人間の想像力には限界がある
2016/12/08 23:35
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投稿者:休暇旅行 - この投稿者のレビュー一覧を見る
「きわめて重要なことは、どんな人間であろうが、限られた分野以上のことを調査することや、ある一定の数以上のニーズがどれだけの緊急性を持っているかを考慮することは、不可能であるという、基本的な事実である。自分の物質的な必要にしか関心のない人であれ、すべての人間の福祉に熱い関心を持っている人であれ、考慮できる目的の数は、全人類のニーズ全体に比べれば、きわめて微小な一部にすぎないのである。」
「個人主義哲学は、通常言われているように、『人間は利己的でありまたそうあらねばならぬ』ということを前提としているのではなく、一つの議論の余地のない事実から出発するのである。それは、人間の想像力には限界があり、自身の価値尺度に収めうるのは社会の多様なニーズ全体の一部分にすぎないということである。」(pp.73-74)
資本主義は本当に悪かを問う作品
2016/02/03 16:32
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投稿者:素振りをする素振り - この投稿者のレビュー一覧を見る
社会主義を支持する者たちの社会主義という概念は、沢山の人の平等や生活の安定といった社会主義の究極目標としての理想や民間企業の廃止、生産手段雌雄の撤廃や計画経済体制の創設といった特定の方法を意味している。これだけではなく他にも様々な解釈がなされており、社会主義について混乱を招く結果を生み出している。
新自由主義に続く一作
2019/05/08 15:23
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投稿者:undecane - この投稿者のレビュー一覧を見る
1929年から続いた恐慌、大戦期において、社会は右派左派を問わず、全体主義の方向に向かっていた。ハイエクはこの世界の流れの中で、人類に本当の意味での「自由」を保持し続けることができるのだろうか?と問うている。
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投稿者:ぱらふぃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
トマ・ピケティの「21世紀の資本」の影響があって富の再分配が注目され、政治の世界では「民共合作」といわれるような左派連合の台頭もある。日本が社会主義国になるとは思わないが、集産主義的な考えに寛容になっているような気配はある。
集産主義的な計画経済に陥れば、本書が示すように経済的自由は保証されず、市場が抑制され、職業選択の自由も剥奪されてしまうだろう。もちろん、貧富の格差拡大は事実であって、何らかの対策を行うことが望ましい。
本書は1944年の著書ではあるが、それゆえ、現代にも通じる問題を歴史的な過ちを念頭にしつつ見つめる、良い一冊となってくれる。
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投稿者:min - この投稿者のレビュー一覧を見る
自由主義への嫌悪感が、ファシズムのゆりかごになった。
そして計画経済を目指した有能な人々は、その努力に
よって地獄を作ってしまったいう。
市場の情報統制、計画化は、変数が多く、簡単には割り
切れないものが多く含まれ、不可能であるため、競争が
政府の介入や強制なしに調整可能な唯一の方法と説く。
* * * * * * * * * * * * * *
しかし、現在の市場を見てみれば、競争とは別の側面で、
信用創造は破綻しているように見える。
何がしかの計画化が必要に見えているので、歴史は
また螺旋階段を一周登って繰り返すのであろう。
ハイエク全集 1-別巻 新版
2012/09/18 23:11
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投稿者:のんびり屋のカユ - この投稿者のレビュー一覧を見る
隷属への道、という有名な本。
資本主義は善で、社会主義や共産主義という計画化は独裁体制に至る悪である、というのを
