栄光一途 みんなのレビュー
- 雫井脩介 (著)
- 予約購入について
-
- 「予約購入する」をクリックすると予約が完了します。
- ご予約いただいた商品は発売日にダウンロード可能となります。
- ご購入金額は、発売日にお客様のクレジットカードにご請求されます。
- 商品の発売日は変更となる可能性がございますので、予めご了承ください。
2 件中 1 件~ 2 件を表示 |
紙の本栄光一途
2006/06/14 21:53
雫井脩介の美(微)細表現の原点!
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:由季 - この投稿者のレビュー一覧を見る
「ドーピング」に光を当てた、雫井脩介のデビュー作を読みました。
ストーリーは、オリンピック柔道の候補選手の大学生2名のドーピング疑惑を、秘密に調査していくというもの。
ドーピングのことについてかなり細かく詳しく書かれており、専門的で難しい表現もややありました。
現在の曖昧なドーピング基準問題を浮き彫りにしながら小説としての面白さもしっかり取り入れている作品だと思います。
スポーツ科学などを学んでる人におすすめの一冊!
紙の本栄光一途
2002/09/26 20:42
女剣士の「チェスト!」には娘と一緒に拍手してしまった
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
あまり柔道のことは知らないけれど、オリンピックの時はあれほど判定で国中が沸いたのに、最近は柔ちゃんのロマンス以外に大したニュースがないというのも寂しい気がする。そうした不満を吹き飛ばしてくれるような本がこれ。第四回新潮社ミステリ倶楽部賞受賞作。TVで柔道の放送があるときに読めば、面白さは倍増間違いなし。ともかく女性の活躍が嬉しい。
オリンピックの柔道選手の選考で揺れる協会に、薬物を使う選手がいるという告発状が届く。もと世界選手権の王者で現在メンタルトレーナー望月篠子は、その探索を命じられるという話だけれど、作品の選考経過があとがきに纏められていて、これを読むだけでも価値がある。乃南アサ、桐野夏生という二人の女王の鋭い指摘もだが、馳星周の鉈で叩き切るような破壊的な意見、奥泉光の評価のどれをとっても納得でき、選者のレベルの高さが光る。
彼らが共通して指摘するのが主人公、望月の人物設定の甘さと後半の展開の平凡さだけれど、それを、補って余りあるものが脇役の佐々木深紅とその助手の堀内絵津子の造形だろう。特に絵津子のあっけらかんとした現代っ子ぶりは痛快の一語、後を引かない小気味よさが心地よい。しかし、特筆すべきは薩摩示現流の剣士でもある深紅。男勝りの性格もだけど、助手とは思えないスカッとした性格と「ちぇすと!」と叫びながら剣を振るう姿は、女でも心が惹かれる。
柔道界を覆う権威主義、栄光に包まれた世界の闇や派閥抗争、ドーピングとスポーツの問題もしっかり描かれている。女性が活躍する小説でありながら、望月の海外留学中のアバンチュール以外にロマンスが殆ど無いというのも、これだけの厚さの本にしては珍しい。だからというわけでもないだろうが、魅力のある男が一人もいないというのも面白い。確かにありふれた話だけれど、ここまで読後の印象がいいのは、深紅と絵津子の二人の活躍と、女性への暴力が描かれていないことにあると思う。一気に読める快作。
2 件中 1 件~ 2 件を表示 |