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投稿者:イシカミハサミ - この投稿者のレビュー一覧を見る
「不倫」
恋愛のいち形態ではあるけれど、
やはり多くはタブー視する出来事かと思う。
そのせいで世間では画一的な見方しかされないし
(悪い事、とんでもない、目の敵)
最近量産されている不倫ドラマは、
一時期のミステリードラマのように
非日常の負荷を登場人物に与えることで
「人間」の側面を炙り出そうとしているような作品が多くて、
不倫そのもののリアリティは重要視されていないように感じる。
しっかり不倫の一面に切り込んだ作品。
タイトルが秀逸。
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「人の夫を寝盗ること」が趣味という桃子。
彼女に悪気はない。
そんな桃子の恋の相手は、尊敬する料理研究家の沢口先生の旦那で、売れないイラストレーターの太郎。
そんな3人の視点で話が展開される。
今までの旦那の浮気相手とは違う、自分の身近にいる女。
危険な三角関係ではあるけれど、内2人には悪気がなくて…なんだかね…
ちょっと普通では考えにくいかも…
2024.10.14
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普段小説を読む時は情景が映像として頭の中に想像できるけど、本書は文章のスピード感が早過ぎて、、、言葉そのものとしてスッと入ってきました。恋人、妻、夫の3人から話をそれぞれ聞いているような錯覚に陥るくらい。
山田詠美さんは人生において“たいせつなもの”を教えてくれる。さすが、山田詠美さんな一冊でした!
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起きていることが1つですが、それぞれの目を通すと全く違うものに見えている、ということがあるのだなと思いました。
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不倫の真っ只中にいる3人の男女の視点切り替え方式が、なんだか法廷に立ったような感じで色々と自分なりの論理や言い分を遠回しにこちらに投げかけてくるようなものを感じて面白かった。
ドロドロしていて、辛い。
同じ女としては、奥さんである料理研究家の先生がどうか報われて欲しいと1ページ1ページずつ捲っていた。悲劇ではない不倫、だとしても、夫である男性はなんとも罪深いとも思える。桃子にしたって。立派な共犯関係であるのだから。
そしてきっと桃子ちゃんはこれからも人の男を何食わぬ顔して掻っ攫って食い尽くすと思うな。誰と居ても。知らんけど。
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久しぶりに読んだ山田詠美氏の作品。
言葉の表現の端々から、独特な響きが溢れて来る。
やはり私は作者の作品が好きだと思った。
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読み始めは、これあんまり好きじゃないかも…と思ってたが、さすが山田詠美先生という感じ。あんまり書くとネタバレになるから言わないけど、非常によかった…
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私の趣味は人の夫を寝盗ることです。などと、世界の真ん中で叫んでみたいものだ。〜
の一節から始まり、不倫について、恋人、妻、夫、恋人、妻、夫、そして取り巻く人達の視点で章が分かれている。
恋人は自由を謳歌しており、夫は恵まれた環境に窮屈さを感じて女を求める、妻はそれを見て見ぬふりしながら最後は妻の元に帰ってくるしかないのよと過ごす。
恋人はいい加減だし、夫も妻を舐めてるし、妻が1番現実的で苦を背負っている。
妻しか共感できなくて、他はなんていい加減な人達だろうと。2人は遊びに過ぎず、恋人はふらふらと色んな男を食っていくだろうし、夫は本当に愛しているというかいて当たり前な存在が妻なんだよと都合のいいことを言っている。
「不倫の三角関係がおっきいスキャンダルに発展するのは、少なくともそのうち二人が成功したビッグネームだった時だけなのよ!」p213
という台詞でスカッとした笑
でもやっぱり、二人の考え方が軽薄すぎて嫌い!
