。
終盤の莉子ちゃんに対する 鈴音ちゃんママに似てきたね は褒め言葉だよね。あの場面ではわたし莉子ちゃんの立場に立って、言われて嬉しくなっちゃったもん。
朱音さん視点は、この人すごく落ち着いた考えをする人だなーと思いながら読んでた。
この人みたいになりたい、と憧れる人。
よくわからなかったのは園田くん視点かなー?でも最初のしぬぐらいならころそう、はちょっとわかった。
あと朱音さんに依存しそうなところもわかるかなー!朱音さん、頼りたくなるよね。
朱音さん>(越えられない壁)>園田くん>莉子ちゃん ってイメージ。1番芯を持ってて揺るがなさそうなのが朱音さん。莉子ちゃんは序盤のゆるふわなイメージがあって。
朱音さんは芯の強そうなイメージが強いけれど、序盤のお靴で自分を奮い立たせてる場面があるので、実は弱いのかもしれないねと思ったりもした。
終わり方が好き。
みんながそれぞれ自立しているところが見れてよかった。それぞれが幸せでありますように。