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関東大震災と民衆犯罪 ――立件された一一四件の記録から
著者 佐藤冬樹
1923年の関東大地震。その直後から自警団による、朝鮮人、中国人らに対する襲撃事件が多発し、日本人を含む多くの犠牲者をだしたが、その実態はいまだ明らかではない。誰が誰をな...
関東大震災と民衆犯罪 ――立件された一一四件の記録から
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関東大震災と民衆犯罪 立件された一一四件の記録から (筑摩選書)
商品説明
1923年の関東大地震。その直後から自警団による、朝鮮人、中国人らに対する襲撃事件が多発し、日本人を含む多くの犠牲者をだしたが、その実態はいまだ明らかではない。誰が誰をなぜ殺したのか? 検察が立件、起訴した600人以上の被告、約90人の日本人被害者のプロフィールを分析するなどして、民衆犯罪の全貌に迫る。事件から100年、地域に根差した庶民が起こした史上最大最悪の惨事=ヘイトクライムをとらえなおす。 【目次】はじめに/第1部 関東大震災下の国家と民衆/1 軍・官・民一体のエスノサイド/2 自警団、その組織と活動実践/3 エスノサイドの背景/第2部 刑事事件化した民衆犯罪の動向/1 朝鮮人襲撃事件にみる自警団の情動/2 日本人襲撃事件の実態と被害者像/3 自警団員裁判の実態と加害者像の再検証/第3部 沖縄出身者と自警団/1 沖縄出身者襲撃伝承とその特徴/2 関東大震災、ふたつの体験記/3 沖縄出身製紙労働者の震災経験/4 沖縄における伝承の形成と定着/巻末資料/結びに代えて/索引
目次
- はじめに/第1部 関東大震災下の国家と民衆/1 軍・官・民一体のエスノサイド/〔1〕自警団の結成と警察の役割/(1)警察がデマを広めた/(2)人びとがデマに動かされた/〔2〕治安エリートの「暴動」妄想と戒厳令下の虐殺/(1)エリートパニックと戒厳令/(2)戒厳軍による大量殺戮/(3)軍隊が虐殺の「見本」をみせた/〔3〕県庁と県警の失態/〔4〕掌を返した治安当局/(1)パートナーから殺人犯へ/(2)「事実の真相」を作りかえる/2 自警団、その組織と活動実践/〔1〕自警団の広がりと組織構成/(1)自警団の結成状況/(2)自警団の規模と結成範囲/(3)中核を担った消防組/〔2〕自警団の活動内容/(1)自警団の武装状況/(2)「警備」活動の実態/3 エスノサイドの背景/〔1〕全国で結成された「民衆警察」/(1)警察活動のキャンペーン/(2)警察の下部組織を新設する/(3)警察と消防と自警団/〔2〕外国人労働者「問題」の発生/(1)震災前までの在留朝鮮人の動向/(2)震災前後までの移入規制政策/(3)朝鮮人労働者の排斥、抗争事件の頻発/第2部 刑事事件化した民衆犯罪の動向/(1)典拠とした資料とその特徴/(2)刑事事件化した民衆犯罪の傾向と問題点/(3)刑事事件化した民衆犯罪の発生状況/1 朝鮮人襲撃事件にみる自警団の情動/〔1〕朝鮮人襲撃事件の発生状況/〔2〕朝鮮人被害者のプロフィール/〔3〕朝鮮人襲撃事件の態様/(1)検問中・警戒中に遭遇して襲撃/(2)逃亡した人を捕縛して惨殺/(3)住居や勤務先、宿泊先を襲撃/(4)警察署や軍隊への移送途上を襲撃/(5)派出所や警察署を襲撃/(6)負傷した人、捕縛された人を殺害/(7)政府が捏造したタイプ/〔4〕「報復」行為としてのエスノサイド/(1)自警団の犯罪、四つの特徴/(2)「原始的な復讐心」の発露/2 日本人襲撃事件の実態と被害者像/〔1〕日本人襲撃事件の発生状況/〔2〕日本人襲撃事件の経緯と態様/(1)「朝鮮人に似た人」を襲う/(2)訊問・取調を経て襲う/(3)日本人殺しの必然性/〔3〕日本人被害者に関する伝承と史実/(1)日本人の被害を併記するという問題/(2)地方紙による「誤認」被害報道/〔4〕日本人被害者のプロフィール/3 自警団員裁判の実態と加害者像の再検証/〔1〕先行研究の加害者像に対する疑問/〔2〕自警団員裁判という「猿芝居」/〔3〕加害者のプロフィール/(1)消防組員、在郷軍人、青年団員の割合/(2)「ふつうの地元民」の犯罪/(3)「在来産業」従業者主犯説の意義/第3部 