読割 50
電子書籍
射手座の香る夏
著者 松樹凛(著)
寂れた島で過ごした夏、記憶の中で鮮やかさを増す夏、限りなく続く仮想の夏――夏を舞台とする4編に、青春のきらめきと痛みを封じこめた、第12回創元SF短編賞受賞作を表題とする...
射手座の香る夏
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射手座の香る夏 (創元日本SF叢書)
商品説明
寂れた島で過ごした夏、記憶の中で鮮やかさを増す夏、限りなく続く仮想の夏――夏を舞台とする4編に、青春のきらめきと痛みを封じこめた、第12回創元SF短編賞受賞作を表題とするデビュー作品集。/【目次】「射手座の香る夏」意識の転送技術を濫用し、危険で違法な〈動物乗り(ズーシフト)〉に興じる若者たち/「十五までは神のうち」出生の〈巻き戻し〉が合法化された日本で、過ぎ去りし夏の日の謎を追う男性/「さよなら、スチールヘッド」限りなく夏が続く仮想世界で、自らの身体性に思い悩む人口知性の少年少女/「影たちのいたところ」少女の憂鬱な夏休みにある日現れた、九つの“影”をつれた男の子/解説=飛 浩隆
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紙の本
SF短編集
2024/03/17 22:33
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投稿者:くみみ - この投稿者のレビュー一覧を見る
夏を舞台に少年少女の心の機微に触れる、青春の一瞬の煌めきを切り取ったSF短編集。
所々に共通点のある4つの物語。1、3作目がAIや副体を使った王道SF。2、4作目はどちらかというとファンタジーという印象。この捉え方の違いを示したような「影たちのいたところ」の想像力についての表現がとても興味深かった。豊かな想像力とは何か?実現可能な範囲での想像が世界を更新しているのか?2、4作目をファンタジーと感じたのは、現時点ではまだ突飛な想像に思えたからであって、それもいつかはもう少しリアルに感じる日がくる。そんな教訓のような作品を最後にもってきているのが素晴らしい。
どれも一つの技術を除けばなんの変哲もない世界だが、出生の〈巻き戻し〉や〈影を操る〉行為が与える影響の規模と範囲が狭い事で、日常描写の共感を強くもてた。存在やその証は消えるのに、記憶は残る。どうせなら記憶まで消してくれれば良いのに、実際の中絶も妊娠した記憶までは消せないから、ある意味では万能じゃない方が公平なのかもしれない。
放射能や移民問題など、結構攻めた時事問題が組み込まれているのも意外性があって良かった。