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情熱のシーラ みんなのレビュー

  • マリーア・ドゥエニャス(著), 宮崎真紀(監訳), 大友香奈子(訳), 村田悦子(訳)
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みんなのレビュー1件

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紙の本

紙の本情熱のシーラ 下

2018/05/31 23:42

一女性の生きた戦時下スペイン

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:pinpoko - この投稿者のレビュー一覧を見る

戦前はお針子にすぎなかったごく普通の女性シーラ。曲がりくねった人生の果てに本国スペインで、ナチスの情報を収集する諜報員となる。昔のフィアンセがフランコ体制側のひとになっていたり、生き別れの父に偶然再会したりしながらも、ドレスメーカーの仮面の下で着々と任務をこなしてゆく。
作者のいうとおり歴史小説、ロマンスもの、スパイもの・・・といくつもの顔をもつこの作品にたっぷり魅了された。特にテトウアンやタンジールなどスペイン保護領モロッコの当時の状況や雰囲気がとてもよくわかる。それもそのはず作者のお母さんはじめ親族の方が戦前のテトウアンで暮らしておられたのだから。その思い出を聞き、資料を調べるうちに構想がかたまったという。
太陽の沈まぬ王国と呼ばれた16世紀から、在外植民地をほぼすべて失った20世紀初頭のスペインの最後の拠り所だった保護領モロッコの煌めきは儚くて美しい。
シーラ以上にその生き方に拍手喝さいを送りたいのがロザリンドだ。21世紀の今でも中々お目にかかれないような女性だと思う。

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