紙の本
読めば余韻が残りまくる物語です。
2020/06/23 22:16
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投稿者:タオミチル - この投稿者のレビュー一覧を見る
「もう過去の作家」と目されていたヒトの原稿を偶然見つけた編集者が、さまざま出版社にありがちな困難を乗り越えて出版にこぎつけるという物語。
ひとつの作品を出版するまでのハードルを、ひとつひとつ超えてゆく過程が丁寧に情熱をもって描かれているところが良いなと思った。
本書は、出版社と書店と作家たちをめぐる物語だけれど、もっと大きく、モノを作って、誰かに届ける行為をテーマにしたものでもある。置き換えれば、工場で作ったものを売るでも、職人によって生み出されたモノを売るでも、作られるモノに思いを込めて、根気よく努力を重ね、届けたいヒトに届ける。そんな、幸せな苦労を描いた本。
紙の本
出版社の裏側で
2017/08/08 14:30
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投稿者:るう - この投稿者のレビュー一覧を見る
書籍化の流れが興味深かった一冊。編集者が偶然出会った未発表作品を熱意で出版するまでの道のりを丁寧に描いています。
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プリティが多すぎるでちらっと出てきた工藤さんが主人公のお話。あちらでの主人公の憧れ、文芸部門の編集者さん。
お仕事小説。そして諸々の成長譚、かなぁ。
営業の若王子君、ひつじ君のシリーズにも出て…た?ない?と気になったので、次はその辺の再読になりそう。
作中作の「シロツメクサの頃」も読んでみたい!
私は文庫派なので、読んでてちょっと「も、申し訳ない…」と思ったり。
うん、単行本がしっかり売れないと文庫が出てくれないのは分かってるんだ…でも今ですら文庫で大量に本があるのに嵩張る単行本で買うのは厳しい…。そんな言い訳。
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私は本を読む側の人間なので、作る側の話は興味深く読むことができました。全ての本がこれほどの情熱をもって作られているわけではないでしょうけど、書く人、作る人、売る人、色々な人の手を経て本が届けられているんだなぁと、改めて感じました。
作中では断片しか書かれない「シロツメクサの頃」ですが、その断片から想像が膨らんでしまい、所々でふと涙がこみ上げました。ラストシーンは不覚にも泣いてしまいました。
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恋愛要素もちょっとあるが、お仕事系の小説。
本を一冊出す裏にこんなにもドラマがあるとは。
とても面白かった。
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本にかける思いは幾つもあるんだなぁ、と実感させてくれるホッコリとできる一冊。
読者にとっての本、書店員にとっての本、営業にとっての本、編集者にとっての本、作家にとっての本。
そういった人たちの想いが、一冊の本を紡いでいく。
本を薦めるのは結構責任感があることだけど、大切な人に薦めたいと思える本に出会えることは幸せなことなんだな、と感じた。
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本屋さんで、思わずPOPなどを見て買ったり、ジャケ買いをしてしまう人だったので、こういう風につくられていったんかしらと思うとなんだか考えるとこがあった本でした。
この作家さんは実は初めてで、本当に平積みされている書店でふと気になって買ってみた。なかなか面白かったと思う。表現がきれいだな~。
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大手出版社に勤める主人公が、
偶然眼を通した落ち目作家の原稿に感動して、
本として出版することを目指す話。
登場人物は皆作品のよさを理解する人たち。
敵対する人がいるわけではなく、
壁になるのは出版社の文化や
人間間の過去のいざこざ。
この作品を読む限り、
出版社に勤める人って小説の直しだけではなく、
本の装丁の選定や帯の作成も行っていて
センスが必要なのだと感じた。
元書店員の著者っていうこともあるせいか、
「作家」に対する愛がこもっている感じ。
作中での作品に対する評価の記述もきれい。
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泣ける話に感動した話。実際のところ、本屋に並ぶPOPにはうんざりしている。
勿論、それなりの本読みとして出版界が不況なのもわかっているし、商売である以上売れなければ意味がない。
それを踏まえた上で、この本は考えることも多かったし、実りの多い充実した読書時間を得ることができた。
推理作家、大崎梢ではなく、小説家、大崎梢を読ませてもらったと私は思った。
できれば、こんな作品も多く手掛けてほしいけれど、やはり売れ筋のジャンルではないから難しいかな?
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いやー、素敵な一冊でした。
今年私が読んだ中で1番になる可能性が今のところ最大ですな!
