南の島の新幹線―鉄道エンジニアの台湾技術協力奮戦記 みんなのレビュー
- 田中宏昌
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2018/05/10 22:47
インフラ輸出は大変
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投稿者:つばめ - この投稿者のレビュー一覧を見る
著者は台湾新幹線の建設・運営を支援した元JRの技術系役員である。台湾新幹線は、当初欧州規格(フランス・ドイツ連合)でプロジェクトが進められていたが、ドイツの高速鉄道が脱線、死者101名という大惨事をきっかけに、日本の新幹線方式が採用されることになった経緯がある。日本方式が採用されたとはいえ、既に欧州方式でプロジェクトは進められており、欧州方式と日本方式混在の安全輸送を確保する上で、極めて不都合な鉄道になろうとしていた。著者は、日本方式導入に向けて、台湾新幹線をビジネスと考えず、大切な隣人に新幹線で培ったノウハウを無償で提供、技術支援する立場で台湾側に説得を試みるが、それがなかなか受け入れられず、まさに隔靴掻痒の思いであった。日本に対して比較的友好的と思われる台湾のプロジェクトでさえ、このありさま。海外へのインフラ輸出には、大きな労苦とリスクを伴うことを改めて思い知らされた。本書は、プロジェクト進行中に各種専門誌に投稿された原稿に基づき編集されている。このため、台湾新幹線完成後11年が経過しているにも関わらず、例えば「騒音対策を念頭に置いたパンタグラフの新規開発は時間がかかることを説明して理解を求めている。」、「日本側は従来どおりの手歯止めを使用するよう推奨している」というようなプロジェクト進行中の記述がそのまま用いられている箇所があり違和感を覚えた。そのアドバイスが受け入れられたか否かの結論が記述されていないのが、少々残念である。
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