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エンデの遺言「根源からお金を問うこと」 みんなのレビュー

  • 河邑厚徳 (著), グループ現代 (著)
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みんなのレビュー4件

みんなの評価4.6

評価内訳

  • 星 5 (2件)
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紙の本

本書でエンデが示した地域通貨の可能性によって、今日のデフレ脱却への可能性も見出せる。要はお金は使い様なのである。

6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:チルネコ - この投稿者のレビュー一覧を見る

本好きな方が『エンデの遺言』というタイトルの〔エンデ〕という部分でまず始めにピンとくるのはたぶんミヒャエル・エンデだろう。本書の〔エンデ〕というのはまさしく『モモ』や『果てしない物語』を書いたミヒャエル・エンデその人である。しかし、そういう一般的なファンタジー作家というイメージとは違い、【お金】の根源を問うエンデのアプローチを形にしたものが本書なのだ。といってもタイトルにあるように本書はエンデが著したものではなく、お金の根源を問うエンデとドキュメンタリーを作りたいと考え先だってインタビューを行っていたそのテープを元に書かれたものである。なぜ自身で書かなかったのかというと、エンデはドキュメンタリーが製作される前にこのテープを残して他界してしまったのからなのだ。しかし、どうしてもそのテープにあるエンデの遺言ともいえる熱弁を番組にして伝えたいという想いから、ドキュメンタリーが製作され本書が出版されたようである。そして、ここに書かれていることは、エンデが熱心に「お金の本来の形」を語る姿だった。

僕も『モモ』は一応幼少期に読んでいたのでおぼろげながら内容の記憶はあるのだが、実はあの作品にも「お金」を問う問題意識が隠されていたのである。〔灰色の男〕を何かに置き換えてみるとたぶんやんわりとでもイメージが掴めるだろう(思い浮かばなければ再読を)。それほど以前からエンデは「お金」というものに疑問を投げかけ、経済学者などと親交を深め論じてきたようなのだ。その証拠にエンデの本棚にはゲゼル『自然的経済秩序』、ケインズ『雇用・利子および貨幣の一般理論』、シュタイナー『社会問題の核心』、オンケン『ゲゼル全集』、ビンズヴァンガー『お金と成長』、マルグリット・ケネディ『利子ともインフレとも無縁な貨幣』、トルストイ『お金と何か』、ズーア『付加価値なしのお金』『利子とは泥棒だ』など、数多くのお金を論じた著作が並んでいたようだ。

それらのタイトルを読んでいくと漠然とではあるがいくつか見えてくるものが、はっきりと「利子」というものへの問題提起がタイトルからでも見えてくるだろう。だがまずはエンデが最も影響を受けたであろうゲゼルやシュタイナーの「お金の価値は減らなければならない」「お金は老化しなければならない」というテーゼに注目したい。自然界のものも人間が創造したものもすべて老化を経て消滅するというプロセスを必ず持っているが、お金に関しては老化もせず消滅もしない。人がいるかぎり膨張を続けるという得意な創造物で、これはいつか破綻に突き当たるという。確かにそれは至極最もなことでマルグリット・ケネディも「このままのシステムでいけば100年ないし200年で経済は破綻を迎える。これは計算をすれば誰でもわかることだ。」と言っているくらいである。加えて貯蓄からは利子も産まれ、お金は刷られるほど膨張してゆく。しかし、これはお金の本来の形ではなくて、お金もその他の物と等価交換されれば、役割を終え老化し消滅しなければならない。あるいは価値を減らしていつかは消滅しなければならないという。

実はこれはすでにオーストリアのヴェルグルという町で地域通貨という形で実践されていて、それが「スタンプ貨幣」というもの。これはスタンプによって一ヶ月ごとに価値が1%下がるという貨幣で、持ってても増えないばかりか、逆に使わなければどんどん価値が減少するというものなので、皆がすぐに使う。皆がすぐ使うということはこの貨幣が町でどんどん潤滑し貨幣の流通が滞ることがなくなったのである。これは町単位だったとはいえ大成功を収めたようだが、オーストリア政府の「紙幣の発行は国の独占である」ということから介入にあい禁止される。

しかしそれらの試みが地域通貨としての嚆矢となり、LETS(地域交換取引制度)や交換リングやSELなど、世界では現在2000以上の取り組みが行われているのである。驚くなかれ、実はわが国でも並行通貨というものは全国どこにでも存在していて、100や200はくだらないようだ。だが、地域通貨が流通している実感があるか?といわれると正直全くないのである。大概の方が実感してないことと思うが、これが問題でまだ全然浸透してないのである。

しかし、ニューヨーク州イサカという地域を見てみると地域通貨というものがほぼ町に浸透しているのだから驚いた。人口3万人の町で発行されている「イサカアワー」という地域通貨は、町のほぼどこでも使えるお金として流通しているのである。地元の銀行や数十社の企業でも扱われていいて、政府もこれを公認してるというのだからこれはもう成功例といっていいだろう。これを経済がどうにもならない日本でもやればいいと思うのだが、悲しいかな日本では「イサカアワー」にょうな地域通貨は違法になってしまうようなのだ(苦笑)もちろん米国では合法。しんどい国だ。。。

「イサカアワー」が成功してるのは「個人での労働に対する純粋な対価としての通貨」だからである。政府発行紙幣はどんどん資本に吸い取られていくが、イサカアワーは第二通貨として貯め込まれることもなく、法定通貨を補うためとして使われているからだと思う。ほかにも成功してる地域通貨はいくつもあり、法定通貨を補うお金として、現在の金融システムなどと切り離された存在で地域を救済してくれるのではないだろうか。

エンデは言う。「お金を変えられないことはない。人間が作り出したのだから」と。ネットマネーなど新たな形のマネーも登場してきているが、人の考え方次第ではまだ取り戻せるものがあるかもしれないという可能性を魅せてもらった。

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