日本のいちばん長い日(決定版) 運命の八月十五日 みんなのレビュー
- 半藤一利 (著)
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2010/08/07 20:24
昭和20年8月15日、東京。そこで何が起き、何が起きなかったのか。
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:yjisan - この投稿者のレビュー一覧を見る
昭和20年8月14日正午、御前会議における天皇の「聖断」によって、ポツダム宣言の無条件受諾が決定した。軍や国民の動揺を抑えるため、天皇自らがラジオ放送を通じて国民に終戦を伝えるという未曾有の措置が取られることになった。だが本土決戦を唱えてきた陸軍省軍務局の一部の少壮幕僚は降伏を受け容れず、近衛師団参謀と気脈を通じて軍事クーデターによって鈴木内閣を転覆し、天皇を掌中に収めた軍事政権による戦争継続を企図した・・・!
御前会議の結論が出た昭和20年8月14日正午から玉音放送が行われた8月15日正午までの間、皇居や首相官邸といった日本の中枢部において、いったい誰が何を思い、何を行ったのか。本書は当時の政府首脳やクーデター参加者など多数の直接関係者からの証言を基に、日本史上、最も濃密な24時間を時系列に沿って克明に再現したノンフィクションで、今や古典的名作と言っても過言ではない。
内容としては、いわゆる「宮城事件」が軸になっている。この事件は近衛第一師団長森赳中将などの犠牲者を出したものの、首謀者たちの期待に反して同調者があまり現れず、小規模な軍事行動に留まったため、二・二六事件などと比べると知名度は低い。
しかし天皇を守るべき近衛師団が宮城占拠を企んだという点では前代未聞の大事件であり、しかも本書の記述を信じるならば、状況の推移いかんによってはクーデターが成功していた可能性もあったのだ。その場合は日本は内戦で滅び、無政府状態の中で連合軍の進駐を許すことになっただろう。
クーデター参加を拒否した森師団長の剛直、即座にクーデター鎮圧に動いた東部軍管区司令官田中静壹大将の果断は高く評価されるべきである。
それに引き替え、事破れた後に切腹した椎崎二郎中佐・畑中健二少佐はともかく、クーデターの首謀者にもかかわらず、のうのうと戦後を生き延びた稲葉正夫中佐・井田正孝中佐・竹下正彦中佐らに対しては嫌悪感を覚えざるを得ない(もちろん本来なら死刑になってもおかしくない彼等に対する処罰を曖昧にした軍の責任も大きい)。
彼等は森師団長殺害の責任を(自害した)畑中に押しつけ、自分たちの無関与を主張しているが、これは「死人に口なし」というやつで、どこまで信を置いて良いものやら。
もっとも、彼等も一緒に自害していたら、クーデター計画の詳細を知る術はなく、この作品そのものが成立し得なかったわけで、本書の記述が生き残った井田・竹下らの証言に概ね沿っているのは止むを得ないことではある。
また本書は阿南惟幾善玉説(自らの割腹によって陸軍の暴走を抑止し終戦を実現した功労者)に立っているが、本書の阿南観は、阿南の側近であり阿南の自刃を見届けた井田・竹下の証言に拠るところが少なくないので、多少割り引いて評価する必要もあるだろう。宮城事件の黒幕は阿南であるとの説もあり(阿南は竹下の義兄であり平泉澄に心酔するなど、政治思想もかなり近い)、この辺り、オーラル・ヒストリーの難しさを感じさせる。
とはいえ、本事件の歴史的意義を広く世間に伝えた本書の価値は不朽のものである。
2023/02/24 18:50
終戦日
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投稿者:七無齋 - この投稿者のレビュー一覧を見る
言わずもがなの名著として有名。1945年8月15日の玉音放送までの過程を追ったもの。ともすれば陸相を主人公に見られるがもっと多面的に深堀する必要はある。
2021/10/05 21:46
興味深い
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投稿者:なつめ - この投稿者のレビュー一覧を見る
映画化もされていましたが、原作も興味深く読むことができました。半藤一利さんらしい視点で、素晴らしかったです。
2015/12/31 22:28
映画を見たので
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投稿者:ぽんず - この投稿者のレビュー一覧を見る
もともとこの本が出版されていたのは知っていましたが、映画を見てから本を読もうと、映画を見た後、購入しました。
映画も良いですし、本で読むのもまた良いと思います。
じっくり読もうと思います。
2015/10/13 18:28
難しかった
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投稿者:Neko - この投稿者のレビュー一覧を見る
話題になっていた本なので、買ってみました。
映画化もされ、おおかたのストーリーはわかるのですが、
登場人物の把握がなかなかしきれずに、何度も読み直しました。
難しかった・・・。
でも、現実にあった大切な歴史。
心にしっかり刻んで考えます。
2015/09/19 07:09
映画化を機に
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投稿者:とっとこクー太郎 - この投稿者のレビュー一覧を見る
この夏の映画化を機に読んでみることにしました。半藤氏の作品は,「夏目漱石」に関するエッセイ集などは読んでいましたが,いわゆる「昭和史」的な作品は,それほど多く読んでいるわけではありません。直球の「昭和史」はかなり読み応えがあり,「ノモンハンの夏」は,深く考えさせられる作品となっていました。
本書の場合は,極めて抑制的なタッチで描かれているためか前半部では緊迫感をあまり感じません。ほぼ時系列に沿って描かれているので,事実その時点ではあまり緊迫感がなかったと言うことでしょうか。しかし後半部分になると,緊迫感が一気に増してきます。読むスピードもかなり速くなってしまいました。
最後まで読み通したときに,読み応えがあったなと感じる本だと思います。
2015/08/09 13:04
戦争は絶対してはいけない
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投稿者:はんつと - この投稿者のレビュー一覧を見る
戦後70年の節目に手を取り、終戦の8月15日までに・・・と思い、8月7日に読了しました。ポツダム宣言の受諾から玉音放送が実施されるまでのエピソードをもとにしたノンフィクション作ですが、様々な立場におかれながら、最後までその役割を果たそうとした、当時生きた者たちの信念の強さと無念さに感動しました。
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