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電子書籍
スペース
著者 加納朋子(著)
前作『魔法飛行』で生涯最大の冒険を経験した入江駒子は、その余波で風邪をひきクリスマスを寝て過ごすことに。けれど日頃の精進ゆえか間もなく軽快し、買い物に出かけた大晦日のデパ...
スペース
スペース (創元推理文庫 <駒子>シリーズ)
商品説明
前作『魔法飛行』で生涯最大の冒険を経験した入江駒子は、その余波で風邪をひきクリスマスを寝て過ごすことに。けれど日頃の精進ゆえか間もなく軽快し、買い物に出かけた大晦日のデパートで思いがけない人と再会を果たす。勢いで「読んでいただきたい手紙があるんです」と告げる駒子。十数通の手紙に秘められた謎、そして書かれなかった“ある物語”とは? 手紙をめぐる《不思議》にラブストーリーの彩りが花を添える連作長編ミステリ。伸びやかなデビュー作『ななつのこ』に始まる、駒子シリーズ第三作。/解説=光原百合
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紙の本
1週間のうちに一気に読めるのだから、後追い読者も悪くないのだ。
2009/10/06 23:41
9人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:wildcat - この投稿者のレビュー一覧を見る
後追い読者であるワタクシは、幸か不幸か、
『ななつのこ』および『魔法飛行』から
『スペース』までの長い長い時間を感じずに、本書を手にしている。
加納作品については、『モノレールねこ』、『ななつのこ』、
『ななつのこものがたり』、『魔法飛行』、本書の順に読んでいる。
新しいものから最初に戻り、行き過ぎて、戻って、ここに来た。
他のミステリーもほとんど読んでいない。
だから、彼女の作品が誰に似ているとか、立ち位置とか、
『魔法飛行』から本書までの変遷とかそういうこともまったく知らない。
私が書くものは、
そんな背景知識がまるでない者のコメントになってしまう。
きちんとした背景知識がある方の評は、ハードカバーに対して
投稿されているのでご参照いただければと思う。
『ななつのこ』と『魔法飛行』の間は、
本の中の時間では半年、
実際の2冊の出版時期の差は1年ぐらいなので、
それほどの違いはないだろう。
だが、『魔法飛行』と『スペース』の間は、
本の中の時間は1週間、
実際の2冊の出版時期の差は11年である。
リアルタイムで読んでいれば、
最初の2冊のときは同世代だったワタクシだが、
ハードカバー出版時でもう30代になっている。
本書の時間は1週間後、さらに、ちょっと戻ったりもするので、
『ななつのこ』や『魔法飛行』と同じ時間とも言える。
それを11年後の著者が書いて、
止まっていた時間を再び動かしても、
まるで違和感がないのは見事である。
私は、個人的なこだわりのため、
『魔法飛行』以降11年も待っていては
具合が悪くなっていただろう。
なんでよなんでよなんでよ・・・と
コワイ顔でつぶやき続ける物の怪になっていたかもしれない?
間髪入れずに読めて幸せだった。
花は枯れずに外界の時間とは関係なく
美しいまま冷凍保存されていて、
解凍しても生きていたのだ。
それにしても、本に流れる時間は実に不思議だ。
こうやって、流行から大きく遅れて今頃会いにきた、
私のような人間にも
「今」という名の同じ時間を与えてくれるのだから。
本書は、今までの謎掛けがあって謎解きがあってというリズムが
振り子を揺らすように交互にやってくるあれとは違う。
「スペース」と「バック・スペース」の2部構成だ。
途中から、手紙手紙手紙手紙手紙・・・。
枚数分書いてやろうと思ったけど、あぁ、疲れた。
といった具合で、これがまた往復じゃなくて、
往信ばっかりの手紙の山。
これが、「スペース」の中央を占めるのだけど、
これを全部読んで謎解きをした瀬尾さんを、私は尊敬する。
私は正直、途中からブチ切れそうだった。
そして、悟った。
私は、「本読み」ではなくて、最初から「本語り」だったのだ。
聞き上手じゃなくて、
本を片手に自分を語りたいタイプだったのだと。
おかげで、手紙の中から大事なヒントを読み解くという作業が
途中からできなくなっていた。
手紙は、過去2作の復習をさせるため?
