月をめざした二人の科学者 アポロとスプートニクの軌跡 みんなのレビュー
- 著:的川泰宣
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月をめざした二人の科学者 アポロとスプートニクの軌跡
2019/05/15 14:51
米ソ宇宙開発を進めた功労者の人生を追う!
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投稿者:YK - この投稿者のレビュー一覧を見る
第二次世界大戦後に宇宙開発でしのぎを削ったアメリカとソ連で、それぞれ開発を主導したフォン.ブラウンと、コロリョフの生涯をたどるノンフィクション。
米ソ両国のロケット技術のルーツがどちらもドイツが主導していたロケット技術にあり、米ソ両国がドイツの技術を取り込もうと必死であったことが描かれています。
ドイツで研究を続けていたフォン・ブラウンはアメリカに投降することを決心しますが、ほんの数日違いのタイミングで研究拠点がソ連の手に落ちていたことが本書で紹介されています。もしもフォン・ブラウンがソ連に身柄を拘束されていたら、月に人類を送り込んだのはソ連になっていたかもしれません。
冷戦の期間中は米ソともに国を挙げて研究に邁進していたかのような印象を持っていました。しかしアメリカでは陸海空の三軍が開発の主導権争いを繰り広げ、ソ連では共産党幹部が宇宙開発の軍事的意義を理解せず、研究を継続するために常に政治的な活動を強いられるなど、必ずしも効率的な研究環境とは言い難いなかで開発が進められたことが描かれています。
アポロ計画を取り上げた本は数多く出版されています。一方、戦後まもなくからの宇宙開発の歴史を特にソ連とアメリカの状況を対比しながら紹介する本書はまた違った視点を提供してくれる1冊でした。
技術的な記述よりも開発の背景など政治的、社会的な描写に力点がおかれていて、技術的な知識がなくても読み通せます。
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