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睡魔 みんなのレビュー

  • 梁石日 (著)
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みんなのレビュー3件

みんなの評価4.0

評価内訳

  • 星 5 (2件)
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  • 星 1 (0件)
1 件中 1 件~ 1 件を表示

紙の本睡魔

2003/10/30 20:35

いやあ、迫力っていうの。在日パワーって言うか、生命のほとばしりってやつに圧倒されちゃうんだよね、そんなに頑張り過ぎなくても、って思ったりして

2人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

梁石日とか、馳周星といった見慣れない漢字三文字の作家が、やけに気になる。とくに梁石日の作品は、どれをとっても刺激的なタイトルで、荒々しい世界を予感させる。おまけに、どの小説も部厚い。ずっと気にしながら、それでも読まずにきた。しかし、我慢が出来なくなって、とうとう読み、圧倒された。

この迸るような熱気は、どこから出てくるのだろう。民族の違いもあるだろう、それゆえに置かれた環境の違いもあるだろう。なにか今まで読んできた世界が、急に色褪せる、そんな力に満ちた作品だった。スーツなど着たこともないような、ネクタイなど似合わない、ズボンにランニングこそが制服のような、汗の匂いが満ちた世界が、そこにある。

借金で大阪を逃げ出し、東京でタクシーの運転手をして何とか生活してきた趙泰三は事故で仕事を辞め、その後、人に勧められて二冊の本を出版した。しかし次の本の話がある訳ではない。その趙のところに、彼の本を見た昔の遊び仲間の李南玉から、16年ぶりに電話が掛かってきた。

借金をすることを何とも思わない二人の再会が連鎖反応のように、あるいみガサツで、生命力に満ちた生き方を切り開いて行く。在日朝鮮人の置かれた過酷な環境、それゆえに男たちが抱く夢の行き着く果ては、人が人を騙す虚々実々の世界。そこでは金だけがものを言う。

47歳の趙はともかく、42歳の李の世間を見る眼が甘い。二人は大阪で夜毎豪遊を繰り返していた仲だが、そんな李のことばに、趙は東京で成功している先輩である白大進のノミ屋の仕事を譲り受ける。それにも失敗、ホステスの送り迎えから、健康マットの無店舗販売へと手を広げていく。

そんな彼らが辿り着いたのが、ジャパン・エースという怪しい販売会社。研修という名の勧誘、下部組織を肥大させながら、収益をあげていく人々。これは犯罪小説ではない。表向き、殺人も警察沙汰も無い。お金の話でありながら暴力団も出てこない。しかし、描かれる世界は壮絶。

読みながら、故伊丹十三が映画で描いた世界を思出だした。ここで信販会社は、どのような役割を果たすのか、ネズミ講とはどこが違うのか。趙や李は、生活態度こそ、だらし無いものの、いわゆる悪人ではない、ある意味普通の人。常識人である趙が、知らずに巻き込まれていく欲望への熱気。人間の弱さ。どんどん読んでしまう。

無いものねだりだけれど、一瞬でもいいから、動きが止まり青空が見えるようなところがあっても良かったのではないだろうか。あらぶるシーンばかり読まされると、疲れるだけでなく、そればかりが在日じゃあないだろう、そんなことばかりやってるから差別されるんだ、と心にもないことを言いたくなる。たまには、爽やかな小説を書いてみたらどうだろうね、梁さん。

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