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- カテゴリ:一般
- 発売日:2018/12/05
- 出版社: 集英社
- サイズ:20cm/329p
- 利用対象:一般
- ISBN:978-4-08-771170-7
紙の本
芙蓉の干城
著者 松井 今朝子 (著)
日中戦争の足音迫る、昭和8年東京。歌舞伎の殿堂に現われた右翼結社の大幹部と芸妓が惨殺。江戸歌舞伎作者の末裔で、切れ者の大学講師・桜木治郎が、怪事件の謎に挑む! 『小説すば...
芙蓉の干城
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商品説明
日中戦争の足音迫る、昭和8年東京。歌舞伎の殿堂に現われた右翼結社の大幹部と芸妓が惨殺。江戸歌舞伎作者の末裔で、切れ者の大学講師・桜木治郎が、怪事件の謎に挑む! 『小説すばる』連載を加筆・修正し単行本化。【「TRC MARC」の商品解説】
昭和八年、東京。
江戸歌舞伎の大作者、三代目桜木治助の孫でありながら現在は早稲田大学に奉職する桜木治郎は、その知識と確かな審美眼で歌舞伎役者や裏方から厚い信頼を集めていた。
四月。築地小劇場で女優となった親戚の娘・澪子の行く末を案じる実家からの懇願により、木挽座で陸軍軍人・磯田との見合いの席が設けられる。舞台では歌舞伎界の「女帝」荻野沢之丞が見事に舞う中、澪子は真向いの席の男女に、ある違和感を抱いた。
翌日、木挽座そばで男女の惨殺死体が発見される。遺体は右翼結社「征西会」大幹部・小宮山正憲と芸妓の照世美だった。二人が最後に目撃された木挽座を捜索するため、治郎は警察から協力を要請され、事件に巻き込まれていく。
澪子もまた、自身が目撃した二人の奇妙な様子を治郎と磯田に打ち明け、それぞれの立場から事件の真相に迫っていくことに――。
戦争へと歴史の歯車が大きく動いた昭和八年を鮮烈に描き出す、圧巻の歌舞伎ミステリー!
【本の内容】
著者紹介
松井 今朝子
- 略歴
- 松井今朝子 まつい・けさこ
1953年京都市生まれ。早稲田大学大学院文学研究科演劇学修士課程修了。
歌舞伎の企画制作に携わった後、故・武智鉄二氏に師事し、歌舞伎の脚色・演出を手掛ける。
1997年『東洲しゃらくさし』で小説デビュー。同年『仲蔵狂乱』で時代小説大賞、2007年『吉原手引き草』で直木賞を受賞。
『師父の遺言』『縁は異なもの 麹町常楽庵 月並の記』『料理通異聞』など著書多数。
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紙の本
一ページ一ページを丁寧に読み進めたくなる作品。
2019/01/04 11:45
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:紗螺 - この投稿者のレビュー一覧を見る
非常に読み応えがあり、満足度が高い。本筋の、木挽座の事件と歌舞伎についての部分はもちろん、サイドストーリーの部分まで、ぎっしりとよさがつまっている。
演劇の先生、桜木治郎は否応なしに事件に巻き込まれていくが、彼がやがて事件の核心にたどりつくまで、これが何より読んでいておもしろいのはいうまでもない。ただ、そこにとどまらないのがこの作品のすごいところ。
治郎と警察、役者、裏方たちの話だけでも充分読み応えのある、おもしろい一冊の作品にまとまると思う。けれど、作者はそこに治郎の姪・澪子という要素を更にを加えてくる。
小劇場の女優の澪子が見合いで職業軍人と知り合うことは、事件の背景を解くきっかけにもなるが、同時に時代背景を濃厚に生み出すことに大きな役割を果たしている。
今や戦争へと突っ走ろうとしている昭和の日本の空気。それをしっかりと感じさせつつ、歌舞伎のおもしろさ、俳優の個性、事件の謎の行方など、読みどころぎっしりのメリハリきいたストーリーは揺るがせない。大変に手の込んだ作品だと感じ入った。