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縮尻鏡三郎 みんなのレビュー

  • 佐藤雅美
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みんなのレビュー12件

みんなの評価3.7

評価内訳

  • 星 5 (9件)
  • 星 4 (2件)
  • 星 3 (0件)
  • 星 2 (0件)
  • 星 1 (0件)
2 件中 1 件~ 2 件を表示

紙の本首を斬られにきたの御番所

2009/12/02 19:43

脇の甘い婿・三九郎が妻を苛立たせ、鏡三郎の頭を悩ませる

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:toku - この投稿者のレビュー一覧を見る

「縮尻鏡三郎」シリーズ第二弾。

各話の物語は独立しているが、時間の流れがつながっている連作短編小説。
前作「縮尻鏡三郎」では、鏡三郎の『長崎会所五冊物』の解読を発端として、長崎貿易収支減少の原因を探り出してきた鏡三が、地借りしている津田織部の次男・三九郎を娘・知穂の婿に迎えたあと、自身は隠居して引合茶屋・矢車屋のおりんと所帯を持ち、大番屋の元締めに戻ったところまでを描いていた。

「縮尻鏡三郎」はシリーズものだから、鏡三郎を取り巻く状況はこの続きから始まる。
「首を斬られにきたの御番所」は前作のように、長崎貿易収支減少の探索とその解決による完結という明確な流れはないものの、娘夫婦の不仲が鏡三郎の心配の種であり、この問題が本作品を貫く大きな流れだと思う。


もともと知穂は三九郎のことを『ぼんくら』呼ばわりしており、所帯を持ってからも亭主の事を『三九郎』と呼び捨てにする。
三九郎は過去の鏡三郎がしたように、習い事や顔を知ってもらうための挨拶回りなどの就職活動はほとんどせず、鏡三郎の大番屋に顔を出したり、道場に通うだけであり、しかも粗忽者。
本作中の『舞う桜』では、そんな三九郎の粗忽ぶりが描かれており、知穂との仲はますます悪くなるばかり。
知穂は自分が稼がねばと手習塾を始めていたが、大手手習い塾の女座を任されることになってから、元々そこの手習い塾を開き男座を担当している男前で博識の菊川秀之進と知り合い始めると生き生きとしだした。

最終話『春を呼び込むか、百日の押込』で、三九郎はまたまた事件に巻き込まれることになり、知穂は『あんなぼんくらとはいつまでも一緒にいても仕方がない』といい、鏡三郎に三九郎と別れて一人で暮らすと言う。

この最終話は、三九郎を巻き込んだ事件の解明が中心で、それに加えて大きな流れである鏡三郎の心配事に、希望の光を射す状況を描いている。
読む前には一見意味不明な『春を呼び込むか、百日の押込』というタイトルは、読み終えてそういうことかと納得させられる。


第一弾「縮尻鏡三郎」もそうだったが、一つの話の中にまったく違う出来事が描かれ、それが話が進むにつれて一つのことに結びついていく様子は読んでいて気持ちよく、特に『いまどき流行らぬ忠義の臣』は、二つの出来事と鏡三郎が縮尻御家人となった大阪無尽調査の件と絡めてあり、とても爽快だった。

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紙の本浜町河岸の生き神様

2009/12/05 19:18

ひょんな事から解明される八つの問題が魅力の作品

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:toku - この投稿者のレビュー一覧を見る

「縮尻鏡三郎」シリーズ第三弾。

「もう、やだ」読み出すといきなり娘・知穂の怒りが目に飛び込んでくる。脇が甘い婿・三九郎がまたやらかしたのだ。
前作「首を斬られにきたの御番所」のラストで、百日の押し込めになった三九郎を甲斐甲斐しく世話をし、夫婦仲はひとまず安心と思っていたので、ページをめくると飛び込んでくる知穂の憤まんが、何事が起こったのかと気を引き付ける。

そういう出だしの「浜町河岸の生き神様 - 縮尻鏡三郎 -」には、第一弾「縮尻鏡三郎」、第二弾「首を斬られにきたの御番所」にあった一冊を貫く大きな物語がなく、全八話すべて独立した物語のみなので(時間的にはつながっているので過去の話は出てくる)、これまでの作品より楽しみが少し減った印象を受けた。

