電子書籍
本当に
2019/05/03 16:52
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投稿者:おどおどさん - この投稿者のレビュー一覧を見る
エッセイ風小説となって、98才まで生きてほしかったです。
私自身は、その時代まで生きて、橋本治さんが想像した未来になっているか確かめたいです!
紙の本
橋本治にしか書けない未来本
2019/09/22 16:30
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投稿者:ひさ - この投稿者のレビュー一覧を見る
橋本治は本当にすごい。女子高生になったかと思えば、98歳の自分にもなれる。30年後の未来を予測しながら、そこに30年後の自分の身を置くという芸当をやすやすとやってのける。本当に天才作家だったのだと思う。
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投稿者:6EQUJ5 - この投稿者のレビュー一覧を見る
今から約三十年後、2046年を舞台とした“近未来小説”。主人公は元小説家で九十八歳の「私」。ユーモラスな語り口ではありますが、あいにく私は馴染めませんでした。
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老いをテーマにした芥川賞受賞作「おらおらでひとりいぐも」(若竹千佐子著)も良かったですが、こっちも面白い。
そりゃ、橋本治だもんね。
面白くならないわけがない。
69歳の著者の30年後を描く近未来空想科学私小説。
いや、もうね。
身体の自由が利かないんですわ。
寝たら起きるのが痛くて辛いし、歩けば足元が危なっかしくてこけるし、団子やまんじゅうだって注意しないと喉を詰まらせて死んでしまう。
「生きてるだけで疲れる年頃なんだ」は蓋し名言かと。
ゆとり世代は既に50代、国会は相も変わらず馬鹿な理由で解散を繰り返し、地方から人口を寄せ集めた東京は超高齢化、大きな地震がその東京を襲い、避難所に暮らす著者は「アンパンが食えるだけまし」と達観しています。
現在、「絶滅危惧業種」とされている出版業界では「危惧」が取れちゃったというんですから、穏やかじゃりません。
面白かったのは、科学の力でプテラノドンが蘇っていることね。
著者は「何でそんなことしなきゃならないのか」と憤っていますが、科学万能主義に対する痛烈な批判でしょうな。
「バカな頭で神を創ろうとしたって、出来上がった神は作ったやつの性格を反映して、バカで性格が悪いんだよ。」
素直に耳を傾けたい言葉です。
本書は「九十八歳になる私」から「あとがき」まで15章で構成されていますが、「白紙の巻」も振るっています。
何たって2ページまるごと白紙なんだから。
やるなー、橋本治さん。
老いを不必要に前向きに受け止めるのではなく、かと言っていたずらに悲観するのではなく、アイロニーを交えながら笑い飛ばす。
好きだなー、この構え。
高齢化が今後、ますます進むニッポン。
30年後の明るいディストピアへようこそって感じで。
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===qte===
あとがきのあと「九十八歳になった私」 橋本治氏 退屈な未来をユーモラスに
2018/2/24付日本経済新聞 朝刊
30年後の未来をテーマに小説を書いてほしい。もうすぐ68歳になるというとき、文芸誌のこんな依頼を受けて書いたのが連作短編集である本書の1話目「九十八歳になる私」だ。
「今も年寄りなのに、30年後はもっと年寄りになっているのかと思ったら憂鬱になった」と振り返る。年を取ると当たり前のことが当たり前にできなくなる。変化を受け入れ、ショックを和らげるための「免疫」を付けるにはどうすればいいか。「スーパー高齢者になった自分を予行演習するつもりで書いた」
もうすぐ98歳になる「元物書き」の主人公は年を取るのが面倒で仕方がない。「『今日もまた生きている』とだけ書いてある日めくりカレンダーを、毎日めくっているようなものだ」とぼやく。今日が何日かも分からず、10年前も20年前も「この間」としか感じない。
退屈な日常を持て余し、脈絡のないことを次々と考える。考えることに疲れると眠ってしまう。目覚めると、しばらくは何も分からない。そのうちやっと「自分は今日もまた生きている」と気づく。そして「覚えてはいないが、きっと昨日も同じようなもんだったんだろう」と独りごちる。
身も蓋もない老後のありようが編集者に好評で、読み切りのつもりが連載になった。描かれる未来ではボランティアの「若いバーさん」が98歳の主人公の面倒をみている。大震災を経験した東京は若者が少なく、復興は進んでいない。超高層ビルの周りに段ボールハウスやバラック小屋が建つ「二極化」社会だ。
現実味のあるディストピアに暗い気持ちになりそうなものだが、つい噴き出してしまうのは、主人公のぼやきが軽妙でユーモラスだからだろう。「未来のことを考えたら暗くなるのは当たり前。笑いに昇華させないと」と話す。ユーモアの中に「毎日が退屈で面倒でしんどい」という高齢者の悲哀を感じさせる「老人文学」に仕上がった。(講談社・1600円)
(はしもと・おさむ)1948年東京生まれ。作家。『「三島由紀夫」とはなにものだったのか』(小林秀雄賞)、『双調 平家物語』(毎日出版文化賞)など著書多数。
===unqte===
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どうでもいいくだらない老人の話がくどくどと続くのだが、我が家の90歳の母の行動を解読するうえでは、貴重な参考書。一ページ目の
目が覚めて、しばらくはなにも分からない。なにかに気がついて「なにに気がついたんだ?」と思って、やっと「自分は今日もまた生きている」ということに、気づいたんだということに気づく。もう覚えてはいないが、きっと昨日も同じようなもんだったんだろう。
という文章が母の行動のすべてを語っている。
ああ、もう眠くなったから寝よう!
