片想い中の幼なじみと契約結婚してみます。

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投稿者：百書繚乱　-　この投稿者のレビュー一覧を見る

家業の酒屋を手伝う蟹江朝香は、元気でサバサバした三百六十五日宴会部長キャラの“カニちゃん”で通っている三十歳

ひそかに恋心を抱く育ちもキャラもまったく違う幼なじみの篠倉佑紀と、お互いの都合がよいからと話が進み

　　「婚姻届、出すのもアリかもと思って」
　　つまりこれって……？
　　「契約結婚？」
　　「そういうことになるのかな」

大好きな気持ちを隠して“愉快な同居人”になろうと佑紀の屋敷の離れで暮らし始めた朝香だが……

外房の海辺の町を舞台に“契約夫婦”が繰り広げるコメディタッチの恋愛小説

「佑紀くんが笑顔になってくれたら、それだけで満足だって思ってた」

「契約結婚、してみましょうか」から「したんだって？」「悪くないかも。」「うらやましい。」「そのままでいい？」ときて「おしまいにしましょう。」まで、各章タイトルどおりの展開の末に訪れるエピローグは……

著者の神戸遥真は『スピンガール！』(メディアワークス文庫)でデビュー、高校生の青春バイト小説『恋ポテ』シリーズ三部作で第45回日本児童文芸家協会賞(2021年)を受賞

最新刊の本書は文庫書き下ろしで2021年８月刊

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投稿者：S910　-　この投稿者のレビュー一覧を見る

実家の酒屋で働いていた主人公は、兄夫婦が事業に失敗して家に出戻ってくるからと追い出されることになる。
友人に突然職なし家なしになっちゃうと愚痴っていたところ、幼なじみで片思い相手のヒーローから契約結婚を持ちかけられて二つ返事で受ける話。

よくある最初から両片思いで囲い込みとも、完全に打算から共に過ごすうちに惹かれ合って、とも少し違う二人の関係にやきもきしながら楽しんだ。
ヒーローがほんっとに何を考えてるかわかんなくて！
でも主人公のカニちゃんが明るくて良い子で、不安になったり喜んだりの一喜一憂を堪能した。

この作品の面白いところは、周囲に契約結婚だと知れ渡っている辺り。
田舎で地元で、顔見知りばっかりな双方だから、知り合いにあうと「契約結婚したんだって？」と聞かれたりする。
しかもみんなカニちゃんが片思いしてたのもバレバレだったから、「よくわからないけど、良かったな」みたいな反応なのも面白い。
最後のほうまでヒーローの心情がまったくわからなくて、これ本当にヒーロー側は「契約」でしかないやつか？と不安になったけど、ちゃんとハッピーエンドで良かった！