『破鍋に綴蓋』
脇が甘い婿・三九郎の安請け合いによって怒り心頭の娘・知穂。
鏡三郎は知穂に『安請け合いの断り』を押しつけられ、別件の揉め事解決依頼が鏡三郎を『安請け合い断り』との板挟みにする。
困り果てた鏡三郎の取った行動と結末、そしてその原因となった三九郎の行く末は……。

『さりとはの分別者』
老舗蕎麦屋の普請を請け負った大工の平右衛門。
材木の二十両を後払いにしてもらい、請負証文と着手金を待たずに材木の加工に着手した。
ところが蕎麦屋の主が亡くなり、若旦那は普請の変改はするつもりはないと言ってくれたものの、いざ普請の段階になると金がないと取り合ってくれない。
若旦那の心変わりと見る鏡三郎の元にやってきた相談内容とは。

『お構い者の行く末』
羽鳥誠十郎宅で鏡三郎が馳走になっていると、縮尻御家人となった事件に関わりのある市場藤四郎の息子・孫次郎が現れた。
お構い者だったが御赦されて江戸に戻ってきたと言う孫次郎は、お構い者になっているとき、妻子が殺され、彼が妻子を殺したのではないかと疑われていた。
そして孫四郎が消えた夜、呉服屋越後屋に賊が押し入り、主人夫婦と娘を斬殺、三百両を盗むという事件が起きた。

『思い立ったが吉日』
過去の恩を目当てに何度も金をせびりに来るうどん屋茂兵衛。恩にどこまでも報いようとする蝋燭屋勘右衛門。
怒り心頭の妻に頭を冷やしてこいと言われて勘右衛門は旅にでた。
しかし恩をもって恩に報いたのがきっかけの旅先で、それが徒となって勘右衛門を襲った。
ちなみに本書表紙のイラストはこの物語の一部を描いたもの。

『似た者どうしの放蕩の血』
須藤四郎左衛門は父・周庵が死ぬと馬脚を現し放蕩を繰り返した。
それに輪をかけた放蕩者の息子・幸之助は、放蕩の末、家財道具を売り払い、借家住まいで細々と暮らしていた。
そこへ蔵書三万冊、売り払えば千五百両にもなる祖父・周庵の『数寄屋橋文庫』が、書肆(ほんや)に出回っているという話を聞いた。
四郎左衛門は、蔵書は誰にも売っていないはず、盗まれたものだから返せと書肆に嫌がらせを始めた……

『踏み留まった心中者の魂魄』
三ツ俣という洲に心中者の死骸が引っかかった。
お構いなしとされていた川流れの死体であったが、何日も引っかかっている上、身ぐるみを剥がれて丸裸になったことで、物見高い江戸っ子が雲霞のように集まりだした。
いつまでも見せ物になるのは具合が悪いと心中者が埋葬されたあと、鏡三郎の元に妾がいなくなったという話が舞い込んできた。

『浜町河岸の生き神様』
福々しく鎌倉の大仏が立ち上がったような雰囲気の武家と銭両替屋の手代が、喧嘩して番屋へ送られてきた。
『切金裁許』を利用した武家の踏み倒しが原因なのだが、その武家は他に二口も同じ手口を使っていた奉行所の名物男だった。
すったもんだの末、福々しい武家が思い立った金策とは。

『御家人花房菊次郎の覚悟』
『相対替え』を希望する御家人の屋敷で籠脱け詐欺(かごぬけさぎ)が行われた。
その犯人とおぼしき人物は、鏡三郎の幼い頃からの知り合いで不良御家人の花房菊次郎らしい。
菊次郎が定期的に現れる茶屋で、籠脱け詐欺の犯人を見た奥方の面通しに、鏡三郎も一役買ったのだが。


各物語は、あらぬ所から湧いてきたよう話が問題の解決につながっていく展開がほとんどなので、一話で二度おいしく、二つの話が合わさって三度おいしい作品群に仕上がっている。

ところで佐藤雅美氏の小説は漢字が多い。嫌がらせかと思うほどに漢字が固まっている部分もある。
しかし本屋でパラパラとめくり漢字が多いからといって、買うのを止めないで欲しい。
特に「居眠り紋蔵」シリーズ、「縮尻鏡三郎」シリーズは、漢字の多さから受ける堅さなく、ほのぼのとした雰囲気が漂う時代小説なのだから。

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