人は放射線になぜ弱いか 第3版 少しの放射線は心配無用 みんなのレビュー
- 近藤宗平
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紙の本人は放射線になぜ弱いか 少しの放射線は心配無用 第3版
2003/12/28 22:05
本当に怖くないと言えるのか疑問です。
4人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:妹之山商店街 - この投稿者のレビュー一覧を見る
冒頭の寺田寅彦の
「ものを怖がらな過ぎたり、
怖がり過ぎたりするのはやさしいが、
正当に怖がることはなかなかむつかしい。」
という言葉には同感致します。
放射線に対して「正しく怖がる」ということだと思います。
私達は日々放射線を受け続けています。
<自然放射線>
・宇宙線
・大地放射線(地殻内の放射性同位体元素からの放射線)
・体内から(食物や呼吸により摂取したカリウム、ラドン等の放射性同位体元素
例えば、必須ミネラルであるカリウムは体内に常に体重の0.2%存在する。
その内の一万分の一のカリウムの放射性同位体元素も含まれる。
体重が50キロだとすると、50キロ×0.002×0.0001=0.01
グラム。
これは3000ベクレル、つまり毎秒3000個の放射線粒子を浴びている訳で
す。
しかし、生物の体内には、何重もの防護システムがあります。
DNA修復酵素群です。
たとえ、放射線によりDNAを傷つけられても、それを修復するシステムがある
ということ。
しかも、DNA修復が不可能と判断するp53タンパクは、その細胞に細胞
自死(アポトーシス)を命じて、体全体を守ります。
(筆者は、「放射線の傷害作用の主因はDNAに2本鎖切断ができること)
(である」と書いています。2本鎖切断は修復がかなり難しいのでアポトー)
(シスを指令するに至る場合も多いです。)
まさに驚嘆すべき驚異のシステムです。
唯物論者たらんとする私にとっても、まさに「神の手」によるものとしか感じ
得ないような感動的な仕組みです。
ということで、自然放射線程度の低レベル放射線に対しては、人体の防御
システムがあるということでは、異存はありません。
しかし、筆者も認めているように、危険性はゼロにはなりません。
例えば、0.025%の発がん率上昇と言われても、個人にとっては、安全と
同義です。しかし、1億人にとっては、0.025%は2万5千人になり、無視
できません。つまり、「確率的被害」なのです。
放射線が影響を与えるのは、DNAだけではありません。
もっと大きな種々の細胞組織にも影響を与えます。
1個の細胞の中のDNAは約30億あり、その内、現在その意味が分かっている
ものは、つまり遺伝子は、わずか6.6%だそうです。
残りは(もう)意味がないか、まだ意味が分かっていないものです。
つまり、運悪く、決定的なDNAに放射線を受けた場合、不運としか言いよう
がないのですが、やはり不運な出来事に遭遇してしまいます。
同じ放射線量を受けても、その場所(放射性感受性の高い・低い)、同じ人で
も体調の状態、等々…
たまたま細胞分裂している場所に、たまたま重要なDNA部位に…等…、
もう確率の世界ですね。
1個の細胞中のDNAの数は、約30億。
細胞分裂時にコピーミスがたったの3個程度生じるそうです。
このコピーミスは、もうどうしようもありません。
(自然突然変異)
筆者に一つ苦言を呈させて頂ければ、DNA修復酵素群とp53に対する
評価です。
私も心から感動するシステムなのですが、残念ながら万能ではありません。
1.DNA修復酵素群でも修復ミスを犯すこと。
2.p53もまたタンパクですので、p53というタンパクを生み出す命令を
出すDNA部分が存在します。そのDNA部分を損傷された場合、p53が
生み出されず、細胞自死(アポトーシス)が行われません。
(1個のタンパク質を指令する遺伝子は2個存在しますが)
アポトーシスしなくなった細胞、これがガン細胞ですね。
「少しの放射線は心配無用」というテーゼに対して、
ある限定性に於いては、理解できます。
低レベル放射線が、
<人体の約60兆個の細胞に、ランダムに、つまり同じ箇所に連続して放射し
続けるのでなければ>、という限定性です。
紙の本人は放射線になぜ弱いか 少しの放射線は心配無用 第3版
2011/08/15 23:48
原発事故で心配なひとを安心させてくれる (?) が,やや専門的
2人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Kana - この投稿者のレビュー一覧を見る
人体への放射線や放射性物質の影響について,くわしく書いている. 現在の版はチェルノブイリの事故のあとでかきかえられたものであり,とくに,放射線は微量でも有害だという仮説を否定して,微量放射線は無害であり,ガンにかかりにくくなることもあることが書かれている. 最近よくきくシーベルトという単位の定義にも,不適切ではないかと疑問をなげかけている.
福島第一原発事故で放射線や放射性物質恐怖を感じているひとは,この本を読めば安心できるのではないかとおもう. とくに,自然にある放射性カリウムが体内にも 3000 ベクレル相当あるのに対して,もれた放射性物質による放射線はずっとすくないという. しかし,内容は比較的専門的だから,よみやすいとはいえないだろう. この原発事故程度の放射線に危険はないという根拠をよく知りたいひとにはよいだろう.
紙の本人は放射線になぜ弱いか 少しの放射線は心配無用 第3版
2011/05/09 07:56
安全なのか危険なのか、まだ分かっていないのか、皆が知るべき
2人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:アラン - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、少しの被ばくなら危険でないということを、大きく2つのことから示す。つまり、「放射線はどんなに微量でも毒」という説を覆すのである。一つは、広島・長崎原爆やチェルノブイリ原発事故の後の調査結果を分析することで、一定の放射線量を超えなければ、白血病・ガンの発病率が上昇しないことを示す。もう一つは、細胞・DNAの働きを解き明かすことで、放射線が少しのDNAを傷つけても、修復してしまうし、修復できなくても廃棄処分することで、問題が全く生じないことを示す。がん発生に関わる要因として、イニシエータ(始発因子)とプロモータ(促進因子)があるが、放射線はプロモータとして働くにすぎないので、がんが発生しない安全量域があるとする。
福島第一原発事故は、国難とも言える一方で、非常に恐ろしいものである。本書冒頭では、「今回の被ばくは生命に危険を与えることは全くありません」と断言している。しかし、すぐに「じゃあ安心ですね」とはならないだろう。具体的に何がどのように危険なのか、あるいは安全なのかということを、多くの国民が、論理的・科学的に把握すべきである。そのためには、このような本を読み、勉強すべきである。小佐古氏が内閣官房参与を辞任するということもあったが、安全なのか安全でないのか、それとも、どちらなのかまだ結論が出ていないのか、感情論でなく、論理的・科学的にきちんと議論をし、明確にすべきである。本書に対しても、正しいのか間違っているのか、専門家の分かりやすい説明を聞きたいものである。ニュートン6月号や、日経新聞5月9日の記事から判断すると、低い放射線量での影響は、実はまだよく分かっていないようではあるが。
なお、本書は話があちらこちらに飛び、とても読みづらい。どの章・節・文章で何を述べたいのかを明確にしつつ、一から書き直した方がよいのではないかと思ってしまう。それでも本書は大変重要な内容を含んでおり、ぜひ多くの人が読むべきと考える。
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