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投稿者:hid - この投稿者のレビュー一覧を見る
もちろん、いろんな描写だったり山場だったりはあるんだけど、
ずっと同じ調子なんだよね。
撃たれても切られても刺されても大したことないみたいで、普通に動いてるし。
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1947年。英国軍人のイアンは、戦場で不当に斬首された兄の仇を討つため来日する。駐日英国連絡公館の協力を得つつ少ない手掛かりを追うが、英経済界の重鎮である父親ゆずりの人種差別主義者でプライドの高いイアンは、各所と軋轢を生む。GHQ、日本人ヤクザ、戦犯将校……さまざまな思惑が入り乱れ、多くの障害が立ちふさがる中、次第に協力者も現れるが日本人もアメリカ人も信用できない。イアンの復讐は果たされるのか?
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戦中、戦後の日本の歴史や
天皇に関する考察が深く
鋭くて興味深かった。
戦闘シーンもスピード感と
緊張感があって面白かった。
ひとつ気になったのは
美しい国、日本という空気が
全体に漂いすぎていたこと。
東洋人を黄色い猿と罵るような
主人公の英国陸軍中尉は
「日本人の敵意なき笑顔と
従順さに包み込まれる」ことなく
最後まで
冷酷無情のままであった方が
そのカッコ良さが
際立ったような気がするけど
どうだろう?
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戦時中に兄を斬首した男たちに復讐するため来日した軍人のイアン。彼が復讐する場面での格闘や銃撃の描写は流石!長浦京だけあり真に迫った迫力があった。
それにしてもイアンの切傷や銃槍に対する感覚の鈍さに驚く。方々重傷で傷つきながら素手で自分より巨大な男と格闘する様はどうかしている。
17歳ながら賢い敵の娘、占領軍の中で対立する民生局と参謀第二部、複数のヤクザ、怪しい運転手、そして敵であり味方でもあるような都度に立場を変えてゆく悪人たち。混沌とした状況下で物語も混沌としてしまい、すっきりした展開ではなかった。
まぁそれなりに面白いけど…。
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長浦作品らしいダイナミックかつ如何にも観てきたような繊細な描写に夢中で拝読。戦後すぐの混乱期で東西冷戦が隠しようもない状況、米占領軍内の覇権争いというカオスな状況の史実にピッタリなストーリで、面白さもひとしお。。極度の人種差別主義者の主人公に感情移入は難しいが、英国気質・英軍将校気質がよくわかってこれはこれであり。
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第二次大戦のビルマ戦線で捕虜となった兄を日本軍に斬首された英国軍人が、犯人たちを殺害し証拠として片耳と薬指を持ち帰れとの父親の指令を受けて来日する。
作者は、白黒の記録映像にあるような「ギブミーチョコレート」と言って進駐軍に群がる子供など見たことがないという祖母の言葉に触発されて、戦後間もなくの日本の実態を描こうとしたという。
GHQ内の民政局と参謀第二局の勢力争いに在日朝鮮人ヤクザなどが加わり、敵味方が入り乱れ、手を組んだり、切ったりと状況は複雑化の一途を辿る。
ある種の均衡をきわどく保っていたところを異分子である英国軍人が無遠慮にかき回したため、事態が一気に流動的になったという仕立てになっている。
人間とも思っていなかったアジア人女性との交情を最後に示唆するなど、戦後間もなくの東京の混沌を描いた活劇としては面白いが、合従連衡の必然性も今ひとつよくわからず、作者の意図がどれほど実現できたかは疑問だ。
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日本人を猿呼ばわりする差別主義者が主人公の小説なんて前代未聞ではないだろうか。そういう点ではかなり変わった小説。
終戦直後、占領下の東京は荒廃と混沌が渦巻いていて、小説の舞台としてなかなか魅力的だし、アクションシーンの臨場感とスピード感ある描写は秀逸なのだが、とにかく説明セリフが多くて読んでいて辟易としてくる。
主人公と数名の女性を除くと、登場する英国人も米国人も、日本人の元軍人もヤクザ者も、キャラが立っていなくて印象が被ってしまう。それでいて、説明的で理屈っぽい似たようなダイアログが繰り返されるので、誰がどんな思惑をもっているのか、その関係性が非常にわかりにくい。
読み終わった際には、ああやっと終わってくれたか、と思ってしまった。
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世の中をひっくり返すような証文の行方を巡り、縄張りで鞘当てを繰り返す非合法集団。複雑な争いの中で狡猾に生きて行く犯罪者と、不正義に殺害された兄の仇を取るべく自らその渦中に飛び込む孤高の男性と、ひっそりと慕う美女。
江戸時代劇かと思うが、戦後日本の混乱の中、GHQ、英国軍人、朝鮮ヤクザ、服役軍人などが色なす活劇だった。
展開は面白く読めたが、読み終わって、結局なんだっけ、というのが感想。
もちろんフィクションだが、各々の立場生き方がさもありなんという感じはよかった。
だが、色々詰め込みすぎな気もする。当時のバーチャル風俗、社会を描くのが目的だったのかな。
みんなの主張がアレすぎて、結局なんだっけ。
ラストシーンも要らないなあ。
後文章的には、会話文で誰が喋ってんのか分からなくなることがしばしばあった。
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大作。1947年。終戦後。
主人公は英国人。自分の家族を太平洋戦争で日本人に殺された復讐をしに来日。GHQやらヤクザや、様々な組織と関わり合いながら日本人を殺して耳と薬指を奪う。
