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投稿者:hid - この投稿者のレビュー一覧を見る
うーん、若いほうが油断しすぎでしょ。
ノスタルジーにこだわって、チャンスを逃した感じ?
年齢を重ねても現役でいられるっていうのは良いことだけど。
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ひとりの女がなぜ殺し屋に
ならなければならなかったのか。
65歳の老女になるまで
どんな出会いがあり
どんなふうに生きてきたのか。
その孤独と苦悩。
小さな喜びと悲哀。そして罪と罰。
強く、逞しく
それでいて繊細な主人公から
最後まで目が離せなかった。
ただ黙って一緒にいただけの
捨て犬との触れ合いが
すぐ先の未来を暗示しているようで
せつなすぎた…
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著者が訳者にコロナ禍の後に贈った言葉、私たちは壊れません。これがズシリと響く年齢に入ったと実感する。
他人からどう思われようとも、何て言われようとも、壊れないでいること。唯一の武器を手に入れたような読後感。
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SL 2023.4.27-2023.4.30
心身ともに加齢による衰えを自覚する殺し屋の爪角。衰えというだけでなく、その感情の変化に戸惑いながらも、いつしか受け入れて人生に対峙する。
あとがきにもあったように、敢えてわかりやすくしない文章と、65歳のおばあちゃん描写に違和感があり、あまり入り込めなかった。
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"韓国文学が熱い"ということを最近ひしひし感じている。本書は、主人公が殺し屋稼業の高齢女性というだけでも興味をそそられるが、飽きさせないストーリー展開やキャラクターの背景描写の繊細さなど、一気にのめり込んでしまった。主人公の老いと世代交代の刹那や、それに反して実力を見せつけてくれる場面など、ノワール小説を超えて人間ドラマであり、同じ不安を抱える女性として共感や応援の感情が湧く。韓国ドラマ好きとしては、実写化映像と配役が勝手に頭に浮かぶ。細かい描写も多いのに、ハマれるのは邦訳の素晴らしさも手伝ってのことと感心させられた。
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60代女性の殺し屋、爪角(チョガク)。長年の殺し屋稼業を冷酷に遂行していたのに、身体も心も衰えがきた頃に人や飼い犬へのこれまでと違った感情を持ち始める。孤独に生きてきた先で気づいてしまったもの。守ろうと思ったもの。そこから生きる意味が見つかったかのようになる。犯罪小説であると同時に爪角の生い立ちや殺し屋になるに至った背景なども興味深い。韓国のミステリーや犯罪小説をいくつか読んできたけれど、その中でも読み応えのある作品だと思う。
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久しぶりの外国小説。韓国の新進気鋭の別れによるノワールもの。組織ナンバーワンの「防除(=殺人)」人だが、すでに60歳を超え、体力の衰えだけでなく物忘れも気になり出した。引退がチラつくときに、なぜか若手の防除者が主人公に牙をむく。理由がわからない主人公は混乱するが、否応なく対決を迫られる。生きることの意味、家族や想いを寄せる人との付き合い、弱いものに強くあたる(韓国の)社会状況など、老女の様々な葛藤、感情の揺れ動きがよくわかる。韓国の、裏社会や社会の闇を扱った小説は本当に面白い。
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タイトルの「破果」は韓国語では「傷んでしまった果実」と「女性の年齢の十六才」を意味すると言う。
65才の女殺し屋爪角の壮絶な人生を、現代の体力的に衰えだした中での死闘の中に、そこへ行きついた彼女の生涯を散りばめながら進む。
同じ年の自分には、彼女や周りが「おばあちゃん」として卑下するのが気になるが、壮絶な人生の中の恋心や「血迷って」世話をし出した一匹の犬との関係を通して温かさを感じる。
比喩や飾り言葉の多い文章だが、慣れると心地良い。一気に読んだが、もう一度ゆっくり味わいたくなる作品です。
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最近話題の韓国文学。
主人公は年老いた殺し屋の女性で、何者かに狙われる彼女の戦いを描いたもの。いわゆるノアール小説ということになるのだろう。
そこそこのページ数だが、テンポがよいのでするする読める。主人公の描き方も上手く、結末はどうなるのか、ドキドキはらはらした。
しかしそれ以外の部分で雑だなぁと思うところも多々あり。
読後感がよかったのが救い。
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カバー写真は藤岡亜矢「私は眠らない」におさめられているようですが、この小説のエンディングのために撮られた写真かと思うほどしっくりきました。美容師の手のようで長く仕事した人の手に共通するイメージを持ちます。不遇の幼少期に見出された才能が殺し屋。雇われ仕事であるものの個人の裁量で成果を出すため、独立独歩、大事なものは持たないと決めた孤独な生活であったはずが60歳を超えて、加齢する肉体に苦労して対応しながら、気持ちは弱い立場にある家族、リヤカーを引く生活の人、拾った犬などに執着してしまう。トゥは自分を記憶しているといってほしい以上の望みがあったのか、共感を拒む難しい存在でした。