多種多様な側面から言及している。
社会主義や共産主義=隷属、として
そこへ至る道はどのようなものであるか、ということを
随所に述べている。
ただ、最後のほうで
「法(道徳)の支配を実現するために絶大な権力をもった国際的当局が必要」と
それが今まで批判してきた隷属体制と同義になりうることに気付かない辺りは
全体的に見た時に少々詰めが甘い。
話の流れを整理するのが難しいところが散見されるため
どちらかというと専門家向け。ただ言葉は難しくないので
「ちょっと専門的なことも知ってみようかな?」
と思ったら手に取るといいでしょう。
意味不明でした・・・
2012/07/08 20:13
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投稿者:ミスターチルドレソ - この投稿者のレビュー一覧を見る
あまりにも内容が意味不明で、読むのに苦労しました(本当に意味不明で、毎日10ページずつ読みすすんでいきました。それでもかなり辛くて、読んでてイライラしてきました・・・)。難しい言葉が使われているわけではないのですが、意味不明な内容で、全く理解できませんでした。難しい言葉はないし、難しい書き方ではないのに、読みにくい本ってあるんですね。ヘーゲルの本と似たような所があります。はっきりいって、普通の人では理解できない本で、ネットのレビューなどでこの本をオススメしてる人も、ほとんどはイマイチよくわからなかったはずだと思います(最後まで読めた人がどれほどいるのでしょうか・・・?)。
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英国をUS, ドイツを幾つかおもいあたる国におきかえて読んでると思いあたることが多く、こわくなってくる。
読み進めるのと同時進行でおこっている現在の日本の状況を考えると、この国は"隷属への道"をたどってしまっているのではなかろうか。。。
また、日本の経済が停滞しはじめたのは経済経営に失敗したためだけではなく、「ゆとり」、「結果の平等」をもとめて「競争」をないがしろにしはじめたころからではなかろうか。。。
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リバタリアンがどういった考えを持っているのかが分かる本。
ミルトン・フリードマンの『資本主義と自由』に比べると、概念的な部分が多い。
とは言え、ハイエクの考え方も知っておいて損はないので、読んでみると面白いかと。
リバタリアニズムは合理的で、なかなか反論するのが難しいことを再認識する。
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<目次>
1994年版序文 M・フリードマン
序章
第一章 見捨てられた道
全体主義はわれわれの思想的誤りから生まれてきた
自由文明の発展と自由主義の衰退
西欧文明を崩壊させる思想
第二章 偉大なユートピア
自由を主張する社会主義の矛盾
ファシズムと社会主義は同根のイデオロギーである
第三章 個人主義と集産主義
社会主義をめぐる混乱
自由主義的計画対中央集権的計画
自由放任主義の誤りと自由主義政府の使命
真の自由主義に「中庸の道」はない
第四章 計画の「不可避性」
技術発展が独占を生むという神話
政治による特権こそが独占を生みだした
価格という「情報」こそ複雑化した社会で力を発揮する
選択の多様性が未知の世界への発展を保証する
「計画化」は偏った知の幻想である
第五章 計画化と民主主義
「公共の福祉」は内実のない概念である
すべての価値を考慮することは人間にはできない
計画化は民主主義政府には不可能である
専門家による計画という危険な幻想
民主主義の破壊
民主主義は手段にすぎない
第六章 計画化と「法の支配」
「人による支配」から「法による支配」へ
抽象的ルールこそ法である
自由裁量による法の破壊
「結果の平等」は自由を破壊する
権力の制限こそ「法の支配」の眼目である
社会主義は「法の支配」と相容れない
第七章 経済統制と全体主義
「経済的問題」という誤り
経済の統制とは全生活の統制である
経済を統制する権力は無制限の権力となる
経済統制は職業選択の自由を奪う
「経済の終焉」という幻想
経済的自由なしにどんな自由も存在しない
第八章 誰が、誰を?