冒頭からその主人公イアンに感情移入は出来ず、日本人を殺し彼に反発すべきだが、途中から日本人を殺す彼に気持ちが向かっていく。不思議だ。
しかしよく調べられている。GHQが支配している日本の建物や道路にはアメリカ流の名前が付いている。日本の建物も接収され、それらが目に浮かぶようだ。
ご苦労様と言いたい。
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鬼★5 戦争直後の日本、悪の巣窟と歪んだ駆け引きを臨場感たっぷりに記した歴史犯罪小説 #1947
■あらすじ
1947年、敗戦後連合軍に統治されている日本が舞台。イギリス陸軍中尉であるイアンは、とある目的で日本を訪れていた。戦時中、捕虜になってしまったイアンの兄は、日本軍の私刑によって殺害されていたのだった。
父からの命令と兄の名誉のために、殺害した日本人に復讐を目論む。しかし復讐の対象者は雲隠れしており、さらにGHQや英国の思惑に振り回されることになり…
■きっと読みたくなるレビュー
まさに長浦京先生の真骨頂。戦後の日本を舞台に、悪の巣窟ぶりを臨場感たっぷりに描いた歴史犯罪小説です。こういう作品こそ文学賞をとって欲しいし、多くの人に読んでもらいたい。
近代史の影なんざ、大抵の人はほとんど知らないし、興味もないでしょう。もう帝銀事件とか、忘れ去られている気がしますね。しかし本作は決して昔のことではなく、現代の世相や政治、天皇制、国際社会などの問題にもつながってくる内容です。もちろんフィクションではありますが、もはや歴史書の様相を呈している本作。日本人として読んでおきたい一冊です。
〇歪んだ縁と乱れた絆
一番の読みどころは命を賭けた駆け引き。誰が味方で誰が敵なのか… 物語が進行するごとに、目まぐるしく変化する。米軍GHQ民政局と参謀部、英国連絡公館、日本警察、ヤクザ、在日朝鮮人など、様々なステークホルダーが主人公に複雑に絡み合う。最初から最後まで、常に緊張感のあるシーンが続くので、マジで目が離せません。
そんな混沌とした人間関係の中で、登場人物たちの心情や価値観が少しずつ変化してくる。特に主人公のイアンの心情をあえて派手には書かないところが素晴らしく、静かに揺れ動く胸のうちがしっかりと伝わってきます。しかし現代においても、彼のように価値観が崩壊してしまうような国々がまだあると思うと、悲しくなりますね。
〇混沌とした世界にはびこる悪事
読めば読むほど、政治っていうのは誰の為のものなのか、さっぱりわからなくなってくる。どこの国でも、いつの時代でも、隙があったら狡猾で悪党な連中が蔓延するのは世の常。少なくとも奪い取られないように知識と経験を培っていかねばなりませんね。
〇世間には隠蔽された事実
本作で語られる、ある書面と条約。全然ありそうな話で怖いよ。力のある者たちは決して本当のこと言わないんです。今も昔も変わらない、そして未来も変わらないでしょう。
〇人種差別
人種差別の問題は様々な物語やノンフィクションで語られてきているし、自分もいくらかは読んできました。本作の終盤で主人公とある人物が、人種差別について語り合うシーンがあるのですが、そこには差別意識の真実と、結論が書かれているような気がしましたね。
特定のグループや枠組みを排除する意識は、無くなるなんてことは絶対にない。その事実に対し、どう自分の中で決着をつけるのが良いのでしょうか。考えされられましたね。
〇壮絶アクション
力強く、骨太に書かれています。長浦先生は必要以上に派手なテクニックを��まり使わないところが好感が持てますね。しかしながら手に汗を握ってしまうほど、緊張感がリアルに伝わってくる。
おすすめはやっぱり最終盤の戦闘ですが、個人的にイチ推しは、終盤に松川が登場するシーン。これは超クールですよ。映像化されたら、松川が一番輝く場面になると思います。
もはや語り切れないくらい、素晴らしい作品でした。長浦先生は『プリンシパル』で、戦後日本のヤクザ社会を描いてましたが、こちらも滅茶苦茶面白かったです。アクション、エンタメ要素が強いのは『プリンシパル』で、裏切りや謀略などの駆け引き要素が強いのは『1947』ですね。今年のミステリーを代表する一冊になると思いました。
■ぜっさん推しポイント
本作の唯一の若き女性、まゆ子の存在は読者に希望を感じさせてくれます。ひとりでは英語以外なにもできなかった彼女が、国を左右する出来事に巻き込まれながらも、少しずつ自ら意思表示し、力強い行動をしていくようになるのです。
17歳ですよ?私なんか17歳の頃、部活さぼって友人宅でマリオカートやってましたよ。何も学んでなかったよなぁーと、反省しきりです。
どんなに世紀末な世の中でも、権力や財力のない市井の民であっても、男性でも女性でも、何歳であっても、勇気と経験を重ねることによって成長できるということを学ばせていただきました。
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長い話になるが、読み続けたくなる。巻末の参考文献をみて納得した。作者の時代考証力の凄さを見た思い。特にリボルバー・リリーで見せた昭和史の再現力が、今回の作品でも遺憾なく発揮されている。この時代を物語を語らせるのであれば、おそらく長浦京を以て他にない。時代の本質をリアルな物語として完成させたまさに一品である。
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長浦京さんのプリンシパルが面白かったので、読んでみた。戦後の日本に関し違ったテーマであるが悪の描写と、アクションの描写が素晴らしくあっという間に読んでしまった。イギリス兵からの視点からというところも面白い。個人的に竹脇は藤岡弘のイメージで読んでいた。裏切り裏切られ、、、で最後までハラハラさせられた。恋愛的な描写は全然なかったが、あの素敵な終わり方も良かった。
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長い、長過ぎる。
冒険活劇なのに何故か読む手が止まる。
うーん、ここまで引っ張る必要があるのか?
