しゃぼん みんなのレビュー
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しゃぼん
2011/01/23 17:33
いつまでも『女の子』でありたい、『しゃぼん』
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:惠。 - この投稿者のレビュー一覧を見る
先日読んだ『C級フルーツパフェ』がよかったので、続けざまに読んでみた。実のところを言うと、『C級フルーツパフェ』よりも本作のほうがずっとずっと読んでみたかった。
本作は著者のデビュー作である。本書に収録されている『ねむりひめ』で女による女のためのR-18大賞及び読者賞をダブル受賞したことが、デビューのきっかけとなったようだ。
本書に収められているのは4篇の短編。裏表紙には「リアルでキュートなガールズ小説集」とあるので、恋愛小説…というわけでもなさそう。(カテゴリ分けってほんと、むずかしい。まぁ何でもいいっちゃいいのだけれど、おおよその参考に。)
永遠に女の子でいたい。そう願ってた。
永遠に女の子でいるもん。その思っていた。
スーパーの試食コーナーで「奥さん」と声をかけられたのきっかけに、29歳になった花は女の子でいることを止めた。オシャレもネイルも仕事も何もかも興味がなくなった。恋人のハルオが守ってくれる部屋で、自堕落に息をしているだけの日々。それでもハルオは優しくて、自己嫌悪に陥りそうになってしまう。
わたしもいつか来るんだろうな。ほぼ無視をされている試食コーナーで「奥さん」って呼ばれたり、「おねえちゃん」じゃなくって「おばさん」って呼ばれる日。それもある日唐突に。花ちゃんの気持ち、なんとなくかもしれないけれど、よくわかる。
30歳を目前に控えて「女の子でいたい」なんて、幼すぎて子どもすぎて「これだから独身だから…」って言われるかもしれない。でも、やっぱりいつまでも「女の子」でいたい。仕事で企業戦士になったって、終電のがして会社の椅子で寝るしかなくなっても、それでもやっぱり「女の子」でいたいって思っちゃう。その気持ちもよくわかる。やっぱり幼すぎるのかなぁ…って思いつつ、それでも「いいじゃん、思うだけなら」と開き直ってもしまう。
花ちゃんの他に、自分では大人と思っていてもやはりまだ幼い小学生。生理が遅れている高校生。大好きな慎ちゃんがいるのに、他の男たちとも寝ている女子高生。本書には計4人の「女の子」たちの日常が閉じ込められている。
改めて考えてもどうってことのない内容と言うかテーマというか日常だ。取り立てて特別なことが書かれているわけではない。だけど、心に響いてなぜだかわからないけれど泣きそうになった。こんなに普通のこと、わざわざ文章で――しかもフィクションとして――読むってことないもんなぁ。だからかもしれない。
すんごく好きです。
『しゃぼん』収録作品
・しゃぼん
・いろとりどり
・もうすぐ春が
・ねむりひめ
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