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永遠の戦士エルリック みんなのレビュー

  • マイクル・ムアコック, 井辻朱美
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みんなのレビュー4件

みんなの評価4.5

評価内訳

  • 星 5 (2件)
  • 星 4 (2件)
  • 星 3 (0件)
  • 星 2 (0件)
  • 星 1 (0件)
4 件中 1 件~ 4 件を表示

紙の本

紙の本夢盗人の娘

2006/12/10 22:13

「第二サイクル」スタート

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:Leon - この投稿者のレビュー一覧を見る

第2次世界大戦前夜のドイツ。
先祖伝来の城の中に篭り、読書と思索に明け暮れる静かな日々を過ごしていた白子のフォン・ベック伯ウルリックだったが、彼の従兄であるゲイナーの訪問を受けたことにより、静寂は打ち破られる。
ウルリックより遥かに政治的な従兄は、台頭著しいナチスに傾倒したらしく、SSの制服を一分の隙も無く着用に及んでおり、訪問の理由も単なる社交辞令のためではなかった。
ゲイナーはヒトラーからベック家に代々伝わる”黒い剣”レーヴンブランドを入手するよう指示されており、頑なにナチスへの協力を拒んだウルリックは捕えられて収容所に収監されてしまう。
決して「黒の剣」の隠し場所を明かさないウルリックは、執拗な拷問の前にその命の灯火も消えかかっていたが、ある夜に、自分の分身としか思えない白子の青年が寝台に座っているのを目撃する。
身体を引き摺るようにして寝台に辿り着くと、分身の姿は消えていたが、マットレスの上にはレーヴンブランドがあり、その柄を握ると剣から身体にエルネギーが流れ込んで来た。
翌朝、いつものように現れた看守の太った腹に切っ先を突き刺すと更なるエルルギーによって全身が満たされ、次々とナチス看守を屠るうちに、ウルリックの口からは異様な響きの言葉が発せられた。
「アリオッホ! アリオッホ!」
「ストームブリンガー」によって神話的な結末を迎えたこのシリーズだが、21世紀に入ってから本書を始めとした「第二サイクル」ともいうべきシリーズが始まった。
元より「永遠の戦士」は数多の次元において様々な名前で存在しているという前提があるので、これまでもエレコーゼやホークムーンなどが一同に会する「一なる四者」などの概念が織り込まれて来たが、本書は第一サイクルから見ると外伝的な存在になるようだ。
スパイ映画の「007」にも似て、本シリーズにはボンド・ガールならぬエルリック・ガールが毎巻登場していたわけだが、大抵は不幸な結末を迎える中で「真珠の砦」でエルリックの冒険を助けた夢盗人ウーンは数少ない生存者であるばかりか彼の子供を宿した。
本書ではウーンの娘ウーナが、それぞれが窮地にあるエルリックとウルリックという二人の永遠の戦士を引き合わせることによってお互いを助けることを可能にするのだが、そのような多元宇宙世界に特有の幻想的な物語構造に加えて、ヒトラーや聖杯伝説など「この次元」に纏わる要素が数多く登場するのも興味深い。
このシリーズには映画化の話もあるようだが、「竜 VS メッサーシュミット」のような場面は映像化を意識したものか、これまでにはない派手な演出も目立つようだ。

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紙の本

紙の本メルニボネの皇子

2006/10/21 00:07

英雄に求められているものは

7人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:シノスケ - この投稿者のレビュー一覧を見る

ヒーローや英雄と呼ばれる人々にも、当然ながらさまざまなかたちがある。十鬼島ゲンは自らの英雄性を否定することで銀河の人々を先導した。ベルガリオンは愛する妻のことを考え世界を救った。エルリックは次元を超越する魔剣ストームブリンガーと出会い、そして探求のために故郷メルニボネを旅立つ。それは自らの良心に基づく旅路だ。そして、先々で待ち受ける困難が彼の人間性を浮き彫りにしていく。

エルリックは苦悩し、自らの力に酔いしれもするし、義憤にかられ剣を取ることもある。そんなエルリックは、実は一般人と変わらない部分が多いようにも見えるのだが、それでも彼は奇形だ。それは彼が白子ということでもないし、半神に近いメルニボネ人であるということでもない。もちろん、薬を手放せないほどの虚弱体質なのだが、普通の人間の目には強大な魔術と黒い魔剣を使いこなす人ならざる人として写る。自らの求めるもののために、相反する力を借りなければ生きながらえることもままならない二律背反する状況にもあるエルリック。まさにアンビバレントな存在である。そんなストームブリンガーの混沌に頼らなければ成らない二律背反な状況が、いっそう彼の葛藤を暗澹たるものにする。活劇シーンも書き込まれた魔術シーンも実に鮮やかだ。悲劇と叙事詩的で壮大なファンタジー世界を融和させ、エルリックというヒーローの葛藤を見事に描いた名作。