沖縄出身者と自警団/1 沖縄出身者襲撃伝承とその特徴/2 関東大震災、ふたつの体験記/〔1〕襲撃伝承の原点──比嘉春潮「年月とともに」/〔2〕勤勉な自警団員──宮良當壯「遭震惨記」/〔3〕比嘉の沈黙、宮良の無責任/3 沖縄出身製紙労働者の震災経験/〔1〕雪崩を打って上京する/〔2〕「木下組」朝鮮人組夫の虐殺/〔3〕伊江村出身者と自警団事件/〔4〕襲撃伝承が生まれるまで/4 沖縄における伝承の形成と定着/〔1〕紡績女工の悲劇/〔2〕「方言」撲滅教育と「沖縄語」話者の処刑/巻末資料/結びに代えて/索引
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紙の本
多くの人が殺戮される時、権力だけでなく民衆も加わる事実を見る
2023/10/16 20:40
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:雑多な本読み - この投稿者のレビュー一覧を見る
関東大震災で数多くの在日朝鮮人、中国人さらに日本人が殺害された事実は広く知られている。その事実を正面から受け止めず否定される人もいる。その実態は隠された故に、殺害された実数を把握できないまま、現在に至っている。何故、殺害されたのか。その理由も判然としないところは多い。多くの人が殺害されたことを認める人の中でも、その理由や殺害者のプロフィールも違う。ステレオタイプに陥っているケースも多く、戒厳令下に軍隊や警察が殺害の中心であり、それに煽られただけの大衆という見方もある。しかし、軍隊や警察の意図を越えて、武器を大量に持っていた在郷軍人会が中心になったという見方もある。本書は、少ないながら、犯罪者として立件されたケースを中心に、民衆犯罪の問題を問う。もちろん、読み進めると政府、軍隊、警察の問題も押さえている。目次を見ると、
はじめに
第1部 関東大震災下の国家と民衆
1 軍・官・民一体のエスノサイド
2 自警団、その組織と活動実践
3 エスノサイドの背景
第2部 刑事事件化した民衆犯罪の動向
1 朝鮮人襲撃事件にみる自警団の情動
2 日本人襲撃事件の実態と被害者像
3 自警団員裁判の実態と加害者像の再検証
第3部 沖縄出身者と自警団
1 沖縄出身者襲撃伝承とその特徴
2 関東大震災、ふたつの体験記
3 沖縄出身製紙労働者の震災経験
4 沖縄における伝承の形成と定着
巻末資料
結びに代えて
索引 となる。
以上のように、震災が発生し、震災対策を怠っていた弱点が出てきた東京を中心に大被害となる。木造が多く、江戸時代に防火のための幅の広い道に建物が建ち、避難のために大八車に布団等の燃えやすいものを積んで逃げるなど、教訓が生かせないまま、火事が広がり、多くの人が焼死した。その時、政府中枢はパニックになり、朝鮮人が独立運動を進めていたことが頭にあり、事実がないにもかかわらず、戒厳令を発する。朝鮮人らを捕らえ、抵抗すれば殺害を認め、それがどんどん膨らんだ通知となり、流言飛語が飛び交っていくことを押さえる。しかし、民衆犯罪というのは、警察の下部組織として育成されてきた消防組を中心に、殺戮を行う事実を押さえていく。そこに在郷軍人会、青年団が加わり、自警団となっていく。現在と違って、刀、槍、中には猟銃、銃が持ち出される。政府は時間が過ぎ、対応の誤りを知ると、方針を変えてしまう。その責任を自警団に押し付け、国際的な批判を回避するためか、隠ぺい工作に走る。この問題の本質を明らかにしないと、将来にわたる対策ができないことは間違いないだろう。一読してほしい本である。
紙の本
警察は傍観者どころではなく、主犯
2023/10/02 16:22
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ふみちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
関東大震災での朝鮮人虐殺における警察、司法、政府は、この事件の傍観者といった生易しいものではなく、どうやら主犯であったようだ、「不逞鮮人を義憤にかられた一部民間人が成敗した」、彼らはこう主潮続けていたのだ