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紙の本
『巴里夫人』について
2000/08/28 22:46
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投稿者:読ん太 - この投稿者のレビュー一覧を見る
一昔前(戦前)に、家父長制に反発を覚えてパリへと渡った女性の物語。
この時代に学問をして、フェミニズムに目覚め、自分の意思を貫かんとした巴里夫人に敬意を表するが、全編を通して流れているのは物悲しくはかない調べ。せめて、今の世に巴里夫人を生かせてあげることができれば、どのような結果になっていただろうか?人々が余暇を楽しみ、理解する力も持ち合わせておらずとも芸術を楽しもうと努力し、それが上等とみなされている今。愛がなくなれば離婚をする。バツ1、バツ2はめずらしくない今。巴里夫人はこれらを見て、「これぞ、私が望んでいた日本!」と狂喜乱舞するだろうか?それとも、何か危機的なものを感じて「家」を、古来日本の風習を守ろうと血眼になるだろうか?
巴里夫人は、自分の故郷、名古屋を「見栄っ張りで中身がない」だの「田舎者の集まり」だのと酷評する。名古屋の人達が読むと気を悪くするのではないかと心配するぐらいだ。また、巴里夫人が語る身の上話に、関東大震災やドイツのナチがフランスに侵攻してくる場面があるが、これは歴史として知る以上に体感できて貴重なものだと思った。