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紙の本

紙の本暁の女王マイシェラ

2006/08/26 09:14

今週の「くいしん坊!万才」は<新王国>からお届けします

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:Leon - この投稿者のレビュー一覧を見る

エルリックは宿敵である魔術師セレブ・カーナを追って<新王国>の一つロルミールに上陸したが、待ち受けていたキマイラの群れに襲われて盟友のムーングラムともども拉致されてしまう。
キマイラに抱えられた意図せぬ空の旅の途中、エルリックは祖先交わした鳥族の女王フィリートとの契約に基づく呪文を思い出してキマイラの撃退に成功するものの、不案内な土地に取り残される結果となってしまった。
真っ白な雪原の中で方向感覚を失った二人は、草原の只中にぽつんと建つ古い城にたどり着くのだが誰の出迎えもない。
暖炉には勢いよく火が燃え、食料などもふんだんにあるものの、召使はおろか主人の姿も見当たらず、休息も束の間二人は城の探索を始めた。
無数の部屋部屋の探索は成果なく終わるものと思われたが、最も高い塔の中で城の住人を見つける。
寝台の上で静かに眠る女性の美しさは、エルリックをして従妹サイモリルを思い起こさせたが、如何なる偶然かその女城主もまた魔法の眠りに囚われていた。
己の無力さに再び向き合うこととなったエルリックは、逃げるように城を後にして交易都市アロラサズに投宿するが、そこで女城主と意外な再会をする。
マイシェラと名乗った彼女は、セレブ・カーナと抗争中であり、かの魔術師の呪いによって僅かな時間しか起きていられないと語り、エルリックの助力を求めるのだが・・・
従兄弟イイルクーン皇子を倒したエルリックに新たなライバルが登場。
セレブ・カーナは、衰退するメルニボネ帝国に替わって台頭してきた<魔術師の島>パン・タンの出身で、中々の策士でもあり一時はエルリックを生け捕ることに成功する。
ジャーコルの女王イシャーナに岡惚れするセレブ・カーナは、女王の想いがエルリックにあることを知って嫉妬の炎を燃やしているのだが、エルリックはと言えば、例によって「くいしん坊!万歳」的に土地土地で美女を食べ歩く悪い癖が直らない。
イシャーナに良いところを見せようとする魔術師と、既に「それって誰だっけ?」状態になっている白子の、どこかズレていながら壮絶な戦いの末に、やはり今回も美女の犠牲が。
後半に収録されている「薔薇の復讐」では、かつての騎竜であったスカースナウト(傷鼻)に運ばれて故郷のメルニボネに降り立ったエルリックが亡父の幽霊と出会う。
父サドリックの魂は、その死後忠誠を誓っていた<混沌>に捧げられるべきものなのだが、彼の願いは先立った妻とともにあること。
父の願いを叶えるために、エルリックは<上方世界の神々>の裏をかかなければならないが・・・
多元宇宙(マルチ・ユニバース)という独自の世界観も、北欧の伝承が絡められるなどしてより身近に感じられるようになってきた。
また、無数の巨大な台車の車列で永遠に移動を続ける風変わりなジプシーの街の様子などは著者特有の幻想味があって愉しい。
特筆すべきは、ヒロインとなっている時間流を旅する女戦士<薔薇>が白子の御手付きにならなかったことだろう。

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紙の本

紙の本メルニボネの皇子

2006/04/16 20:56

悲劇の中でこそ輝く英雄の勲!

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:Leon - この投稿者のレビュー一覧を見る

かつて大艦隊と竜によって得たメルニボネ帝国の広大な版図は、今や僅かに竜の島を残すのみ。
その衰退を暗示するものか、今<ルビーの玉座>を占めるのは生まれながらにして虚弱な白子(アルビノ)の皇帝エルリック。
新興の<新王国>諸国は、半ば伝説と化しているメルニボネ人を恐れつつも次第にその勢力を伸ばし、艦隊を組んでは竜の島の財宝を奪わんものと襲撃を繰り返していた。
現状に甘んじる平和主義者のエルリックの態度に我慢ならないのは、皇帝の従兄弟イイルクーン皇子。
野心家の彼は、メルニボネに過ぎ去りし日の繁栄を取り戻そうと画策しており、更には<ルビーの玉座>には自分こそが相応しいと考えている。
南方からの侵略者の艦隊を、自ら指揮して打ち破ったエルリックだったが、逃走に成功した船も幾つかあった。
当初は追撃を拒むエルリックだったが、従兄弟に腰抜けと揶揄されて艦隊を外洋へと率いることに。
それこそイイルクーンの策略だった。
脆弱な体力を補うために採っていた薬の効能は追撃の間に薄まり、立ち上がることすら侭ならなくなったエルリックの前で、イイルクーンがその叛心を明らかにしたのだ。
甲冑の重みによって水中深くに引きずり込まれるエルリックだったが・・・
虚弱ではあるが、初代の魔術皇帝より綿々と受け継がれてきた魔法の力こそはエルリックを皇帝たらしめるもの。
古代に父祖が精霊などと交わした契約は今も生きており、エルリックは彼らの助力を得てイイルクーンを追い詰めていく。
しかし、混沌の神々の一柱であるアリオッホを召還したときから、彼の運命は大きく狂い始めてしまうのだ。
物語の舞台は神々の時代から人間の時代への過渡期にあたり、英雄が活躍するには打ってつけと言え、巻頭で献辞を贈っているポール・アンダーソンの「折れた魔剣」などと同様に叙事詩的な味わいがある。
メルニボネ人は厳密には「人」ではなく半神に近しいものだが、その品性は根本的に邪悪で、トールキンのエルフとは逆に新興の人類を蹂躙する血も涙も無い種族。
代表的なメルニボネ人であることを期待されるのは、皇帝にとっては当然なことではあろうが、白子であること以上に情け深いエルリックの心根こそはメルニボネ人としては奇形なのである。
<黒の剣>ストームブリンガーを始め、混沌の助力に頼らざるを得ないエルリックの葛藤が醸しだす悲劇性は物語に暗い影を落とし、暗く逃れられぬ運命を暗示するが、旅の折々で道連れとなる個性的な人々がエルリックの、そして読者の救いとなる。
栄枯盛衰、何れは滅び失われる世界が暗示されつつも、いや暗示されているからこそ、その中で必死の努力をする英雄の勲は一際輝くのだろう。

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