電子書籍
【期間限定価格】歌行燈・高野聖
著者 泉鏡花
飛騨天生(あもう)峠、高野の旅僧は道に迷った薬売りを救おうとあとを追う。蛇や山蛭の棲む山路をやっと切りぬけて辿りついた峠の孤家(ひとつや)で、僧は匂うばかりの妖艶な美女に...
【期間限定価格】歌行燈・高野聖
歌行燈・高野聖
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歌行灯・高野聖 改版 (新潮文庫)
商品説明
飛騨天生(あもう)峠、高野の旅僧は道に迷った薬売りを救おうとあとを追う。蛇や山蛭の棲む山路をやっと切りぬけて辿りついた峠の孤家(ひとつや)で、僧は匂うばかりの妖艶な美女にもてなされるが……彼女は淫心を抱いて近づく男を畜生に変えてしまう妖怪であった。幽谷に非現実境を展開する『高野聖』ほか、豊かな語彙、独特の旋律で綴る浪漫の名作『歌行燈』『女客』『国貞えがく』『売色鴨南蛮』を収める。
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紙の本
美しい日本語の調べに酔う妙味
2006/05/02 04:48
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ろこのすけ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書の中から「歌行燈」について言及することとしよう。
「歌行燈」は、二つの過去(老人達に語る芸者お三重の過去と、うどん屋に語る門附の喜多八の過去)が同時進行しつつもゆるやかに次第に急峻な流れとなってくりひろげられるのである。
二人の老人は能役者の恩地源三郎と小鼓方名人辺見雪叟。
門付けに落ちぶれたのは源三郎に勘当された甥の喜多八である。
芸のできない芸者(ただ能を一差し舞えるだけ)のお三重。
喜多八に辱められ憤死した按摩の宋山。これらの人物の過去をからめて能楽「海士」の秘曲に乗せて鏡花は能楽の序破急にあわせるごとく言葉の調べの極みを尽くすのである。
「肩に綾なす鼓の手影、雲井の胴に光りさし、艶が添って、名誉が籠めた心の花に、調べの緒の色、颯と燃え、ヤオ、と一つ声が懸かる。」
「緑の黒髪かけて、颯と翳すや舞扇は、銀地に、その、雲も恋人の影も立添う、光を放って、ともしびを白めて舞うのである」
…と、美しい言葉の調べはまさに鏡花の美。
能楽の序破急にのり言葉の調べの美しさはその極みに達するのであるが、本書の主題は「芸」。
芸の至高、深み、恐ろしさ、法悦を言葉に尽くした先にあるもの、それが本書であろうか。
美しい日本語の調べに酔う妙味を味わせてくれる鏡花の傑作中の傑作。
※解説で吉田精一氏は「歌行燈」の素材について:
宝生九郎、と天才的な門人瀬尾要との関係を視野に入れつつも、鏡花の叔父、宝生流の名手松本金太郎と作中人物恩地源三郎は宝生流家元、九郎の人柄を加味して練り上げたものだろうとしている。
2005年2月7日付けの中日新聞芸能欄に「歌行燈」のモデルと題するコラムが載っていたので一部を付しておこう。
「主人公の転落の能楽師恩地喜多八には、数人のモデルがいるとされてきた。その一人が明治中期、宝生流シテのホープから失墜した木村安吉である。名古屋の能楽の歴史に詳しい能楽師筧鉱一さんによると廃藩後、尾張藩士から能楽師に転身した木村治一の息子安吉は、深い仲となった日本舞踊の師匠にタブーを破り仕舞いを教えて破門。能楽界から追放されたという。
ある日、素人謡会に呼ばれた安吉が端役ながら「そこのき候へ」の一句を謡いそのすさまじさに並み居る連中が震え上がったという。後に能楽界に復帰するも不遇の内に早世したという。
紙の本
幽玄なお化けものがたり
2001/08/13 15:20
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:タッピング - この投稿者のレビュー一覧を見る
「高野聖」は、妖怪の登場する物語。旅の途中、飛騨の峠にさしかかった僧は、往来のできない道を進んでしまった薬売りを追っていく。苦手な蛇や大量の蛭に道を阻まれつつも歩き続けた僧は一軒の山家を見つける。そこには艶かしい美女がすんでいた…。