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高熱隧道 みんなのレビュー

  • 吉村昭 (著)
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みんなのレビュー7件

みんなの評価4.6

評価内訳

  • 星 5 (3件)
  • 星 4 (3件)
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  • 星 2 (0件)
  • 星 1 (0件)
3 件中 1 件~ 3 件を表示

紙の本高熱隧道 改版

2018/11/30 03:34

表紙に騙された

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:かしこん - この投稿者のレビュー一覧を見る

昭和11年8月に着工、昭和15年11月に完工した黒部第三発電所へのトンネル掘削工事。険しい自然のただなかである黒部渓谷の、トンネル施工予定地には最高165℃という高熱の岩盤地域が立ちふさがっていた。犠牲者300名を超えた難工事、トンネル貫通に取りつかれた男たちと大自然との闘いの記録。

「いい感じの表紙」と思ってしまったことが悔やまれるほど、壮絶な内容であった。
300ページない薄さ、淡々とした記述なのに、「ぐえっ」と声が漏れそうな描写が多々。ありえないあっけなさでどんどん人が死んでいき、それに対する予防策なり対策などがろくにないというおそろしさ。
以前、「アポロ計画ってファミコンより性能のよくないコンピュータで月に向かったんだよね、命知らずだぁ」と思ってましたが・・・ここで描かれているのは同じくらいもしくはそれ以上に命知らず。そういう時代、と言ってしまえばそれまでなんだけど、その時代でせいいっぱいの技術を使っていても、「事故で作業員が死ぬ」のが折込済み。
人の命がカネで買われる。でもそれは、現在も変わらぬ事実なのかもしれず。

そして温泉源があることも気づかず計画にお墨付きを出す学者、工事中の以上で再調査を頼んでも「これ以上にはならない」とか言うし、「学者は世間知らずであてにならない」ってイメージができたのはそんな積み重ねではないだろうか、そうじゃない学者さんたちいっぱいいるのに。
とはいえ、「この工事はやばい、やめよう」と言い出せない空気を作っていたのは戦争という背景、電力が絶対必要であるという国策。熟練工が徴兵されていくという矛盾もあり。
技師がいわゆるエリートで、人夫(作業員)は言われたことをするだけの替えのきく存在として、まったく違う世界の住人とされていることに衝撃を受けた!
私の知っている世界では技術者と職人が意見交換するのが当たり前だから。教育のベースの問題か、当時の人夫たちは専門性がない(とにかくただ集められただけの人手にすぎない)ということか。だからダイナマイトの自然発火は恐れるけど、残りクズのチェックはせずに放置してしまうのか。それでもできる範囲で技師たちが試行錯誤する様だけがこの物語では唯一ホッとできるところ。

が、更に泡雪崩(ほうなだれ)が宿舎を襲う。
とにかくたくさん人が死ぬのであるが、その死がいわゆる<ナレ死>などではなく、文字通り血と肉が吹き飛んだ塊として描かれることにおののく。決して残虐な描写に重きを置いているのではないのだけれど、ダイナマイトや雪崩で吹っ飛んだ肉片が転がっている光景が脳裏に浮かぶ(最初から、現場に辿り着くまでに山道を転げ落ちる人夫たちの死に様もかなりきているが)。そんな中でも工事は続く! 続けざるを得ない状況・心情が読みどころなんですよね!、わかります、わかりますが・・・。
外はものすごい大雪、けれどトンネルの中では油断すると熱死。自然豊かといえば聞こえがいいけど一歩間違えば自然に殺される、そんな地方出身の私には、もう最初の計画から「無謀」としか思えなくて。トンネルを貫通させることによろこびを見出し、そのためならどんな犠牲が出ても仕方ないと割り切らねばならない技師の気持ちもわからなくもないけど、自然に闘いを挑んでも勝てるわけがないと思ってしまう。
でも、そういう人たちがいたからこそ、今の私は便利を享受できているわけで・・・。
あぁ、なんかいろいろすみません、と、生きていることが申し訳なくなる。吉村昭の<記録文学>ってそういうの多い、それがすごさなんだけど。

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紙の本高熱隧道 改版

2023/10/22 23:45

命懸け

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:悟空 - この投稿者のレビュー一覧を見る

黒部ダムはいかにしてできたのかが書かれています。自然の脅威がとても感じられ、命懸けで工事する場面は読んでてハラハラしました。

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紙の本高熱隧道 改版

2015/09/10 15:42

壮絶すぎるダム開発

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:トニー - この投稿者のレビュー一覧を見る

この夏黒部を訪れたのをきっかけに読んでみましたが、重すぎる内容に読後はしばらく陰鬱な気分に襲われました。
くろべ、というと黒部第四ダムが有名ですが、この小説の舞台は、日中戦争から太平洋戦争へと向かう時代に開発された仙人谷ダムです。黒部第四ダムへは長野県大町市からアクセスしますが、仙人谷へは富山県宇奈月からです。現在は観光用にトロッコ電車が有名ですね。ただしトロッコ電車は欅平という駅までしか通常は運転されません。その先にこの「高熱隧道」の舞台となる高熱地帯があり、一般の訪問は制限されています。
読み始めは、労働者が簡単に使い捨てにされていくことへの憤りを感じますが、次第に狂気を帯びてくる隧道工事の様子に、現代人も私の思考はついていけませんでした。厳しい自然環境でおきる事故も生易しいものではありません。
この工事を批判することは簡単ですが、これらの電力が戦後の日本を支え、その上に私たち戦後の日本人の生活は成り立っていたわけですから、事の善悪でこの工事を判断することは難しいです。
もちろん、これは史実を丹念に調べた上で著者が創作した小説です。登場人物や細かい事実が全て事実ではありません。
しかしながら、戦後の黒部第四ダムの工事でさえ、今に残る記録映像を見ると「高熱隧道」時代と大差ない危険で劣悪な環境下で人海戦術が取られていたことがわかりますので、かなりの部分は事実に近いと感じます。
お薦めかどうか、これは難しいところです。黒部へ行かれる方には是非読んでいただきたいです。ただ、事故の場面などは悲惨すぎて子どもにはまだ読ませたくないですね。大変優れた作品ですが、そういう意味で星4つにしました。

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