まずは不合理さを知るところから。
2021/07/16 10:41
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投稿者:ゲイリーゲイリー - この投稿者のレビュー一覧を見る
人間は合理的ではなく非常に不合理な存在である。
その不合理さを自覚することが、より良い社会を構築し、より充実した人生を送ることに繋がると私たちに教示してくれた「予想どおりに不合理」。
本作は前作同様人間の不合理な側面をユニークな実験によって浮き彫りにし、その原因と影響をウィットに富んだ文体で明らかにしていく。
ただ、本作と前作とで異なる点もいくつかある。
一つは、ボーナスや仕事への情熱などの職場に関する事例や、結婚や恋愛など前作以上に私たちの生活に関する身近なテーマに沿っているところだ。
つまり、本作で述べられる人間の持つ不合理さを利用した様々な考え方やノウハウは、今すぐにでも生活で実践できるものばかり。
また、前作以上に不合理さのもつ良い面と著者の凄まじい経験にも触れられている。
合理的思考が及ぼす弊害や、不合理さ故の人間味などは誰しもが考えさせられるであろう。
個人的には、報復欲求や報復と信頼は表裏一体であるという報復に関する章と、人生を大きく変える出来事にもいつか慣れるという順応に関する章、
そして多数の人の苦しみよりもたった一人の苦しみの方が心動かされるという感情と共感についての章に大きな関心を抱いた。
人間の持つ不合理性を研究している著者自身でさえも、その不合理さという特性から逃れることはできない。
しかし不合理さを払拭するのではなく、不合理であることを自覚することこそが何よりも重要なのだと著者は述べている。
私たちの不完全さを素直に認めることこそが、より良い世界の設計への第一歩なのだ、と。
行動経済学で「職場」や「家庭」での人間の「理屈に合わない不合理な行動」を考える
2017/01/10 17:43
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:とある地方の公務員 - この投稿者のレビュー一覧を見る
行動経済学の研究成果により、「職場」や「家庭」で、人間が「理屈に合わない不合理な行動」をする理由、そして、それを解決又は防止するための考え方をわかりやくす解説した本。
組織で働く者にとっては、組織文化や自分の考えにとりつかれると、臨機応変に考えられなくなり、自分のものよりも優れた考えを退けてしまう「自前主義のバイアス」について述べた第4章、又、家庭ないし日常生活における、人間は、大勢の苦しみより一人の苦しみの方に心を動かされ、一人が困っていると助けるのに、大勢が困っていると助けようとしないのはなぜなのか、について述べた第9章(「感情と共感について」)は、必読です。
なお、本書と併せて、シーナ・アイエンガー『選択の科学』(文春文庫)を読むことをお勧めします。
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久々にハヤカワノンフィクションを1冊完読。今回もごつい内容で時間がかかる。
行動社会学という学問はよくわからないが、こういう分野があり、日常生活にマッチした実験が行われているということをまず知る。ついでその実験方法が面白く、対照サンプルの取り方等勉強になった。1回通し読みした程度ではなかなか適用は難しいが、もういっぺんとりあえず読もう、と思える内容。
原書で読むとよりおもしろいんだろうなあ・・・(?)
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翻訳本らしい読みにくさも多少あるが、それ以上に相変わらず分かりやすく、実験に裏打ちされていることが詳細に語られるために、説得力がある。
また、その結論もおおよそなんとなく頭にあるものと整合的であるため、腑に落ちるし、今後の考察の参考になる。
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人間は合理的には判断しないということを書いた本。なるほどと思うことも、多くて良い本
確認、承認することで仕事のやる気、パフォーマンスが大きくことなる
分業のリスク、仕事に意義を見出せなくなる
相手の中から出てきたアイデアのように持って行く
シュレックのドリームワークスはディズニーを首になった人が作った。シュレックの悪役は首にした上司に似てる。
辛いことは一気に。楽しいことは休み休み
仕事でもやり方に何か新しいことを入れることで喜びが増す
自己ハーディング 感情的に下した決定はその感情がなくなっても、その後の決定に影響する。自分は自分の過去の決定を真似て決定を下す。
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前著に引き続き、ヒトの認知のゆがみについて、常識をひっくり返すような実験結果と考察で楽しませてくれる。
なぜか前著もそうだったけど、読んでいるタイミングでリアル生活で感じているもやもやした違和感に「なるほど、そんな背景があるのか、道理で。納得した。」という洞察を与えてくれる。
本書の場合、例えば「なぜ自治会の役員は誰も引き受けたがらないのか」とか「なぜ自分と妻の感謝はすれ違うのか」とか「なぜ家メシは美味しいのか」とかだった。
実際問題、そんな都合よく本のトピックと私の生活上の疑問点がリンクするはずもなく、これ自体が何々効果と名付けていいような認知のゆがみに違いないんだけれど、著者ダン・アリエリーの分析力説得力の証しだと思える。