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憧れの料理研究家、喜久江のもとで助手として働く桃子は、喜久江への尊敬の念はそのままに、喜久江の10歳年下の夫、太郎といわゆる不倫関係になる。
夫婦であり師弟であり、恋人である桃子、喜久江、太郎のそれぞれの言い分に、さもありなんと納得してしまう。愛し方、愛のかたちは人それぞれ。的外れな外野の声は聞かなくていい。自分だけのセオリーや倫理があればいいのだ。
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大の山田詠美好きとしては最高の作品。というかエイミー語録として最高。
山田詠美の言い回し、比喩といった言葉の使い方が堪能出来る。もちろん内容もエイミーらしく爽やかでねちっこい。
今の時代、社会の倫理観に反することをすれば第三者からも責められてしまうけれど、男女の関係は男女の数だけ正解があるんだから、知らないやつは黙ってな、というエールだと受け取った。
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「私の趣味は人の夫を寝とることです。」の一言から始まる本作。
少し皮肉めいて、でも、仕方ないと言わんばかりの開き直り方でそう語る主人公の一人がとても魅力的に思えた。
私は器用ではないので浮気はしたことがないが、自分の気持ちに素直に行動できるのが羨ましいと思った。
同時に、「寝取られる側」にもプライドや意志があることも印象的だった。
浮気されても最後に帰ってくれればいいという覚悟。
そうやって我慢するのは癪だなと思うから、私の恋愛は長続きしないんだなと悟った。けど癪には変わりなくてもやもやした。
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「私のことだま漂流記」を読んで、
これまで読んだことのなかった山田詠美作品を読みたくなった。
個人的には表紙が好き。タイトルも。
料理と恋愛(不倫?)という、似てないようで似ているところがある。上手いなぁ。
不倫に興味はないし、否定派だけど、
3人とも応援したくなる。
みんなそれぞれの本音があるよね。当人にしかわからない。幸せになってほしいと思いながら読む。
月が綺麗ですね。なんて、ベタだけど、好き。
似合ってる。
他の作品も読みたくなった。
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独特の言葉遣いのモノローグに最初は嫌気がさし、久しぶりに山田詠美の作品を読んだけどこんな感じだったっけ?という印象。
慣れてしまえば読み進められた。
桃子のモノローグ部分はイライラもしたけど共感するところも少しあって、喜久江のモノローグ部分は仕事も家庭も完璧な料理研究家、という自分が作り上げたイメージとは裏腹の心情に共感と哀しみを感じ、太郎のモノローグ部分は腹立つことばかりだった。
結末というより、過程を楽しむ作品なのかも。
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まずタイトルに惹かれた。『血も涙もある』どういうことだろう?加えて意味深なカバー。よく見ると不気味なのだがそれよりもあらすじが気になり手に取った。そして、主人公が同世代の35歳の女性。これは読みたい!
山田詠美さんってどんな作風だっけ?というほど私にとってご無沙汰の作家さん。
登場人物は、料理研究家の沢口喜久江、夫の太郎、その不倫相手で沢口の助手を務める和泉桃子。章ごとに語り手が変わる。喜久江を尊敬し、太郎と不倫関係にあることとそれとは別次元の話であると考える桃子、夫の不倫を知りながら受け入れる喜久江、不倫をしながら妻を愛していると語る太郎。思考や言葉遣いが独特だが、ある種現代風で、読みやすい。誰かに共感できるわけではないが、こんな人もいるんだな、という、他人の心を覗きたくなるような心理に駆られてページをめくる手が止まらない。
平松洋子さんによる解説、「本作における料理」についての考察も秀逸なので最後まで読んでほしい。
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久しぶりに小説を一気読み。
高校生の時から山田詠美大好き。
そして40を超えたからこそ読み応えがあったこの小説。登場人物の3人ともに、わかるよその気持ち、となった。
若い頃はモモのような女性に憧れたけど、今は喜久江のような女性に惹かれる。そしてそんな2人に心底愛されている太郎はうだつが上がらなくて、小心者で、自分は何者でもないのに喜久江からもモモからも愛されることをなんの疑いもなく享受している図々しい男!でも言い表せないオスとしての魅力があるんだろう、詠美先生の作品の中の登場人物だから。
これを映画化したらだれが太郎を演じてくれるのかなー、と頭をよぎった。
大泉洋がもう少しだらしない体になったようなイメージ。笑
最近自己啓発本と実務書ばかり読んできたけど、こういう洒落たやりとりが楽しめる詠美先生の他の作品も読みたいと思った。