新装版 コウモリであるとはどのようなことか

投稿元：

レビューを見る

序　文
1　死
2　人生の無意味さ
3　道徳における運の問題
4　性的倒錯
5　戦争と大量虐殺
6　公的行為における無慈悲さ
7　優先政策
8　平　等
9　価値の分裂
10　生物学の埒外にある倫理学
11　大脳分離と意識の統一
12　コウモリであるとはどのようなことか
13　汎心論
14　主観的と客観的

第一版への訳者あとがき

「内側」と「外側」に引き裂かれる観点 ―― 新装版への解説①「道徳における運の問題」［古田徹也］

コウモリであることがそのようにあることであるようなそのような何かは存在するだろうか ―― 新装版への解説②「コウモリであるとはどのようなことか」［永井　均］

人名索引
https://www.keisoshobo.co.jp/book/b637133.html

投稿元：

レビューを見る

・方法が問いの先に立つと、問いは方法に規定されるため、他の問いは無視される。しかし、既存の方法で視認できない問いを探り当てようとして、新しい方法が生み出されるときに、興味深いことが起こるものだ。
・哲学は論理と個人の両面から理解されなければならないが、一方の過剰を避けよう　とすれば他方の過剰に陥る。厳密性無き創造性というナンセンスを恐れつつ、しかし前進し続けなければならない。
・信念が選択に先立つ場合、選択に至る理由は詭弁となる。以下、詭弁の例。
Ａ.どのような問いに対しても答えを導ける体系的論理
Ｂ.正しいものと誤ったものの間で選択させる明快な二分法
Ｃ.その問いに対する他の見解が反駁されつくしたという理由で一つの見解を選択する　こと
Ｄ.答えの決まった問いなどなく、信念のままに主張するべきである
Ｅ.答えの決まった問いなどなく、論争を見物しておけばよい

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
・決議論的選択

投稿元：

レビューを見る

読書会課題本。原著は１９７９年発行。新装版は訳者である永井氏などによる解説が付いている。著者はアメリカを代表する分析哲学の第一人者。折に触れて発表された１４本の小論文の日本語訳を収録。表題作は面白いが、それ以外は問いの立て方に共感できずイマイチな印象が残った。人種差別への特別措置についての小論文は、執筆当時話題だった「バッキ訴訟事件」との関連だろうと思う。