のぞきめ みんなのレビュー
- 著者:三津田 信三
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電子書籍のぞきめ
2020/02/16 11:41
読んではいけない、観てはいけない
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投稿者:ワシ - この投稿者のレビュー一覧を見る
誰かに見られている。誰かは分からない、それも四六時中絶え間なく視線を浴びせられる。頭がおかしくなりそうだ。
一応は技術職なので監査や試験で作業を見られたり、指導や研修で作業を見せる、展示会や一般のお客様にお目にかける機会もある(拙くて実に恥ずかしい限り…)。
どうにも「見られている」意識が働くと動きがぎこちなくなってしまう。自意識過剰とは分かっていても凝視されるのは何年たっても慣れない。
そんな時にはサングラスで視線を遮り、衆目は「ないもの」と考えるよりない。
解説の東雅夫には「読まれている意識」が完全に欠落している。「見られるとコーフン」する方には氏家ト全のギャグ漫画をオススメしたい(違。
舞台は奥深い山村にあり貸別荘が並ぶリゾート地。
その貸別荘に夏休みのアルバイトで訪れた学生らに襲いかかる怪異、しかし内実には因習めいた複雑な事情がある。
その事件に遭遇してから精神に異常を来した和世、部屋のすき間というすき間を目張りした異様な光景。
Vシネマではあるが『ほんとにあった! 呪いのビデオ 67』で、ある現象から精神を病んでしまい、すき間・視線恐怖に陥ってしまった女性が登場する。
(すき間というすき間を残らず布テープで目張りしたインパクトは凄まじい)
後半は、そのはるか以前に友人の墓参のため同村を訪れた学生の体験談。
物理的な位置は同じだが、時間軸は相当開いた二重構造を持っている。
もはや鬼気迫る、息を呑むとしか書けない。
刺すような視線から逃れられない緊迫感と緊張感には脱帽させられる。
旧家と書くと響きはいいが、何事にも正負両面がある。
因習だの習俗・風俗と書くのは簡単だが、前近代的で非合理な「差別」と隣り合わせなのも事実である。
賤業や被差別の根っこには穢れや汚穢といった考えがあるとも言われるが、「洗っても落ちない」心情・感情から始まるというから面倒くさい。
本書ではそれらが無意味な差別と容易に結びつきうると注意を喚起しつつ、緻密かつ丁寧な筆運びをしている。
物理的な位置は『作者不詳 ミステリ作家の読む本 下』の一短編と共有している。
住職が「思いついた」と推察される(無根拠な妄想としてはいるが…)狂気そのものの呪法に至っては実にいたたまれない。
本作を基にした映画はあるが、観ているだけで虫酸が走りアイドルの棒のような悲鳴に耳鳴りがし、本当にサム気を覚えるので「絶対に見てはいけない!!!」
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