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大菩薩峠 みんなのレビュー

  • 中里介山 (著)
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みんなのレビュー16件

みんなの評価3.7

評価内訳

  • 星 5 (2件)
  • 星 4 (14件)
  • 星 3 (0件)
  • 星 2 (0件)
  • 星 1 (0件)
16 件中 1 件~ 15 件を表示

紙の本大菩薩峠 20

2002/07/07 16:18

未完は永遠につながる。

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:凛珠 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 壮大な大菩薩峠も、ついにこれで最終巻。介山はこの作品を完結させずして逝ってしまい、ついに壮大な物語は、永遠に完結せぬ本物の壮大な物語となってしまった。前巻から軌道修正が施され、いよいよまとめにかかっていたかと思われるだけに残念である。内容は自由度が高いが、とにかく登場人物が多く物語も錯綜している。執筆メモのようなものは残っていないようだが、割と筆の赴くままに書いていたのだろうか。緻密に書こうとすると大変だが、介山は逆に気楽に書いていたのだろうか。メモが無いことによってその後の動きを知ることが出来ないのは残念である。今巻を読んでみると、大体終りに近付いていたのではないかということは想像される。
 読者の熱狂に押され、恐らく介山自身想像しなかったほどに長くなったこの物語は、当初からは想像もつかなかった方向へ進み、膨張していった。始めの頃こそ普通の時代小説と言えなくも無かったが、全巻読んでしまうと、とても時代小説という一言で区切ることは出来ない。
 最終巻である今巻は、介山個人の思想が色濃く投影され過ぎて、小説としては決して良い出来とは言えない。それは大菩薩峠という作品全体においても言えることだろう。だが、大菩薩峠は小説と言う枠に収まること自体が不可能なのである。
 この作品を読み解くに当たっては、介山の思想や生い立ち、執筆時の社会的背景などを熟知することも必須であろう。私は大菩薩峠を読み終えたことに満足せず、これをスタートとして大菩薩峠の研究を進めてゆこうと思う。さながら大菩薩峠のように果てしの無い旅だ。
 壮大なだけあって、この作品を読み切った人はあまりいないかもしれないが、絶対的に面白いし、読んで損は無い。私は大菩薩峠を読んで良かったと思うし、もし読まずに一生を終えていたらと想像すると、暗澹たる気分になる。

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紙の本大菩薩峠 1

2002/04/30 21:44

現代でも充分すぎるほど通用する心理時代小説。

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投稿者:凛珠 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 理由のない殺人をし、哀願をしてくる女性を暴行し、その夫も打ち殺す、冷徹で感情の無い男、机龍之介。時たま見せる狂乱は、人間性との戦いの苦悩か。
 長い作品として有名ではあるが、有名な理由ゆえに読んだ人は少ないかもしれない。1〜2巻で挫折してしまったり。私は全巻読破するつもりでいるのだが。
 このちくま文庫版は、表紙の写真が市川雷蔵氏主演の映画「大菩薩峠」からというのが嬉しい。この映画では中村珠緒氏も作中人物と非常によく合っていて良かった。
 もう90年も前の小説だというのに、心理描写(特に机龍之介やお浜)が驚くほど優れている。作者・中里介山が、本作に様々の思想を盛り込んだことが窺える。
 是非20巻読破したいと思う。

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紙の本大菩薩峠 19

2002/07/06 10:12

軌道修正。

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投稿者:凛珠 - この投稿者のレビュー一覧を見る

茂太郎は歌を歌う。駒井の船中には男が多くて女が少ないと。そうなると一人の女が複数の男に共用されることになってしまう。一妻多夫制度と女性の輪姦は表裏一体である。以前の巻に出ていた「娘一人に婿八人」の見世物の残虐さを思い出した。
 竜之助は幽鬼のような存在となって闇夜を彷徨い、再び新撰組と関わりを持ってゆくようになる。竜之助とお雪は果たして生きている存在なのかどうかも分からない。
 この巻では「遊び」が少なく、史実も取り入れ、かつての大菩薩峠に戻ったような気がする。軌道修正にかかったのだろうか。結局未完に終わったが、完結には近付いていたのだろうか。

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紙の本大菩薩峠 18

2002/07/04 20:37

お雪の惑乱。

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投稿者:凛珠 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 幻想と現実の狭間が混沌としている大菩薩峠。それでも、やはりお若や「イヤなおばさん」を殺害したのは竜之助だったということが明らかになった。
 お雪は竜之助と二人で小船で月見をしていたが、自分を殺してくれと竜之助に頼む。彼女の純真無垢なイメージは少しづつ変わってきた。それにしても、お雪の妊娠は現実なのだろうか……。何が現実で、どこまでが幻想なのか……。
 折りしもお銀様はユートピアの建設に取り掛かるが、居住する為に集まってきた人間は怠け者ばかり。人間の本能は働こうとするよりも怠けようとするものなのかと、お銀様は憤る。社会主義国家の問題点を介山が提示しているようで興味深い。

