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源実朝 「東国の王権」を夢見た将軍(講談社選書メチエ)
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  • カテゴリ:一般
  • 発売日:2014/07/11
  • 出版社: 講談社
  • レーベル: 講談社選書メチエ
  • サイズ:19cm/286p
  • 利用対象:一般
  • ISBN:978-4-06-258581-1

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源実朝 「東国の王権」を夢見た将軍 (講談社選書メチエ)

著者 坂井 孝一 (著)

「文弱の貴公子」「憂愁と孤独の人」「北条氏の傀儡」…。甥・公暁に暗殺され、以降誤解され続けた右大臣実朝の人物像。政治状況の分析と、「金槐和歌集」を中心とする歌句の読みこみ...

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源実朝 「東国の王権」を夢見た将軍 (講談社選書メチエ)

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源実朝 「東国の王権」を夢見た将軍

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源実朝 「東国の王権」を夢見た将軍

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商品説明

「文弱の貴公子」「憂愁と孤独の人」「北条氏の傀儡」…。甥・公暁に暗殺され、以降誤解され続けた右大臣実朝の人物像。政治状況の分析と、「金槐和歌集」を中心とする歌句の読みこみで、青年将軍の真の姿と夢を明らかにする。【「TRC MARC」の商品解説】

 「悲劇の将軍」「文弱の徒」「青白きインテリ」「北条氏の傀儡」……。多くの人の抱く三代将軍実朝のイメージはこのようなものでしょう。太宰治や小林秀雄、吉本隆明もつまるところ同様の解釈から逃れられてはいません。
 文学側のこうしたイメージのいっぽうで歴史学の側も実朝像を捉えかねているきらいがありました。これは彼が若くして暗殺されてしまった以上、しかたのないことではありますが、やはり承久の乱後に固まった鎌倉優位の政治構造を、それ以前の時代に投射した論、すなわち結果から過去を規定してしまったものといえます。しかし、近年の鎌倉幕府成立史研究は頼朝の晩年から承久の乱までの時期の京都と鎌倉の関係はきわめて流動的であり、事態がどう転んでもおかしくなかったことを明らかにしているのです。
 詩魂を以て史料に対し、史眼を以て和歌に向き合わねばなりません。そのときにみえてくるのは「東国の王権」を夢見た男の肖像であり、その歌も、京の公家との縁組みも、有名な宋への渡航計画もまったく違った姿ををあらわしてきます。兄の失脚と暗殺からその位についたという経緯も、当時の政治的諸相から判断すればけっして彼のトラウマになどなっていなかったといっていいのではないか。当然、暗殺事件の背景の検討もしますが、おそらくそれは従来の北条義時黒幕説にはならないはずですし、永井路子の三浦義村首謀者説の慎重な吟味も必要になるでしょう。
 本書は『源平合戦の虚像を剥ぐ』『後白河法皇』『頼朝の精神史』『大仏再建』など鎌倉時代史研究をリードしてきた選書メチエが送る、「八百年来の誤解」から実朝を解放する一書であります。【商品解説】

