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真実の口 新着
著者 いとう みく
夏の読書感想文全国コンクールの課題図書に作品が選ばれる常連であり、野間児童文芸賞、ひろすけ童話賞、河合隼雄物語賞など児童文学の主要な賞を続々受賞した、いとうみくによる書き...
真実の口
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真実の口
商品説明
夏の読書感想文全国コンクールの課題図書に作品が選ばれる常連であり、野間児童文芸賞、ひろすけ童話賞、河合隼雄物語賞など児童文学の主要な賞を続々受賞した、いとうみくによる書きおろし最新作。
中3の冬、受験を控えた青山湊(あおやま・みなと)、七海未央(ななみ・みお)、周東律希(すとう・りつき)の三人は、
祠の前にしゃがんでいる小さな女の子を見つけた。雪はやんだようだが、気温は下がっている。何もしゃべらず、動こうとしない少女を放っておけば、凍死してしまうかもしれない。三人が下した判断は、この子を交番に連れて行くというものだった。それから四週間後、校長室に呼ばれた三人を迎えたのは、警察官たちだった。適切な判断と思いやりに感謝状が贈られたのだ――。
高校生になった年の夏、三人はファストフードで再会する。七海が「これ見て」と出したスマホの画面には、親による子どもの虐待事件のニュースが映し出された。もちろん、あのときの女の子とは別人のニュースだ。しかし、三人それぞれがあのときの女の子の様子に不審なものを感じていた。名前や住所を尋ねてもけっして口を開こうとしなかったこと、交番に連れて行こうとしたとき暴れて抵抗したこと……。「もしかして、わたしたちすごい誤解をしてたってことはないかな」。警察から感謝状を贈られた三人は、自分たちの行動が間違っていなかったかをたしかめるため、あのときの女の子を探し始める――。
児童文学界のトップランナーが、人の善意とは、正しい行いとは何なのかを模索する高校生たちを描き切る。
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社会派YA
2024/04/10 05:01
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投稿者:くみみ - この投稿者のレビュー一覧を見る
雪の夜に出会った幼女を交番に届けた中3の三人組。守られた世界で生きる彼等が感じた、小さな違和感。虐待の疑いに気付いた彼等がとった手段は正しかったのか?優先されるべき事がなんなのかを問うた社会派YA小説。
信用出来ない、と子供たちに感じさせてしまった大人の責任感のなさが招いた事態を、果たして責められるのか。正しい事が必ずしも幸せとは限らない、と良く言われるが、それが顕著にあらわれた作品だと深く感じた。正しさ、規則がこの国を保っているのも理解した上で、時にはその枠ではおさまらない事も発生する。その時にしっかりとルールを変える勇気と、それを信じてもらえる大人でありたいと思った。
作品に深みが出る家庭環境の違う三人のキャラ設定もとても良かった。特に、湊の「自信があるから」という言葉に共感した。行き過ぎるのは困るが、せめて幼い頃くらいは無敵でいさせてあげたい。