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紙の本大菩薩峠 17

2002/07/04 11:17

もゆる、福松……。

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投稿者:凛珠 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 マドロスと駆け落ちしたもゆる。案の定、我侭し放題でマドロスを哀しませる。ここの描写は滑稽で笑える。福松もまた兵馬を困らせる。大菩薩峠の女性キャラの魅力は本当に凄い。
 そして兵馬の元にも、自害した仏頂寺弥助や丸山勇仙の亡霊が現れ、幻想の趣が色濃くなってゆく。机竜之助は再び辻斬りを始め、丑の刻参りの鬼女を惨殺。夢と現実の狭間は何処か。幻想と現実の狭間が分からないほど巧みな描写が続いてゆく。
 

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紙の本大菩薩峠 16

2002/07/02 18:23

お銀様と竜之助、お雪……。

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 お雪の夢の中でお銀様は竜之助に、自分が築こうとしている「理想の国」について語る。そこでは恋愛の自由が許され、女性の貞操は無条件に解放される。だからといって女性が遊女になるということではない。そして豊臣秀吉の乱倫が許されたように、則天武后のような女性の乱倫も許されるべきなのだと。最後の考えには賛成しないが(女も男も良くない。女の方が弁護は出来るだろうが)、それでもお銀様の考えは非常に現代的で驚かされる。男性作家が書くと嫌な感じにされそうなキャラだが、非常に魅力的だ。そして純情に見えたお雪も、結婚や出産がどうして問答無用で目出度いと言われるのか、と道庵に尋ねる。お雪もまた知的であった。
 竜之助は夜の闇の中、加藤清正母子と、平清盛の寵愛を受けた白拍子・祇王と出会う。彼らは蒼い人魂となって消えた。仏頂寺弥助と丸山勇仙は、理由の無い生に倦み、自害して果てる……。
 幻想と現実は混濁し、物語は現実の時の流れとは関わり無く流れてゆく。この物語を読み始めた頃は、まさかこうした展開になるとは思わなかった。作者自身もそうだったのだろうか。いずれにしろ、大菩薩峠の世界は広がり、果てしがない。介山が長生きしていても完結は難しかっただろう。介山自身が、大菩薩峠の中で「理想の国」を築きたかったのではないか。
 

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紙の本大菩薩峠 15

2002/07/01 20:26

お銀様と竜之助、再会。

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投稿者:凛珠 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 実に久しぶりにお銀様と竜之助が再会する。お銀様は「理想の国」建設に情熱を燃やし、熱っぽく語る。彼女の考えは今日の視点で見ると現代的であり、興味深い。
 この作品全体を貫いているテーマに、「悪女論」があると思う。大菩薩峠に登場する女性は今日から考えれば悪女でもなんでもなく、普通ならば、わざわざ女性だけを取り上げて、悪女云々するという考えすら浮かばないと思う。それは今日の女性が悪女ばかりなのではなく、昔の女性が抑圧されていたということだ。大菩薩峠の女性たち全てが正しいというわけではなくとも、皆おのれの意思で動き、自立していて、その様子は非常に生き生きしている。
 女性男性に関係なく、大菩薩峠に類型的な人物はいない。登場人物に深みと魅力があるから、これだけ長い作品も成立しえたのだと思う。逆に、登場人物が生き生きとしすぎて一人歩きしてしまったのかもしれないが、読んでいて苦にならない。

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紙の本大菩薩峠 14

2002/06/18 21:02

社会主義の兆し。

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 駒井の船の中。病気でもないのに遊んで寝て暮らし、マドロスを誘惑し、美味い物を食べる里見もゆる。彼女の歓心を買うために美味い物を盗んで運ぶマドロス。
 他の人たちはそれぞれ自分の仕事をしているというのに……。疑問を感じ、不満を募らせる茂太郎は、「お饅頭の搾取はパンの搾取ということにはなりませんか」と歌う。社会主義的発想を感じさせた。
 物語は少しずつ、ゆっくりながらも、確実に進んでゆく。