私有財産は自由の最重要の基礎である
諸個人の運命が政府の手にあるという悲劇
「分配の正義」に確固とした答えはない
「公正所得」は新たな差別をもたらす
社会主義は洗脳を必要とする
全体主義は中産階級の社会主義である
特権集団間の闘争
第九章 保障と自由
自由の下での保障と自由を破壊する保障
所得保障という危険な罠
生命や自由とひきかえに与えられる保障
保障という特権が社会を毒していく
「官僚国家」が自由を圧殺する
第十章 なぜ最悪の者が指導者となるのか
独裁権力が道徳的であることはない
強力な政党は人間の下等な部分によって組織される
集産主義は排他的な権力賛美へと向かう
「自由主義的社会主義」はありえない
集産主義はあらゆる道徳を否定する
個人���義的美徳と軍隊的気風
不道徳な人間こそ権力への道を進む
第十一章 真実の終わり
統制は「真実」をも歪めねばならない
価値判断を正当化する「神話」
歪曲される「自由」や「正義」
イデオロギーに沿わない学問は弾圧される
知的自由こそが未知の世界へと導く
第十二章 ナチズムの基礎としての社会主義
全体主義は社会主義から生まれた
軍隊的目的遂行主義への賛美
人間より組織を
「国家」「社会」こそ重要であるという主張
「官僚国家」への道
第十三章 われわれの中の全体主義者
知識人達に見られる全体主義への傾向
社会の組織化に対する知識人の欲求
科学者達の全体主義的志向
組織された資本家・労働者が自由を圧殺する
労働運動による自由と民主主義の破壊
第十四章 物質的条件と道徳的理想
個人に理解しえない力こそが文明を成り立たせている
「完全雇用」という幻想
経済問題の解決には富の一般的増大が必要である
「個人的理想」の理想が再興されねばならない
英国の自由主義的伝統の復興を
第十五章 国際秩序の今後の展望
経済ブロック化の危険
国際的経済計画という誤った考え
国際的計画は新たな紛争を招く
大国による力の支配
連邦制度が国際秩序を創出する
「法の支配」を国際的に拡げなければならない
結び
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おそらく訳がひどい。日本語として文法的におかしいときもあるし、副詞が癖のある用法なので読みづらい。
だが解釈して読み進めれば、当時のハイエクの批判自体は正当だと思われるし、これが第二次大戦中、冷戦とその終了が起きる以前に書かれたことに驚きを禁じえない。
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2010.5.23
社会主義・集産主義・計画経済を批判しながら、自由主義の大切さを説いた著作。
僕らの世代は、社会主義はもう過去の遺物みたいな感じの認識を持ってると思うけど、何故社会主義が崩壊したのかってことは知っとかないと、今後同じ過ちを繰り返してしまうかもしれない。
この本は読み直して、ものにしたい。
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マイケル・サンデルの「これからの正義の話をしよう」で「自由であることこそが正義だ!」という考えが否定されていたが、僕はサンデル先生の考えをそのまま受け入れるべきか逡巡し、自由主義者の考えにも触れておいたほうが良いだろうと思い、この本を手にとった。
読み終えて、全体主義や計画経済を全否定していることは良くわかった。ただ、あるべき自由の姿がどうにもこうにもイメージできなかった。(自分の理解力の無さもあるだろうが)
「人による支配ではなく法による支配を!」という考えも納得できたが、法も人が作るものである以上、人間的な何かから逃れられないのではないかという疑問が残る。
なぜ人は自由でない方向へ進んでしまうのか、人の選択を支配しているのは一体何なのかというところが知りたくなってきたので、積読状態である「自由からの逃走」と「選択の科学」を読んでそこらへんの理解を深めたい。
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ネオリベラリズムの理論的支柱、ネオコンサバティズムの源流として、リーマンショック以降はケインズの対抗軸として、毀誉褒貶激しいハイエク。
本書でも自由主義と個人主義を擁護し、集産主義を徹底的に批判する。その批判は、集産主義の理念そのものへの異議申立てから、集産主義を遂行した場合の論理的帰結の矛盾にまでおよぶ。ハイエクにとって、自由主義は社会的厚生を高めるための手段であるだけでなく、自由それ自体守らなければならない価値であり目的でもある。
そうしたハイエクの自由に対する姿勢は分かるが、やはり時代性は考慮する必要がある。ウェーバーの歴史認識が現代からみれば誤りだらけなように、ハイエクが依拠したのは半世紀以上前の理論。いまとなっては理論的な先進性はないし、経済発展を所与としているのも現代の状況とは違う。あるいはハイエクのシステムに関する思索の欠如について松岡正剛が指摘していたが、この点も留保しなくてはいけない。
理論的な知見を汲み取るのではなく、ハイエクの問題意識を現代的な課題とどう繋げられるかが問われるのだと思う。
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読み直したさ:★☆☆
第五章,第六章あたりは読み直したい。
全体を通して計画経済批判。計画化のための権力の委譲は,それが一部のみの委譲だと思っていても,結局は包括的な権力の委譲となる。
計画主義批判は全体を通して完成する。ただし,第十五章には批判ではなく,第二次世界大戦後の世界の展望が描かれている。