こんなに違う通勤電車 みんなのレビュー
- 谷川一巳
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紙の本
紙の本こんなに違う通勤電車 関東、関西、全国、そして海外の通勤事情
2019/08/23 18:08
競合相手の重要性
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投稿者:melon - この投稿者のレビュー一覧を見る
首都圏の鉄道では、私鉄が地下鉄などに乗り入れて運行することが常識となっている。それを前提に路線を作っていた過去があるようだ。JR東も上野東京ラインで東海道線と高崎線・宇都宮線が山手線東側を通じて直通となった。常磐線は交流区間があり、長距離列車は交直両用電車が使われているため、高額な車両を直流しかない東海道線で長距離使うのはもったいないとの理由から、品川までの乗り入れとなっている。
私鉄と地下鉄などとの相互乗り入れに関しては、初乗りを両方で払う必要があるため、運賃が割高になる。筆者が地下鉄沿線で家探しをしたエピソードがあるが、メトロだけの移動であれば安くすむ。一方で、本書にあるように北総線は京成とメトロ浅草線の3つも初乗りが必要になり、ただでさえ高い運賃がさらに高額になるようだ。
この事業者が異なることは初乗りなどの運賃に関することだけでなく、運賃の計算上の問題もあり、メトロと都営地下鉄でわざわざ改札のために、階を移動しなければ乗換えができなかったり、りんかい線が京葉線と直通できなかったりと不便を強いるものとなっている。特にりんかい線はJR東が買い取ればかなり便利な路線となるはずだが、現状では運賃も別計算で高く、マイナー路線となってしまっているように思う。
本書が指摘するように、鉄道路線が快適であるか否かは競合路線の存在による。関東は京急を除いて、JR東にとって競合路線はなく、その輸送需要を独占できる立場にある。一方で関西はJR西と阪急・阪神、京阪が競合関係にあり、新快速でスピードを出したりするなどの充実した路線運営となっている。関東(JR東)は方向別ではなく、路線別での複々線であり、快速と各駅停車の乗換えは非常に不便である。着席機会も首都圏においては少ない。それでも利用せざるを得ないため、仕方ない。JR西は競合路線の存在で非常に便利であり、鉄道事情は快適さにかなり差がある。
JR東海も豊橋から大垣までの区間は名鉄という競合相手の存在で利便性の高いものとなっている。これが豊橋から熱海までの区間となると悲惨な状況である。列車の運行頻度や速達列車の不存在、車両のグレードなどで、相当の差をつけられている。むしろ名鉄がなかったら東海道本線はどうなっていたのだろうと思うと、恐ろしい。
海外の鉄道事情は、東アジアが日本と近似しているようだ。一方で欧米はかなり日本と異なるようである。これは都市の人口によるものだろう。東アジアは人口を多く抱える都市が多いため、日本と類似の状況であるのに対し、ヨーロッパは都市の人口が少ないから、ゆったりとしているのだろう。そしてアメリカはそもそも旅客輸送よりも貨物輸送が主で、文化として日本とは異なるようである。
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