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紙の本大菩薩峠 13

2002/06/07 01:09

ピグミー再登場。

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 ピグミーが再登場。今度は前回よりも長丁場なうえに調子に乗っている。何ともはや……。神尾主膳は「嫌な感じ」の悪に染まっている。解説の「神尾主膳の残忍さは江戸の民衆のなかにひそむ嗜虐性につながっているように描かれている」という文には非情に納得した。文明が遅れていた無知な民衆は、弱者へのサディズムを持っていたのだ。それは強制売春婦を救おうともせずに美化して買っていたことからも分かる。当たり前のことなのだが、最近は江戸人を「義理人情に熱い現代人よりも良い人間」かのように幻想している人間が多いから、このことは肝に銘じておくべきだと思う。江戸時代は独立したファンタジーの世界ではないし、全体の歴史を見れば分かるはずなのだが。
 因みにこの大菩薩峠では、既に現実の歴史からは大分遠ざかっている。破天荒そのものだ。中里介山が長生きしていても、果たして完結したかどうか……。そこが魅力なのだが、終わりが読めないのもまた哀しい。

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紙の本大菩薩峠 12

2002/05/21 22:31

悪女塚。

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 お銀様は義母と義弟を焼き殺したうえに、世にも不気味な「悪女塚」の建立に熱中する。彼女のエキセントリックぶりはファンにとって嬉しい限りだ。奇矯な里見もゆるも魅力的である。彼女の行動は、実際は男にとって都合が好く、危険ではあるが。
 確かに、「大菩薩峠」の女性キャラクターたちは、「悪女」ばかりだろう。しかし、悪女とはいっても「悪人」ではない。男の被害者が多いのだ。女が無意識に男を誘惑するのではなく、男が勝手に疾しい気持ちを抱くのである。昔の男はエゴイストが多かったことだろう。男のエゴの犠牲になった女性は、「悪女」となることで「強さ」を得るのか。それでも結局報われず、また男のエゴの犠牲になってしまうのは痛ましいが……。

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紙の本大菩薩峠 11

2002/05/17 16:59

幻想現実入り乱れ。

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 7巻辺りから物語は脱線し始めたが、この巻では「ピグミー」が登場するなど、ユーモア(?)が増す。英語はともかく、とても当時は無かったと思われる現代語が、当然のように科白で使われる。ひょっとすると、三田村鳶魚の揚げ足取りに立腹して開き直ったのだろうか。私としては、大菩薩峠のような小説なら、それで構わないと思うが。
 竜之介とお雪の仲が邪推される根拠となった滝沢馬琴の「近世説美少年録」が気になる。読んでみたい。馬琴の小説は、近代小説に近いようだ。

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紙の本大菩薩峠 9

2002/05/13 15:27

ユーモアと虚無。

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 机竜之介とお雪がくっつきそうで、お銀様ファンとしては残念である(苦笑)。やはり時代小説の主人公は、悪女よりも清純な少女と結ばれる運命にあるのだろうか。どうも、悪女の方が苦しみを知っているのに、何の苦労もしらない娘だけが幸せになるというのは、納得がいかないのだが……。
 ストーリーは拡散、脱線が激しくなり、小説というよりも介山の論文(?)に近くなってきている。悪くは無いのだが、始めの頃のような物語をまた読みたい。

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紙の本大菩薩峠 7

2002/05/10 22:41

拡散。

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 あの宇津木兵馬までが女色に迷い、金の為に罪も無い人間を殺してしまう、というところが介山らしい。
 沢山の登場人物が、各々、紆余曲折を経ながらも一本道をたどってきた物語は、この巻になってそれぞれ拡散し始める。
 とりあえず、早くお銀様と竜之介が再会して欲しいと思う。

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紙の本大菩薩峠 4

2002/05/10 19:53

女性たち。

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 中里介山は、昔の作家とは思えないほど人物描写が巧みだと思う。特に昔の時代小説などは勧善懲悪ばかりだが、「大菩薩峠」はそうではない。勧善懲悪どころか、主人公(というわけではない、と介山は言っていたそうだが)の机竜之介からして、「人を斬らねば生きてはゆけぬ」と辻斬りを繰り返す快楽殺人者である。それでいて彼の悲壮感も表しているのが好い。
 女性も、お銀様はさることながら、お浜や、次第に無垢な心を歪めてゆくお君など、時代小説につき物の、まさしく「もの」のような「純情可憐な美女」や「男に都合の好い女」がいないのが凄い。

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紙の本大菩薩峠 3

2002/05/10 19:44

お銀様登場。

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 新キャラ、お銀様が良い。大富豪の娘で、幼い頃に顔に大火傷を負ってしまい、驕慢な性格を募らせた。驕慢、という言い方は可哀想な気もするのだが。後に目の見えない竜之介と結ばれるわけだが、顔に大火傷を負わされた美女、忠実な男奉公人、盲目ゆえの愛の成就、というあたり、谷崎潤一郎の「春琴抄」を思い浮かべてしまう。春琴抄にも元ネタがあるという話だが、それでは中里介山も同様の作品の影響を受けたのだろうか。山本昌代氏の「化け物退治」は、明らかに「大菩薩峠」のお銀様を元ネタにしていると思われる。

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