長浦京はそういう傾向があるのは認識しているんだけど読み終えてのカタルシスは無いんだよなあ。
長い物語を読み終えてグッタリな感じ。
以下あらすじはAmazonより
1947年。英国軍人のイアンは、戦場で不当に斬首された兄の仇を討つため来日する。駐日英国連絡公館の協力を得つつ少ない手掛かりを追うが、英経済界の重鎮である父親ゆずりの人種差別主義者でプライドの高いイアンは、各所と軋轢を生む。GHQ、日本人ヤクザ、戦犯将校……さまざまな思惑が入り乱れ、多くの障害が立ちふさがる中、次第に協力者も現れるが日本人もアメリカ人も信用できない。イアンの復讐は果たされるのか?
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終戦後の1947年、東京。
英国陸軍中尉のイアンは、戦時中日本兵に斬首された兄の仇討ちのために来日する。
内部対立するGHQ、旧日本兵、在日朝鮮人、ヤクザらが自らの利を求めて暗躍する中、イアンは果たして仇を討てるのか…
終戦後の混乱期を英国人の視点で描くという設定は斬新。GHQ内の派閥争いを含む米国側の思想や、次の戦争に向かおうとする当時の世界観がリアリティを持って描かれる。本書で描かれているような“密約”は本当にあったのか?その後の歴史を知る私たち令和の読者が、「もしかしたらあったかもしれない」と思いを馳せる時代考証的面白さがある。
某英国人が当時の日本を形容した言葉が印象的。
《この国には、ある種の異様な空気が漂っているんです。敵意なき笑顔と従順さで包み込み、すべてのものを変質させてしまう空気が》
一方で、日本人を“野蛮な猿”と見做す徹底した人種差別主義者の主人公イアンに、最後まで感情移入出来なかった。また、全体的にアクションシーンが多く(しかもイアン無敵過ぎ)、敵と味方が入り乱れつつ主要な敵役の行方を追うプロットがやや複雑で冗長に感じた。
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敗戦から2年。未だアメリカの占領下にある1947年の日本。混沌とした東京に、通訳である中国人女性メイを連れて降り立つ英国陸軍中尉イアン・アンダーソン。彼は戦時中、捕虜となった兄を断首した日本兵たちの行方を探していた。どんな手段を使ってでも彼らを見つけ出して処刑し、その耳と指を英国で待つ父親のもとへと持ち帰るために。
英国経済界の重鎮である父親の権力を振るい、性急な行動をおこし、東洋人への差別を隠そうとしないイアンは行く先々で軋轢を生む。GHQ、日本警察、ヤクザ。さまざまな思惑渦巻くなか、妨害を受け、時に共闘し、入り乱れて殺し合う。誰もが誰かを裏切り、生き残った者だけが真実に辿り着く。例えそれが望んだものでなくとも。
見知らぬ国の見知らぬ土地である東京。孤独な復讐劇に身を投じるイアンを飲み込む極東の大都市。そこは空襲で破壊されつくした後からの、復興途中の混沌が渦巻く。誰もが生きていくことに必死で、そして残されたものを守るために奔走していた。信念はいつも誰かを傷つけ、他人を巻き込み、信じた人さえ裏切って裏切られて、それでも死ぬ瞬間までは戦い続けるしかない。
イアンと、彼が出会った東京の人々の命を懸けた目的は果たされるか否か。600ページを超える長編だが、手に汗握って一気読み間違いなしのトウキョウ・アンダーグラウンド。
東京は人びとの人生を飲み込むには、狭すぎるのかもしれない。