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○ライムでよく見る韓国ノワール映画の一場面のよう。映像がクリアにイメージできます。設定は素晴らしいし主人公の雰囲気も好みなのですが、、文で読むとちょっと勢い削がれる感が。長文で整理しきれてない印象を受けました。映像ならすっきりいくところがもたついたようにも感じられました。儒教のニュアンスも影響してるかも。
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著者、役者のコメントが読後に与える影響がこれほどまでにある作品、そうそうないと感じた。
読後、いま一つの評価を抱いたのだが、訳者による表題の意、「あえて踏み切った」読みやすくてわかりにくい文章、映像で観たいと思わせるようなもって生き方を秘めた展開・・なるほどの作品だ。
世界的にも韓国の映像制作陣のレベルが高いことは知られており、めったと映画化への希望を欲しない私ですら、然りと思える。
高齢、女性、して防疫という職業。ジャンル的気もノワールという社会的存在・意味合い。
訳者が嘆く「日本人ならではの固定観念」の内在するマイナス概念は決して作品の中身を貶めることなく立派な仕上がりとなっている。
読み手の私のほうこそ、固定概念が邪魔をし、初読時のなんともいえぬイラつき、うっちゃってしまいたい「エイジズム」概念を猛省する。
別のサイトでかなりの好評を得ていることに激しく疑問を感じ、再度ぺらぺらと。
そうかぁ。。腐っていても、弱体化しても、(それはそのままで)壊れないでいることの潔さ。
ノワールは単なる殻であって、コアの部分の爪角葉例えば【ネイルで美装】して出陣するがごとくの女、生き物なんだと!そりゃ、リュウの出番は早いはずだ。
痛快なラストを手にできた。
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ノワール×おばあちゃん!?みたいな惹句見たけど、ノワールはよいとしても「おばあちゃん」の言葉は適切でない。「おばあちゃん」のわかりやすいあたたかさ、親しみやすさはない。「老女」という覚束なさ頼りなさも、「老婦人」という優雅なリタイア感もないのが、主人公爪角である。
爪角のような女性を一言で表す言葉はないし、このような女性を主人公にした小説もあまりないのではないかと思う。そこがとても良かった。
かつて有能な殺し屋であり、人情など歯牙にもかけない徹底した仕事ぶりだった爪角も、老いて能力は確実に衰え、捨て犬に情けをかけてしまうようなていたらくである。その加齢(と経験)に伴う衰えと弱さが、非常にリアルで他人事とは思えなかった。
壮絶かまってちゃんのトウ、薄給の医師カン博士、爪角の「育ての親」リュウなど、他のキャラクターも良くて、映画になりそうだなと思った。
韓国映画ならできるだろう。アメリカでリメイクしても良いかも。フランシス・マクドーマンド主演で。日本映画は無理。爪角を演じられるかっこいい女性の老人俳優がいないし、撮れる監督もいなさそう。
驚くのはこれを岩波が出してること。なんか路線変わった?表紙もちょっとグロテスクだし。
日本では桐野夏生なら、こういう作品が書けそうな気がする。書いて欲しい。
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文学的な表現が多く、随所に老いに対するメタファーが込められていて良い。特に好きなのは最後のネイルのシーン。
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人生の終焉が見えつつある高齢の女殺し屋の運命… 力の衰えと意地の間で揺れ動く心情はいかに #破果
■あらすじ
主人公、爪角(チョガク)は、女性で高齢ながらも殺し屋として生活を送っていた。徐々に老化の衰えが見えてくる彼女だったが、いつも殺し屋の信条や心得は忘れずにいた。
ある日、彼女は殺しの依頼でミスをしてしまい、重症を負ってしまう。殺し屋御用達の病院に駆け込み、馴染みの闇医者に治療を行ってもらうつもりだったが、治療をしてくれたのは若く穢れのない医者であった。
彼との出会いで、人生の終焉に近い殺し屋の運命はどうなっていくのか…
■きっと読みたくなるレビュー
人ひとりの人生、まるごとずっしり体験できる作品。いやぁ…痺れました。
殺し屋の犯罪小説よくありますが、エンタメに寄せたり、ハードボイルドに決めたり、家族の絆ものが多いです。しかし本作は殺し屋ひとりの背景から、葛藤や心の機微をつぶさに綴っていく、人を描いていく物語です。
今まではできていたことができなくなる、避けられない老い。自分とは価値観が違う殺し屋仲間との確執。何十年も守ってきた自分へのルールが揺れ動き、徐々に崩壊しつつある自分を憂いでゆく。読めば読むほどジワジワと負の情動が侵食していくんです。
とにかく本書の読みどころは、主人公の爪角の心情描写です。
どんな卑劣な職業であっても、愛らしいものや可憐なものには心がときめいてしまう。張り詰めた緊張感のある生活、自らの運命や約束。現実に戻ってきた時の悲しさたるやなんと切ないことか…
また小道具の描写も非常に文芸的でイイんですよね。
美しさと残酷さを象徴としたネイルや、熟れ過ぎた桃と自身の対比描写。我々が望む希望と現実の差が、いかに無情なものか。いつまでも春の桜のように咲いていたいものです。
個人的な好みとしては、もう少しエンタメに寄せてくれると楽しみやすかったのですが、人の描き方やメッセージ性としては一級品でしたね。心に刺さる、めっちゃ素敵な作品でした。
■きっと共感できる書評
人生いろいろな経験したり、職業についたり、人間関係を築いたり、年齢を重ねていくと、つい忘れてしまうことがある。理由は経済的な問題だったり、憎しみや辛さだったりする。
しかし自分が大切だと思っていることは、やはり守っていくべきだと思う。
いや、守っていくべきだと思っていること自体に価値があって、それが自分自身を強くしてくれる。決して老いは弱っていくことではなく、人格をさらに磨いていくことだと信じたいです。