そして、大崎梢さんの本では『夏のくじら』が好きだったんだけど
それをも上回る個人的評価です。
主人公の工藤彰彦は大手出版社に勤める編集者。
家柄も良く人もいい彼は逆に条件が良すぎて
主人公には向いていないのでは?と最初思ったのだけど。
偶然手にした原稿に深く感動し、どうしてもそれを本にしたいと思い、
そこから刊行に向けた奮闘が始まる。
大手ならでは仕事のしづらさ、作家さんのその時点での知名度、
原稿の中に引用された詩の使用許可問題、ライバル社の優秀な編集者、
自社内他部署との関係などなど、問題山積で…
そして、無事刊行が決まってからも対処すべき事項はたくさんあって…
そんなお仕事系の物語。編集者ってこんな仕事をするんだね。
ドラマやマンガや小説から得た断片的な知識から変な偏見・先入観を
持ってしまっていたことを痛感させられました。
彼らには彼らの立場ややり方があって、時にはそれを崩してでも
周囲にどれだけ反対されようともやりたいことをやってみようとする
人たちもいて。
この本を読むことができて本当に良かったなと思う。
これから本を取る手にまた違った重みが加わっちゃうよ。
あ、書き漏らすところだった。
彰彦の家族の話、担当作家さんの家族の話など少々重い部分もありつつ
また彼の恋心にも触れられていて本当に読み応えがある一冊でした。
色々手を広げてバラバラになってしまうこともなく、すべてがこの一冊に
綺麗にまとまっていたよ。
早く読み進めたい思いと、終わらせたくない思いに葛藤するなんて
ひさびさのことでした。
大崎梢さんをご存じの方にも、そうでない方にもぜひとも薦めたい物語。
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もちろんこれはフィクションだ。フィクションだからこそのエンディングが用意されている。実際にこうはいかないだろうとも思う。けれど作者のフィクションに込めた希望みたいなもの、こんなことが在ったっていいじゃない、という、もしかしたらあるかもしれないじゃないっていう、目線が好きです。
本を「読む側」には「作る側」のこういう熱意ってなかなか見えない。一冊の本を出版するということが、どれほどの艱難辛苦であることか。
読む側のわたしも一冊一冊の本に対して真剣勝負をしなければなと。思う。
あとまあ他シリーズの書店大賞とゆるくリンクしてるのよな。…助けてくれた他社の営業さんももしかして?
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本屋さんには当たり前のように本はあるけれども、出来上がるまでにこんな順路を辿っているとは。作家さんだけでなく、編集者•営業などの出版社さん、書店員さん等々のおかげで本に出会えてるのかと改めて気づかされた作品。本屋さんでPOPを見るのが楽しくなった!
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『数年後の誰かを、感動させるために』
もちろんそれは素晴らしい。でもその数年後が一日でも早い方がいいに決まってる。
誰も知らない名作を探し当てるのは宝探しにも似て楽しい娯楽です。だから本屋に通うし、わたしは平積み本より本棚に入ってる本を隈なく探すのです。本書を読んでさらにその思いが強くなりました。
(まぁ本書は新刊コーナーに平積みされてましたけど)
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本に限らず、作り手から購入者の手元までは色々な困難・手間・熱意を通り抜けて届く。
ましてや読書大好き、本屋大好きな私にとっては、元書店員の方が書く真実味のある内容が楽しい&嬉しい。
こんな熱い思いで頑張って届けてくれる編集・営業・書店の方々につくづく感謝する素敵な本です
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老舗の大手出版社に勤める主人公が、もはや過去の人とされていた作家の素晴らしい作品「シロツメクサの頃」を偶然目にして、どうしても本にしたいと願う。しかし、本の出版にまでは様々な障害があって…、というお話。
前半はお仕事小説の感じで、本を作って売ってという世界が、物語の中身だけでなく本の装丁や帯にまで細かく行き届かなければならない、というようなところまで良く描けていてなかなか興味深い(それにしてはこの本の表紙、どうやっても買いたいという気にならないけどね)。
ただ、自分の思いのままに突っ走る主人公の行動はボンボンを絵に描いた無策ぶりで、今日日、その辺の新入社員でももっと考えて仕事をしていると思うと、些か「どうかなぁ」と思いながら読む。
漸く出版に目処が立ってからの後半は、予定調和的に進む話ではあるけれど、幼い時に出会ったなおちゃんに関する謎めいた記憶や「シロツメクサの頃」に共感する多くの人の心情が混ざり合って進み(無くてもよい感じの恋愛話もあるけれど)、なかなか佳い。
ちょっとしか出てこないけど、原稿を没にされた倉田が再び主人公の前に姿を現す場面や大御所作家の芝山の立ち振る舞いが印象深く、柴山のエッセイは、作中の挿話の域を超え、ひとつの作品としてとても感動的だった。