目次

  • 第一章 実朝擁立の舞台裏
  • 第二章 成長する将軍
  • 第三章 青年将軍の歌
  • 第四章 激動の一年
  • 第五章 未完の東国王権

著者紹介

坂井 孝一

略歴
〈坂井孝一〉1958年東京都生まれ。東京大学大学院人文科学研究科博士課程単位取得。創価大学教授。専攻は日本中世史。著書に「曽我物語の史実と虚構」など。

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評価内訳

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2014/08/15 18:30

投稿元:ブクログ

800年来の誤解をいま解く!というキャッチコピー。正岡子規、小林秀雄、斎藤茂吉といった錚々たる面々による、天才詩人であるが文弱な悲劇の将軍という評価に対し、歴史学と文学の両面より実朝の真実に迫る。
ということなのだが、本書の論旨は実は自分にはあまり意外性は感じられなかった。もとより右大臣正二位にまで達する職位は幕府内そして朝廷での安定した地位確立のためのはずだし、そもそも後鳥羽への接近は雅な世界の憧れはあるにせよ、むしろ幕府の相対化をもたらし、従属的であるにせよ東西2極化をさらに推進するものと考えるからだ。(後鳥羽にしてみれば権門体制への一層の取り込みかもしれないが・・・。)将軍親裁指向と執権北条義時ら北条勢力とのせめぎ合いもこの文脈の背景として首肯できるものだろう。将軍としては孤独だったかもしれないが、実際、幕府内での主導権・権威確立を考えた場合、実朝のとるべき道であったといえる。
一方、父・頼朝の構想を引き継ぎ、実朝や政子、そして義時、大江広元らをはじめとした幕府首脳が一丸となって、鎌倉に後鳥羽の皇子を迎え入れようとしていた事実は、ことここに至っては「幕府」にとって「源氏」の「血」もそれほど重要なものでなかったともいえる。官位の急激な上昇は、親王補佐の役割を目指した後鳥羽側からの家格上昇策と著者は考えるが、何よりも著者も触れるように幕府に対しての何の実績もない実朝にしてみても、「源氏」の貴種性を上げるための家格上昇は当然の選択であったことだろう。
そのような中で『金塊和歌集』に向けて没頭していく姿は、ある意味、趣味と実益を両立するものだったのではないだろうか。(笑)著者は特に『金塊和歌集』での様々な和歌を通じて実朝の心情を読み解いていくのだが、歴史的背景に対してパラレルに跡付ける新味があってなかなか興味深かった。
次にお約束の実朝暗殺についてだが、自分も従来の有力説通り三浦義村黒幕説を単純に思っていたが、確かに経緯を考えると直接的には公暁の妄念のみが生んだ犯行であったかもしれない。実際はどうであるにせよ現時点でそこに黒幕を考えるには、少々ミステリーチックに過ぎるのかもしれない。また、事件後に阿野全成の息子どもや頼家の息子が次々と殺されている事実は、「源氏」の「血」は「御輿」にはなり得る存在だが、今となっては幕府首脳にはその「血」自体、邪魔なものでしかなく、「幕府」存在としても必須のものでもなかったということなのだろう。何よりその後の摂家将軍・親王将軍がそれを証明しており、対朝廷対策という意味において頼朝時代から断続的に要請されてきたという親王下向の願いは、後世の「幕府」条件を考えると歴史の皮肉ともいえる。
さて、実朝の死で後鳥羽の構想も頓挫したわけだが、幕府首脳の「源氏」断絶策はむしろチャンスでもあったはずなのだが、その後の流れはパワーバランスを見誤ったというほかはない。実朝喪失は後鳥羽の王権をも大きく覆すこととなりこれも歴史の皮肉であったともいえる。
かように存在自体が微妙なバランスを取り持っていた実朝であるが、今回著者は「たくましい」政治家としての側面をも併せ持つ新実朝像を���示したのだと思うが、ひたむきな将軍親裁といい、後鳥羽、そして和歌への傾倒といい、かなり純真で孤独な人物だったのだろうという基本イメージそのものは未だ変わらないといっても良いのではないか。
文学の素材を何とか使えないものかと自分ももったいなく感じていたので(笑)、今後も著者には、文学面などのアプローチから人物の心情面にまで踏み込んだ歴史論述を行い、歴史学に新風を吹かし続けてもらいたい。

2014/08/20 11:27

投稿元:ブクログ

実朝の夢見た東国王権。それは父頼朝が晩年に皇家との婚姻によって出来た子を将軍に迎える構想を引き継いだものだった。このできなかった実朝は後鳥羽院を主と仰ぎ、その血筋の皇子を自身の次の将軍にしようとした。後鳥羽院もそれを支持して頼朝を越える異例の官位上昇で実朝を支える。母政子や北条義時達もその意向に沿って動き、実現するかに思われたが、公暁によってころされる。歴史のもう一つの大きな可能性があった。また繊細な万葉調の天才歌人という実朝像を、和歌を読んだ背景や政治状況などを照らし合わせることで否定。遊び心あるそしてどちらかといえば古今や新古今和歌集に学んだ歌が多い。