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著者 竹内 靖雄 (著)
経済倫理学のすすめ 「感情」から「勘定」へ (中公新書)
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みんなの評価3.6
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評価内訳
2007/07/27 17:00
投稿元:
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累進課税は正当化できるか否かについて。中流意識が高い今、金持ちが高い税率を負担するのは当たり前となされているが、これは比例的分配からみると正当化されないらしい。また、なぜ金儲けが可能なのか。これについては、等価交換のルールが守られていると商人は全く儲からないわけで、不等価交換を行っているから商人は儲かっているのである。不等価交換=不正という素朴な考えはあまりに非現実的であり、そこで、マルクスは、等価交換が正常な姿であると仮定した上で、等価交換の下でも利潤が出てくるのはなぜかという謎を設定し、マルクスはここから、資本家が利潤を手に入れる秘密は物を生産するところで労働者を搾取することにあると説明した。これがマルクスの剰余価値の理論というらしい。また、競争をなくそうとする愚行というところで、受験戦争は現代日本の悪の1つと位置づけ、改革を実行することが必要ではないかと書いてあって、その改革の内容が興味深かった。入りやすく卒業しにくい大学というのはアメリカなどでは推奨されているが、日本では優勝劣敗を日常的に思い知らされる結果となり、日本人向きではないようだ。他にも色々あったが、塾・予備校廃止という考えは面白いなと思った。
2009/06/13 23:42
船が難破し、多くの人がおぼれている中、たまたま救助ボートに乗れました。 ボートの乗車人数からあと一人、助ける事ができます。 誰を助けますか? ?子供か老人 ?女性 ?一番近くでおぼれている人 答えは本の中に、、
2011/03/29 06:50
[ 内容 ] 倫理学といえば、必要以上に難解な、もってまわった表現で語られる印象が強いが、本書では「限られた財を人人にどう分配するか」という“稀少性の制約”を取り扱う経済学の発想を借りて、明快な議論を展開する。 その際、倫理問題につきものの“感情”を“勘定”に置き換え、人々の損失と不満を少なくするような、無難な答えを見出すことを試みる。 また数多くの例題が与えられており、それを解くことは格好の「頭の訓練」にもなる。 [ 目次 ] 序章 「稀少性」の制約と倫理問題 第1章 利他主議の限界 第2章 感情と勘定 第3章 交換の正義 第4章 分配の正義と嫉妬 第5章 競争とゲーム 第6章 自由をめぐる問題 第7章 金儲けの経済倫理学 第8章 福祉国家の経済倫理学 第9章 民主主義の経済倫理学 第10章 生と死の経済倫理学 第11章 プロメテウスの倫理学 [ POP ] [ おすすめ度 ] ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度 ☆☆☆☆☆☆☆ 文章 ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性 ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性 ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度 共感度(空振り三振・一部・参った!) 読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ) [ 関連図書 ] [ 参考となる書評 ]
2011/12/14 00:00
希少性を巡っての競争が一定のルールの下で行われるのならば、それはゲームである。その結果はゲームの結果である。そしてルールは法律などが定めており、それは国家の仕事となる。ルールを逸脱したものへの刑罰も国家の役目となる。このような経済・国家の形を捉えた書である。福祉社会を国家に対する乞食という視点はとても面白い。「自由をめぐる問題」で提起されたポルノ規制論なども現状に当てはまっている。まとまりもよく良書であった。
2011/12/18 22:36
なかなか難解な本で、読み進めるのに時間がかかってしまった。本書は経済学の本ではなく、経済活動における倫理学をテーマに書いている。本書はちょうどリクルート事件の直後に書かれている。希少性の制限がある中で、資源の分配をどのように行うべきか?どうすれば納得感のある配分になるのか?などを事例を通して考察する。結局のところ、経済人としての行動は最低限のルールを守ってさえいれば、それは倫理の問題とはならない。美徳の問題にすぎないという事だろう。
2013/04/15 19:30
経済倫理学というか、経済学と倫理学だった。 いわゆる世間の下らない感情論をリアリスティックな損得勘定に書き直してみよう、という試み。特に面白くも何ともなかった。
2020/01/28 19:17
古典的経済学の立場から当時の社会問題を「感情」でなく、「勘定」から分析した本。スミスやヒュームの意図は、神に頼らなくても、公平な観察者(人)の公正な競争に任せておけばうまくいくとすることにあったとか、経済学から見れば正義の中心は「交換の正義」であって、「配分の正義」とは区別すべきとか、累進課税など多くの「平等」のための制度人の「嫉妬」からできているとか、なかなか興味深かった。 とはいえ、著者は「べき論」と「である論」とを区別し、後者の立場から論じるとするが、著者も公正な競争に任せる「べき」というべき論を展開している気もする。また、著者の個人的意見・評価も混在している部分もある(例えば、刑罰の応報(仇討ち)思想は経済学から見ると必ずしも合理的でないと論じながら、被害者(社会)の感情問題から応報はの思想は否定できないとしている)。また、嫉妬や共感の利他行動をも分析の対象とする行動経済学の発展した現在の観点からみると、公正な競争に「だけ」任せるのが経済倫理として正しいのかという疑問は残る。古典経済学に未だ権威があり、バブル崩壊前の時代の本という前提で読む必要があると思う。
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