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人間の行動は、時に不合理で論理的な説明が難しいことが多い。
高額の報酬を与えられても人のやる気を増幅させることができないのはなぜか。
他人が出したアイディアより自分の思いつきの方が優れている気がするのはどうしてなのか。
目の前のひとりを救う気になっても、遠くの大勢を助けようと思えないのはなぜだろうか。
人間をロボットのように完璧で合理的なものと扱う経済学がある一方、感情に任せた人間の「非合理性」を計算に入れた上で行動の理由を探ろうとする学問が、行動経済学である。
著者の軽妙でユーモアあふれる語り口に載せて、経済学に触れてみてはいかがだろうか。
行動経済学ときくと何だかわくわくします。
心理学と経済学が融合した、不確定要素の強い身近な学問であるような気がしますからね。
第二作とのことですが、前作を読んでいなくても十分楽しく読める独立した作品になっています(わたしは前作読んでいないです)。
特におもしろいと感じた章は、「働くことの意味」「報復が正当化されるとき」の2つですね。
前者は人間が何かしら意味を持つ労働を内心欲しているという事実を明らかにし、後者は人間社会の信頼関係の裏返しであり本能的な感情である「復讐心」について検討していて、どちらも興味深い内容でした。
全体的にさっと目を通せるほどよいボリューム感でした。
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『予想どおりに不合理』の著者である行動経済学者が書いた本。
前著とは違い、人間がいかに不合理であるかの、積極的な面にも触れている。不合理であることを前向きに利用する方法について書かれているとも言える。
どういった意思決定をするときに、自分が不合理になりやすいのか。どのバイアスがかかりやすいのか、日々の決断を振り返ろうと思う。
ところで
人型のロボット開発が進んでいるが、こういった不合理性も取り込めるのだろうか。費用便益的に劣る決断もできるようでなければ、人間に近づいたとは言えないと思う。とはいえ、自分がイヤになって自爆するロボットなんて作ってほしくはないが。
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この本好きです。
人の行動って正しい合理的な判断ってできるんですかね。報酬の話を読んで考えちゃいます。
困ったもでんです。
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続編の祝枚だろうか・・・
確かに面白いこともたくさんあるのだが、何となく冗長やマンネリ感もある。
しかし、行動経済学への興味は更に深まった。
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「予想通りに不合理」に続く第2弾。様々な実験から人間の行動の不合理さを明らかにしつつ、社会をよりよくするためにその不合理さを活かすアイデアが散りばめられている。高い報酬の逆効果、ささやかな働く意味が及ぼす影響力、イケア効果、自前主義バイアス、順応、同類婚、美の市場、顔のある犠牲者効果、短期的な感情が及ぼす長期的な影響、など。どれもなるほどなぁ、とうなずける。ただ、第1弾で不合理さに慣れてしまったためか、驚きがやや小さくなってしまった。
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・厄介なことは一気に、楽しいことは休み休み。
・大勢の苦しみより、一人の苦しみに影響される。
・組み立て家具やケーキミックスのように、手間と手軽さのバランスを調節すると製品に価値を感じる。
・感情による決定がその後長期的に影響する。
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2017/12/07
イラッてきてもそのまま行動しちゃ駄目ね
だめというか、(悪い)影響は長く続く
その理由が思い出せなくなるまで
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「予想通りに不合理」に続く著作。著者の主張は一貫としているので、理解しやすい一方。前作との違いが何だったのか、思い出せない。まさに続編。
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ダン・アリエリーによる「予想どおりに不合理」の次作。
行動経済学読み物は、自分の選択を見つめ直すヒントをもらえるから面白い。
特に2点が印象に残った。
「自前主義のバイアス」
自分のアイデアが他人のアイデアより良いと思えるバイアスについて。子育てに応用できないかなと思いながら読んだ。自分で思いついたように、思わせることができるか。
「短期的な感情がおよぼす長期的な影響」
感情的な決定に縛られて、冷静なときにも以前の決定を引きずる自己ハーディングについて。自分の過去の発言で、他者との関係が縛られることは、あるあるすぎた。また、知らないうちにも引きずっていると思うと、恐ろしい。
日々の生活の何気ない選択を、厳密な実験で解きほぐす行動経済学は、日々の何気ない選択を劇的に変える力を与えると思う。自分の選択のバイアスを理解することが大切。