樹上のゆりかご みんなのレビュー
- 荻原規子 (著)
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紙の本樹上のゆりかご
2006/07/09 22:42
ささえてくれるその手があれば
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:くまくま - この投稿者のレビュー一覧を見る
ふわふわとした白い雲のような物語。それが第一印象だった。本当はもっとトゲトゲしていて、荒々しい物語のはずなのだけれど、それを強く感じられない。まるで夏の終わりの積乱雲のような…
学校というのは結構特殊な環境だったといまになって思う。年齢の幅はせいぜい3、4年程度。同じような環境で育ってきた人間が入っているハコ。自然とワクのようなものができる。これは校則とか、そういうつまらない話をしているわけではない。先輩から後輩に伝えられる伝統とか、ファッションのお約束とか、そういうもの。そういったハコの中で、はじめは縮こまっていた手足を少しずつ、少しずつ、他人にぶつからないように伸ばしていく。それが学校生活なのではないかと思う。
多くの人がいれば、手足を伸ばしすぎて他人やワクにぶつかってしまう人が出てしまうかもしれない。この作品は、そんな過程を学校行事という形で表しているのではないかとボクは思うのです。
「名前のない顔のないもの」の存在を訴える近衛有理。いましか本音を言えないんだという奔放な江藤夏郎。それぞれが色々な思いを抱えながら、反撥したり、妥協したりしながら日々を過ごす…
樹上で揺れるゆりかごは落ちそうで落ちない。見えるところで、見えないところで誰かが支えていてくれる。だから、暴れられる時には暴れてもいいんじゃないかな?いずれ自分が支える側に回れるのならば。そんなことを考えた作品。…サロメ、読んでみようかな。
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