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逆接の民主主義 ――格闘する思想 みんなのレビュー

  • 著者:大澤 真幸
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みんなのレビュー1件

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紙の本逆接の民主主義 格闘する思想

2008/04/29 12:38

現実世界からの/への思想

9人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:けんいち - この投稿者のレビュー一覧を見る

思想、ことに現代思想と呼ばれる「知」は、この国では、その大々的な輸入期に「ニュー・アカ」といった蔑称がはびこりもしたように、机上の空論とみなされやすい。しかし、ネグリ+ハートをまつまでもなく、D+Gにしてからが、世界では「運動」の重要な思考源となっていることは明らかで、むしろ、TVの政治討論番組にしか「政治」がないとしたら、それは端的にこの国の「知」の貧しさが露呈していることを確認しておくしかない。

さて、本書の著者である大澤真幸は、現代思想の論客の1人というよりは、身体やナショナリズムに関する精緻な議論を展開してきた社会学者と呼んだ方が実情に即しているだろうが、本書も含め、その思想の根幹は、現代思想に多くを拠ることで練り上げられている。近年はアガンベンへのリファーが目立つが、本書の議論の枠組みをなすのは、ハーバーマスとデリダである。2人の「他者」をめぐる立場の相違と共通点を視座に、現代世界、そしてこの国の現状を問題化し、そこに机上の空論としてではなく、論理的な思考をベースに、「現実可能」な政治的提言を示していくというのが、本書の骨格である。しかもそこでテーマとされるのは、些末な国内政治問題などではなく、北朝鮮問題や憲法解釈といった、すぐれて原理的で巨大な難題であり、それぞれの問題の構成要素を批評的に微分した上で、現代思想の「知」をベースとして大澤がこれまで練り上げてきた鍵概念を活用して再構成し、そこに「現実可能」な解決への思索=施策を打ち出していく。その筆致は、徹頭徹尾リアリストのそれであり、すぐれて説得的なものである。

もちろん、本書を書いた大澤が、あるいは本書の読者が、明日にも世界の難題を一挙に解決できるというのではない(そうした思考は、端的に、思考の放棄であり、短絡でしかない)。それでも、本書に書かれたメッセージとそこへと至る具体的な思想的/政治的過程が、活字として出版されること。これもまた、1つの現実的な政治過程に他ならない。さらに、大澤の表現を借りれば、本書を読むことで、読者は歴史の可能性、政治の選択肢を、確実に読書前に比して増やしたことになる。このことの意味は小さくない。本書によって備給された「知」が、日常生活の細部ででも活かされていくなら、それは本書を震源とした「運動」の一形態に他ならず、世界史的な難問の解決もまた、そこから始まるだろう。

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