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橋本先生が98歳になったと仮定して書かれたフィクションエッセイ。リアルでありそうで、うっかりすると知らない間に橋本先生が98歳になってエッセイを書いているのかと錯覚してしまいます。面白かったです。橋本先生には長生きしてほしいです。
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橋本治 著「九十八歳になった私」、2018.1発行です。1948年生まれの著者が九十八歳になったときの様子を描いた作品です。2046年になってるんでしょうかw。いろんな思いが書かれてて、そうかもなと感じます。①生きてて意味があるとも思えない ②生きてる実感がどんなものだったのか、もうよくわからない ③思い出すだけでも手間がかかる ④寝るのが老人の最大の仕事 ⑤指、動いててすぐ固まる ⑥人は希望がないと生きていけない ⑦自分をほめないと生きていけない。それで年寄りはどんどん自省心を失って図々しくなっていく。
橋本治(1948.3.25~2019.1.29)著「九十八歳になった私」、2018.1発行、再読。もうすぐ68歳になるとき、30年後の自分を想定して書いた小説。この作品が発刊された1年後、肺炎で70歳でお亡くなりになりました。尾崎紅葉の「金色夜叉」を種本にした読売新聞小説「黄金夜界」(2017.9.30~2018.6.30)が遺作になりました。
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橋本治氏の作品には夢中になって読んだシリーズがある
それは『桃尻娘』シリーズ
『桃尻娘』
『その後の仁義なき桃尻娘』
『帰って来た桃尻娘』
『無花果少年と瓜売小僧』
『無花果少年と桃尻娘』
『雨の温州蜜柑姫』
って、シリーズものはそれだけ?
調べたらこの続きらしい
『桃尻娘プロポーズ大作戦』というのがある
わたしはもう中年になっていたけれども、おもしろかったなあ~
息子や娘がちょうど同じ年ごろで、子供たちの気持ちがわかっていたつもりになった
さて、橋本さんおっしゃるところの「近未来科学私小説」
私小説だからといって橋本さんの等身大ではない、空想
そりゃそうだ、1948年生まれで、これを書いたのは2016年、68歳
わたしだって「どんなふうになるんだろう」って興味におもう
60代でおもう98歳と70代でおもう98歳は違うだろうけど
読みながらクスクス笑ってしまった
老人はよく独り言を言うようになる
地の文よりかっこの中のモノローグの方が多いのがそれを表している
(なんだ、ちくしょうめ!足が動かねえじゃないか)なんてね
気持ちはちっとも変っていないのに体がいうことを聞かない
これから30年後はどうしてもデストピアになるという
東京直下地震で家が壊れ、命は助かったけれども
仮設住宅が栃木県の日光の杉並に近いところに避難している設定
作家だから心境を書けという注文が来る
それでダラダラ、モノローグを綴り、間に文章が・・・
橋本さんは実際、難病を患っていらっしゃるらしい
でも、人間が年取るって難病みたいなものね
それがうまく絡み合って、シニカルな、コミカルな、ユックリな
まず、まず、面白かったですよ
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「三十年後の私」は、東京直下型大震災のあと仮設住宅「2DKに四人は嫌だ、どんなボロ家でも独居で」「そういうのは栃木県の日光の杉並木のほうにしかありませんよ」「それでいい…」杉の木にプテラノドン(空から人をさらって食う)が巣を作っていた…/延々と面々と本質的には“現在の延長線上の世界”を、“意識の流れ”手法で描く。/月刊誌連載になったため「君野くん」が度々訪問するイベントがあったりする╱『長生きは健康に悪い』ロボット化して115歳まで元気に見える地方権力者もいるようだが機械のことで突然死。ガン死とどちら良い?
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まわりから見て年寄りでも、本人はきっとこんなふうにチカラ強い思考を生きているのだろう。98歳の橋本さんに会いたかった。
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★想像老人小説の技★桃尻娘の次に読んだのがこれなので差がありすぎるが、うまいなあ。30年後、98歳になったときをイメージしたエッセイ風小説。思うように動かない身体、混濁する記憶、食べ物への妙な執着、誰かに格好をつける文章、面倒くさがりながらも生きていることを拒むわけではない、そんな飄々とした表現にうなる。過去の出来事は覚えていて、それが団子のように串刺しになっているだけで他人の時系列とはつながらない。30歳下でも70歳というのはシュールだなあ。
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「生きて老残の姿を晒すの。それに堪えて生きるの。滑って転んで骨折って、ヨタヨタレロレロになって生きるの。そういう自分に堪えるの。それが人生なの」p183
橋本治さんが実年齢より30歳かさ増しして、98才になったつもりで書いた近未来空想科学私小説!
コロナ禍の日本そのままのようで、笑い事じゃないのに何度も笑ってしまった。
今年はまた「任期満了」で「衆議院選挙」です。
ロボット君に取材してもらいたかった。ご冥福をお祈りします。
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著者が69歳の2017年に出版された、30年後の自身を主人公に描いた短編集。最初の「九十八歳になる私」ではあまり面白味が感じられず読み進めるのがシンドかったが、次の「九十八歳になった私 」からは"オサム節"全開で、大笑いしながらあっという間に読み終わってしまった。『歳をとると、頭の命令に身体の動きが伴わない』という話は、身につまされた。
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69歳の著者の三十年後の近未来小説、98歳になった私。
いや、なかなかお年寄りのことを分かっておられると感動しました。
難病を患われ、お体の不自由があったでしょうか。ものすごくリアル。
ヘルパーさんに連れられて病院にいく件は、納得。
人は経験でしか考えられない。年取らないと高齢者のことはわからない。本当にそうだと思います。
介護サービスができて、どこかに通ったり泊まり、知らない人が家に来る。支援者の親切心は当人に
とっては迷惑とまではいかなくても本人の気持ちには反していることが多いだろう。可能なら他者に自分の考えを分かるように、緩い感じて正確に伝えられる人になれってたらいいなと思います。