哲学古典授業　ミル『自由論』の歩き方

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ミルの『自由論』は読んだことないけど、タイトルに惹かれて買った本。『自由論』について、とても丁寧に解説・考察がされている。
語り口も平易で何の前知識なくても楽しく読めた。
実際に抗議を聞いた学生の感想が紹介されていたのが面白く、自分でもあれこれ考える手がかりになった。
これをきっかけに、底本として使われた『自由論』の方も読むつもり。

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たいへん読みやすくすぐれた『自由論』読解・解説で、学生の意見として批判的な見解も披露しているのもよい。でも夫婦別姓のところはよろしくないと思う。

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P52
三、政治的な専制と世論の専制
社会は、社会自身が下した命令を自ら執行できるし、実際執行している。そこで、もしもそれが正しい命令でなく、間違っていたり、あるいは社会が干渉すべきでない物事についての命令であったりすれば、社会による抑圧は大抵の政治的な圧迫よりもはるかに恐ろしいものになる。というのも、通常、それは政治的な圧迫のように極端な刑罰をちらつかせたりしないが、日常生活の細部により深く浸透し、人間の魂そのものを奴隷化して、そこから逃れる手立てをほとんどなくしてしまうからである。

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【目次】
まえがき

第１講：Ｊ・Ｓ・ミルの生涯
一、1859年に出た重要な本
二、ミルの生涯
三、ミルが受けた英才教育
四、20歳の頃の「精神の危機」
五、情操教育の重要性
六、『自由論』の序文
七、ミルと妻ハリエット
コラム①　ミルの墓

第２講：多数者の専制と個人の自由　『自由論』第１章
一、『自由論』のテーマ
二、多数者の専制
三、政治的な専制と世論の専制
四、他者危害原則
五、個人の自由が大事な理由
六、個人の自由の三分類
七、学生の意見
コラム②　『自由論』に対するミル自身の評価と、共著者問題

第３講：言論の自由　『自由論』第２章
一、言論の自由と「多数者の専制」
二、抑圧されようとしている意見が真である場合
三、抑圧されようとしている意見が偽である場合
四、ソクラテスの問答法の有用性
五、半真理の場合
六、現代の問題と学生の意見
コラム③　ミルの人柄について

第４講：天才・変人・そして自由　『自由論』第３章
一、ここまでの復習
二、「生き方の実験」をする自由
三、個性と「普通」
四、「普通」の生き方の問題点
五、多数者による個性の抑圧
六、個性の社会的有用性
七、天才を育てる土壌
八、変人の重要性
九、個性に不寛容な社会
十、ヨーロッパの「中国化」と多様性の喪失
十一、フンボルト ── 自由と多様性
十二、「普通規範」の批判
十三、学生の意見
コラム④　女性の自由

第５講：自由はどこまで許されるか　『自由論』第４章・第５章
一、自由主義の諸原則
二、パターナリズムと選択的夫婦別姓
三、他人へのお節介はどこまで許されるか
四、自堕落な生き方は不道徳か
五、モラリティとプルーデンス
六、自殺は個人の自由か
七、ミルの立場に対する批判の検討
八、大学の文化祭でアルコール飲料の販売を認めてもよいか
九、イスラム教と豚の例
十、飲酒規制の例
十一、一夫多妻制は許されるか
十二、『自由論』第５章の簡単な要約
十三、学生の意見

あとがき
https://www.kobunsha.com/shelf/book/isbn/9784334105082

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古典文学や哲学へのアプローチ
- 古典の価値: 古典と呼ばれる文献や哲学の重要性は広く認識されているが、実際に手に取る人は少ない。
- 古典を手に取らない理由:
- 文体の古さ: 現代の視点で見ると、古典の文体が難解であることが障壁となっている。
- 時間の制約: 忙しい現代社会では、古典に時間をかけることに対する優先順位が低くなる。
- 理解の難しさ: 古典の内容が難解で、背景や思想との関係が把握しきれず、読後に何も残らない経験が多い。

海外旅行との類似性
- 旅行の躊躇: 異文化との接触に対するためらいや、旅行の価値に関する疑問が、旅行をためらわせる要因となる。
- ガイドブックの重要性: 旅行前にガイドブックを読むことで、訪問先の知識が得られ、より良い体験ができる。

ジョン・スチュアート・ミルの生涯
- 教育背景: ミルは父による教育のみで学び、他の著名な思想家と同様に、大学教育を受けずに学者となった。
- 功利主義の影響: 十代でベンサムの功利主義を学び、哲学者としての基盤を築く。
- ハリエット・テイラーとの関係: 彼女との知的交流がミルの著作に大きな影響を与え、後の著作における共同作業の重要性を強調。

「自由論」の主題
- 個人の自由と社会的抑圧: ミルは、世論による圧力や多数者の専制が個人の自由を妨げると警告。
- 他者危害原則: 他人に危害を加えない限り、個人は自由に行動すべきと主張。
- 言論の自由: 反対意見は重要であり、真理を探求するための言論の自由を尊重する必要がある。

現代の適用
- 言論の自由と社会的責任: 現代においても、言論の自由が重要視されるが、他者を傷つけない範囲での発言が求められる。
- 教育現場の重要性: 反対意見を学ぶ機会が少ない現代教育の問題点に触れ、批判的思考の育成が必要。

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ミルの自由論をわかりやすく解説してくれていて、問題や考えないといけないことも纏めて提示されているのでしてただ読んで学ぶだけで無く、自分自身で考えながら学べるようになっていて凄く面白かった。
ミルの自由論も読んでみたい。