台湾の半世紀 ――民主化と台湾化の現場
著者 若林正丈
1972年日中国交樹立によって、日本は中華民国(=台湾)と断交した。その同じ年に大学院に進学、研究をスタートさせた著者の研究人生は奇しくも台湾が民主化し、中国とは明らかに...
台湾の半世紀 ――民主化と台湾化の現場
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商品説明
1972年日中国交樹立によって、日本は中華民国(=台湾)と断交した。その同じ年に大学院に進学、研究をスタートさせた著者の研究人生は奇しくも台湾が民主化し、中国とは明らかに異なるアイデンティティ(=台湾化)へと進んだ道程と重なる。政府要人や台湾人研究者、歴史的事件の関係者との交流……。いまや中国は経済的にも軍事的にも大国となって、アメリカのライバルへと躍り出た。黎明期から台湾を見つめ続けた著者が、米中両大国に翻弄されつつも主体性を模索する台湾のこれまでを振り返り、現状と今後のゆくえを分析する。 【目次】プロローグ 台湾現代史における一九四九年と一九七二年/第I部 民主化の現場を歩く──オポジションから入る/第一章 日台断交の頃──台湾研究事始めと初めての台湾訪問/第二章 民主化の胎動に触れる/第三章 「自由の隙間」に立ちあがる台湾ナショナリズム/第四章 国民党一党支配の揺らぎ/第五章 民主化と「バランサー」李登輝の闘争──「憲政改革」の政治過程を見つめる/第六章 日本台湾学会の設立──台湾理解の知的インフラ/第II部 台湾化の脈動を見出す──アイデンティティの政治の背景に眼をやる/第七章 船出する新興民主体制──総統選挙が刻む政治のリズム/第八章 大国の狭間で──「中国要因」の政治の登場と米中の対立/第九章 中華民国台湾化論を提起する──台湾政治研究の曲がり角で/第十章 中華民国台湾化の不均衡な展開──新興民主体制下の国家再編と国民再編/エピローグ パフォーマンスする主権──「台湾の定義はまだできていない?」
目次
- プロローグ 台湾現代史における一九四九年と一九七二年/第I部 民主化の現場を歩く──オポジションから入る/第一章 日台断交の頃──台湾研究事始めと初めての台湾訪問/1 台湾研究事始めの頃──希薄な関心と軽視の中で/2 「蒋介石は良いところに逃げ込んだ」──崩れはじめた「思い込み」/3 葉榮鐘さんの「述史の志」──植民地期知識人のポストコロニアルの歳月を思う/第二章 民主化の胎動に触れる/1 一九八〇年春、民生西路の洋食屋「波麗路」/2 二つの衝撃──林義雄「滅門」事件と作家葉石濤の語り/3 政治研究開始までの回り道/4 「われわれは待てない」──一九八二年夏、「党外」との出会い/5 台南の友・林瑞明君に初めて会った夏/第三章 「自由の隙間」に立ちあがる台湾ナショナリズム/1 悲劇の被害者に正義と慰謝を与える──一九八三年「増加定員選挙」/2 「台湾前途の住民自決」の登場/3 戒厳令下での民主化の足音を聞く──その後も続けた「選挙見物」/4 権威主義選挙が生み出す独特の政治語彙/5 台湾キリスト長老教会と「台湾人」という多数──国民党が浸透・コントロールしきれないもの/6 狭い自由の隙間から這い上がってきた──台湾議会設置請願運動と「党外」民主運動/第四章 国民党一党支配の揺らぎ/1 香港からペンネームで「江南暗殺事件」を書く/2 「李登輝は台湾のサダトになる」/3 届かなかった論文抜き刷り──「警総」に郵便をインターセプトされる/4 野党結成機運の中で元政治犯柯旗化先生と知り合う/5 『台湾監獄島』と柯旗化先生の夢/6 「諸帝国の周縁」を生き抜く台湾人──老社会主義者楊逵のポストコロニアルの歳月/7 「戒厳令は死に体に」──民主進歩党の誕生/8 「東大の先生が台湾研究を?」──社会的注目とその波紋/9 台湾学術界の新しい流れに触れて──初めての台湾政治研究専著/第五章 民主化と「バランサー」李登輝の闘争──「憲政改革」の政治過程を見つめる/1 「若林の選挙コメントを聞け」──李登輝との初接点/2 「私はバランサーですよ」──初めて総統府に入り、初めて李登輝に会う/3 「あなたの本には正確でないところがある」──初めての李登輝単独会見/4 「台湾人の心、日本人のやり方、西欧の政治思想、中国式の皇帝」──一九九〇年代、台湾人の李登輝像/5 国会全面改選、変わる社会の雰囲気──台湾の「渦巻き選挙」/6 歴史的総統選挙前の台湾──中央研究院に長期研究滞在を開始/7 民主化の仕上げ、激動の始まり──史上初の総統直接選挙を見る/第六章 日本台湾学会の設立──台湾理解の知的インフラ 他
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著者の視点で見た同時代史
2023/12/17 22:58
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:オタク。 - この投稿者のレビュー一覧を見る
大体日本が台湾を断交して大陸と国交を結んで蒋介石から蒋経国に権力の移行と国民党政権の生き残りを賭けた台湾化が進行していた時期から現在に至る著者の視点による同時代史と群像劇だ。台湾を論じる事は「国民党政権に利する事」であり「反中国」だと見なす風潮があったからか?いわゆる「軍事独裁体制下」の韓国より「近くて遠過ぎる」世界が台湾だ。台湾を舞台にした群像劇を書いた本はなかなかないものだ。
「蒋経国伝」の著者の江南が誰にでも情報を売る情報屋だという記述が意外だった。元々江南は国民党の情報系統から脱落した人物なので胡散臭さはあるのかもしれない。
この本を読んでいると筑摩書房は講談社から出ていた一青妙の「私の箱子」を文庫化したようにNHKのBSで放送していた鎌倉千秋アナウンサーの番組で自らの家族と台湾の現代史を重ねた番組があったという(放送してから知ったので見ていない)ので本にしてみませんか?読みたくなった。
台湾人として
2024/08/22 09:23
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ふみちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
台湾を旅行して思うこと、「なんだか居心地がいいなあ」。でも、そこにはすっぽりとこの国の歴史が抜け落ちてる、蒋介石の中華民国、それをへた台湾人としてのアイデンティティの形成、よく台湾のことがわかる本だった