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慶次郎縁側日記 みんなのレビュー

  • 北原亞以子
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みんなのレビュー5件

みんなの評価4.1

評価内訳

  • 星 5 (0件)
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  • 星 1 (0件)
2 件中 1 件~ 2 件を表示

紙の本

2010/05/27 19:03

酸いも甘いも噛み分けた元定廻り同心前田慶次郎が、悲しみ苦しむ人々を導く十一の物語。

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:toku - この投稿者のレビュー一覧を見る

「慶次郎縁側日記」シリーズ第一弾。
人生の酸いも甘いも噛み分けた、酒問屋山口屋の寮番となった元定廻り同心・前田慶次郎を主人公に、人々の抱える苦しみや悲しみを乗り越えようとする姿と、彼らを導びく慶次郎の姿を描いている。

一話完結の十一話が収録されており、そのうち最初の『その夜の雪』は短編集「その夜の雪」に収録されている作品だが、「慶次郎縁側日記」シリーズ第一作であるため、本書に収録されている。

この第一作の物語は、慶次郎の結婚間近の娘が乱暴され、自らの命を絶つところから始まる。
慶次郎は、かつて『仏の慶次郎』と言われたほど、傷つけられ憎しみを抱えた人々を、下手人になる前に救ってきた。
彼の岡っ引き・辰吉も、妻を殺した相手を殺そうとしていたところを、慶次郎によって制止され、人生を捨てずに済んだ。

しかし、娘を殺された慶次郎は、家が断絶となろうとも相手を見つけだし殺してやる、と下手人を探し始めた。
慶次郎は、かつて辰吉の抱えていた憎しみや怒り悲しみが痛いほど分かる境遇に置かれると、『仏の慶次郎』が行ってきた無情さに打ちのめされ、仏の導きは間違いだったと思うようになった。
慶次郎の異常を感じた辰吉は、かつて慶次郎に救われたように、身体を張って慶次郎を導くのだった。

第一作目は、このように悲しさの満ちた物語であるが、以降の作品は、人々の苦しみや悲しみを材としているものの、慶次郎が酒問屋山口屋の寮番に収まり楽隠居したこともあって、飯炊きの佐七とのユーモアのあるやり取りを始めとして、全体的に柔らかな印象となっている。
そして第一作目で『酸いも甘いも噛み分けた』慶次郎が、人々の身に起こる苦しみや悲しみを取り除くのではなく、乗り越えられるように導く物語を描いたのが、この作品集なのである。

その中で特に気に入ったのが、『早春の春』と『似たものどうし』
婿入り先もなく厄介叔父になりかねない武家の次三男らの、鬱屈した日常を描いた『早春の春』は、どこか青春の爽やかな雰囲気が漂っていて、彼らに新しい道が開きつつある未来を感じさせる。

あまりタチの良くない岡っ引き・吉次と、自分の昔に似た子ども源太を描いた『似たものどうし』は、大切な人を守るために悪事を働く源太の気持ちを痛いほど理解する吉次の心情が、男同士の真っ直ぐでさっぱりとした様子で描かれ、逞しくなった源太の姿が目に浮かぶ。


ところで、作者の言葉が足りず、ページをめくりなおしてみたり、これはどういう流れなのか、と考えてしまうところが、何ヶ所か見られた。
これが物語の流れを阻害するものとなっており、滞ることなく読めなかったのが残念だった。

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紙の本

2003/02/07 00:15

時代物初心者にうってつけの作品

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:とみきち - この投稿者のレビュー一覧を見る

 時代物の門外漢を自認している私は、うかつなことにこの著書はもちろん、著者のことさえ知らなかった。友人に「良かったよ」と言われて買ってから、おや、これは江戸物だったのかと気づいた次第。
 とにかく読んでみた。最初の短編「その夜の雪」はこう始まる。
 「苦髪楽爪とはよく言ったものだと、森口慶次郎は思った。」
 普通の文章ではないか。名前も現代風だ。これは助かったというのが正直な気持ちだった。時代物のお約束事も何も全くわからない人間には、ほっとする出だしだったのである。「十五の年齢に南町奉行所見習い同心となり、二十五で定町廻りとなって」となるともうお手上げだ。「同心」、「定町廻り」、これはだめだ。
 心配は杞憂に終わった。お江戸版ハードボイルドとも言える乾いた文章で、過不足なく時代背景や小道具、役職の説明を挟んでくれる手際の良さに乗せられて、あっという間に江戸の町に入り込み、慶次郎とともに歩き回ることになった。
 階級社会のひずみがそこここに描かれている。暮らしに追われる民の日々が描かれている。義理人情を描いてはいても、驚くほどの善人もいなければ、スーパーマンも登場しない。貧しい中でも心だけが清らかな人間など描いてもつまらない。皆、それぞれの事情を抱えて、自分の身の回りのことで手一杯なのである。いかにも江戸の町にいただろうと思わせる人々を描いて。しかし、さりげなく粋と人情と体温を感じさせる。
 男性の描く女性像は、とかく「こうあってほしい」思い入れが強く、「薄幸ではかない」か、「掃きだめの鶴」かということがままあって、興ざめすることがあるのに比較して、この著者の描く女性ははっきりとした輪郭を持っている。新鮮な印象が残った。
 時代物初心者には格好の作品であった。が、一冊読んだだけでは、井の中の蛙大海を知らずのそしりを免れない。幸い、慶次郎縁側日記はシリーズ物である。他の作品を読むのが楽しみであると同時に、時代物の通の方の感想を聞いてみたいとも感じた。
 

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