なんでこんなに長いんだ?
そのため、『モノレールねこ』の表題作や『ななつのこ』では、
完璧ではないまでも、
名前の秘密はなんとなく途中でわかったのだが、
今回は、すこーんとやられてしまったクチである。
似ているのは、双子だけではなかった、ということである。
そして、「タイトル」、「章タイトル」、
「名前」にも深い意味があり、
語られないことには語られないなりの理由があったのだと、
わかったことが嬉しかった。
これは、途中投げ出さずに、
最後まで読んだら、嬉しくなってしまう作品なのだと思った。
4つの作品(長編の完結編を構想中らしいので最終的には5作?)は、
実は、1つのスコアで書かれていた1つの曲で、各楽器(登場人物)は、
それぞれに、メロディーやハーモニーを奏でながら、
みんなつながっていたのだ。
今、『スペース』までようやっと追いつき、
『ななつのこ』読了のときの、
リアルタイム読者じゃなくて悔しかったという思いが、
1週間のうちに一気に4冊読めてよかったという思いに変わっている。
『魔法飛行』を読了した瞬間の、
どーしてこんなことするのぉという勝手な被害妄想が氷解している。
職業倫理の大切さは絶対に譲らないけど、
再読したらもう少し余裕を持って読める、もっと周りも見える、自信はある。
1つのスコアで書かれている1つの楽曲の中にいる登場人物たちは、
とても縁がある者たちだ。
手紙でつながっているだけではなくて、
現実世界でもきちんとつながっている。
何度も不思議なところで邂逅するだけでいては、
その縁は、ちょっとした偶然の、弱いものだったのかもしれない。
それを「縁」として、結んでいくのは、本人達の行動である。
手紙の世界から駒子達は踏み出した。
勇気を出して。
時代が変わり、新しい媒体や方法が出てきても、
どんな媒体を使おうと、どんな方法を使おうと、
人が求めるのは、コミュニケーションである。
私たちは、どこまでも、
わかりたくて、
わかってほしくて、
わかりあいたい生き物なのだと思った。
紙の本
幾重にも重なった大きなパズル
2020/05/18 10:26
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:たあまる - この投稿者のレビュー一覧を見る
いつか読み返そうと思って置いていた駒子シリーズ。
駒ちゃんの一人称視点で語られるシリーズだ。
読み直しは、ペースがゆっくりになる。
あわてて先を追わなくていいから、ゆっくり味わいながら読む。
フツーの女子短大生の日常が面白い。
スマホもケータイもない時代のものがたりが心地よい。
しかも続刊を待たずに、1冊終わったらすぐ次が読めるのがいい。
3冊目のこの本の後半では、語り手が外に動く。
これまでなじんできた駒子を、外から見る面白さがある。
それは、じつは駒子だけじゃないんだけど。
親しんできた物語の世界を、別の角度から見直すと、またちがう世界が見える。
シリーズ全体が、幾重にも重なった大きなパズルのようにもなっていて、
パズルを解く終盤のように、いろんなピースがつながって、
ぴったりはまっていく快感があった。
最後まで読むと、パズルに間違いがないか点検するように、
最初からまた拾い読みしてしまった。
3冊目は執筆間隔がかなり空いたようだ。
ということは、希望的観測をすれば、
ひょっとしたら、まだ続篇が期待できるのかもしれない。
淡い期待でも、期待は持ち続けたい。
紙の本
加納朋子さんの駒子シリーズ第3弾です!
2023/02/06 20:33
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みみりん - この投稿者のレビュー一覧を見る
加納朋子さんの駒子シリーズ第3弾です!
いや、駒子シリーズというよりは、瀬尾さんと駒子シリーズというべきか。
うふふ。
紙の本
二人の駒ちゃん
2020/09/22 11:52
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:nap - この投稿者のレビュー一覧を見る
前半は今まで通りの駒ちゃん、後半は別の駒ちゃんの語りになります。
同じ時間と空間を書いてるんだけど。
とある女性の行動はいただけないなあ。